花嫁のれん #47【出演:羽田美智子 矢田亜希子 野際陽子】 2015.03.10


(香)奈緒子さん。
真知子から連絡ありました?
(奈緒子)能登には着いたそうよ。
でもお父さまの消息はまだ。
(佑美)そうですか。
(綾)心配ですね。
(奈緒子)ほら。
3人とも心配なのは分かるけどお客さまの前ではいつもどおり笑顔でね。
今私たちがすべきなのは真知子さんの分まで頑張ることです。
さあ夕食のお世話してください。
(一同)はい。
(木島)相変わらず板長の料理はうまい。
(綾)ありがとうございます。
女将も板長も木島さまのお好きなものをご用意したと申しておりました。
(木島)なるほど。
それはうれしいね。
ああ。
ところで君たちは今度金沢にオープンする陣内リゾートの旅館の女将候補なんだって?
(綾)はい。
(陣内)《俺と一緒に能登に行くんだ》
(真知子)《何で?》《いいから来るんだ》
(木島)どうかしたかな?
(綾)あっ。
失礼いたしました。

(ドアの開く音)
(陣内)ああ…。
さすがに外は寒いな。
(真知子)おかえりなさい。
(陣内)はい。
これ。
あったまるから。
(真知子)ありがとうございます。
田舎ですから自動販売機ひとつ探すのも大変だったでしょ?
(陣内)ああ。
でもおかげで久しぶりにじっくりと夜空を見上げることができたよ。
こんな満天の星空見たのはいつ以来だろうな。
いつの間にかゆっくりと空を見上げる余裕もなくなってたんだって気付かされた。
(真知子)ホントにお忙しそうですものね。
それなのにこんなところまで一緒に来てもらって。
あっ。
陣内さま。
金沢にもう戻ってください。
私は一人で大丈夫なので。
終電ならまだじゅうぶん間に合います。
いいよ。
そんなことは。
でもお仕事があるんじゃ…。
今日はここにいると決めたんだ。
勘違いしないでほしいんだが。
そもそも君が客の私についてきたんであって私が君についてきたわけじゃない。
うん。
そうでした。
(木島)今夜も板長の心尽くしの料理堪能させてもらったよ。
ありがとうございます。
実は先付けにお出ししたかぶらずしは私が漬けたものなんですがお味はいかがでしたでしょうか?
(木島)いや。
うまかったよ。
うれしいね。
女将の手料理を食べられたなんて。
木島さまにそうおっしゃっていただけて自信になります。
ところで金沢女将塾という試みも奈緒子君が発案したことだそうだね?そうなんです。
塾生の綾さんのおもてなしはいかがでしたでしょうか?いい機会ですから木島さまの率直なご感想をお聞かせ願えたら。
そうだねぇ。
(増岡)形は奇麗に整っているがまだそれだけ?うん。
(増岡)うーん。
なかなかに厳しい評価でございますな。
もちろんまだ修業中なのだからしかたのないことだとは思うとはおっしゃってくださいましたけど。
(増岡)うん…。
(房子)いったいどういうことなんですか?木島さまもはっきりとはおっしゃいませんでしたけど。
おそらくおもてなしに心が伴っていないということではないかと。
(増岡)ああ。
(房子)心が?はい。
お言葉ですが綾さんに限って心が伴わないなどあるはずがありません。
このことは私から綾さんに話をしてみます。
よろしいでしょうか?女将。
ではお願いします。
(房子)はい。
ったくもう。
はっ?
(房子)綾さんに限ってそんな…。
あるわけないじゃないですか。
ねえ。
私何かまずいこと言いました?
(増岡)いいえ。
何も。
ですよね?
(増岡)ええ。
あっ!
(陣内)どうした?ああ。
飛行機か。
そんな暗い顔してると福天にそっぽ向かれるぞ。
えっ?福天?うん。
福天っていうのは福の神のことで…。
知ってます。
じゃあ何で今?それはおばあちゃんがよく私に言ってた言葉だったからびっくりして。
そうなんだ。
この言葉を教えてくれた人もおばあちゃんだった。
漁師町の民宿の。
あっ。
確か君には前に話したよね?
(陣内)父親の会社が倒産して両親は旅の間ずっと暗い顔をしてた。
だから俺も同じような顔になってたんだな。
(フミ)《子供なんやさかいたんと笑うまっし》《ほんな顔しとると福天にそっぽ向かれるぞ》
(陣内)《福天?》
(フミ)《福天いうのはな福の神のこと。
はい。
お食べ》何だかその人私のおばあちゃんみたい。
(陣内)確か君のおばあちゃんも民宿をやってたんだったね?はい。
ここからだとちょうどあの辺りです。
小さな漁師民宿です。
今は?おばあちゃんが亡くなってから廃墟同然でした。
でも最近片付けだして。
あそこにいるとおばあちゃんが話し掛けてくれる気がするんですよね。
うれしいときは一緒に笑ってくれるしつらいときは励ましてくれる。
今でもそんな気がするんです。
もしかしておばあちゃん私のことが心配で成仏できないのかも。
成仏できないんじゃなくてしたくないんじゃないかな?カワイイ孫のそばに少しでも長くいたくて。
おばあちゃん。
お父さんを守ってください。
お願いします。
大丈夫。
おばあちゃんはきっとお父さん守ってくれるよ。
(幸)奈緒子さん。
どうかしたの?ああ。
ごめんね。
ちょっと連絡を待ってるの。
来た。
(辰夫・志乃)うん?来ました。
もしもし?真知子さん?ご連絡が遅くなりました。
それでお父さまは?まだ戻りません。
そう。
陣内さまもまだそちらに?はい。
一緒です。
一人で大丈夫だと言ったんですが。
ありがたいことね。
はい。
それで身勝手だとは思うんですがそちらに戻るのあしたでもよろしいですか?もちろんよ。
こっちのことは気にしなくていいから真知子さんはお父さまのことだけを考えてて。
はい。
皆さんにもよろしく伝えてください。
分かりました。
真知子さん。
しっかりね。
(幸)真知子さんのお父さんどうかしたの?それがけさ漁に出られたまま連絡が取れないのよ。
(翔太)えっ?それって遭難ってことだよね?
(幸)えっ。
真知子さん不安だろうね。
かわいそう。
(辰夫)ほんでもあの子は気丈に振る舞っとったよ。
うん。
(房子)でも能登に戻らないって言ったときは驚きましたね。
陣内さまが一緒に行かれたのも驚きましたけど。
(志乃)陣内さまには感謝せんとね。
(辰夫)うん。
ほうや。
陣内さまの申し出のおかげで真知子さんは能登に戻る決心をしたんやさかい。
うん。
そうですね。
とにかくお父さまが無事に戻ってこられたらいいんやけどね。
(辰夫)うん。
うん。
(綾)真知子さん大丈夫かしら?
(香)大丈夫でしょう。
真知子なら。
(佑美)陣内さまも一緒にいてくださるしね。
(香)うん。
(綾)陣内さままだ真知子さんとご一緒なのかしら?
(佑美)それは一緒なんじゃない?あんなすごい勢いで真知子のこと連れ出したんだから。
(房子)ただいま。
(一同)おかえりなさい。
(房子)ああ。
あした一人いないんだから。
ねっ。
今日は早く寝てくださいよ。
(一同)はい…。
(房子)綾さん。
ちょっといいですか?
(綾)はい。
そうですか。
木島さまが私のおもてなしには心が伴っていないと…。
(房子)いや。
はっきりそうおっしゃったわけじゃありませんが。
お嬢に限ってそんなことがあるはずはないと思いまして。
(房子)お嬢?木島さまのおっしゃるとおりかもしれません。
お嬢?何か悩みがおありですか?もしそうなら遠慮なくこの房子に打ち明けてください。
《俺と一緒に能登に行くんだ》《何で?》《いいから来るんだ》
(陣内)《一緒に能登へ。
お父さんのところへ行こう》私は真知子さんが大変なときに何でこんな…。
(綾)私はひどい人間なのかもしれません。
(房子)どういうことですか?
(房子)お嬢。
ちゃんとお話しください。
少し外に出てみないか?えっ?君もしばらく見てないだろ?夜空。
わあ。
奇麗。
何か思い出すな。
おばあちゃんの民宿の五右衛門風呂。
五右衛門風呂?お釜みたいな鉄風呂なんですけどじか火でお湯を沸かすので熱いからげたを履いて入るんですよ。
ああ。
何かで見たことあるな。
星空の下で入るお風呂は最高だってお客さんみんな喜んでくれたんです。
星空の下の風呂か。
確かにそれはいいな。
造ってみるか。
何をですか?露天風呂だよ。
新しい旅館にはこんな星空をゆっくりと眺めながら入れる露天風呂を造りたい。
ああ。
どうせなら五右衛門風呂風にしてみてもいいな。
それいいですね。
予算はこれから捻出しないといけないが思いがあればきっとやり遂げられる。
それが俺の信念だ。
「思いがあれば」か。
いい言葉ですね。
よかったら新しい旅館のお話もう少し聞かせていただけますか?いいけど長いぞ。
一度話し始めたら。
望むところです。
(宗佑)あれ?何だよ。
まだ起きてたのかよ。
おかえんなさい。
(宗佑)ただいま。
いやぁ。
真知子さんから連絡があるかもしれないから。
(宗佑)ああ。
増岡さんから聞いたよ。
心配だよな。
うん。
お父さん!?お父さん。
お父さん!お父さん!お父さん!
(恒雄)真知子!お父さん!こっちだよ!
(恒雄)ああ。
お父さん!お父さん!
(組合長)恒雄さん。
恒雄さん。
よう帰ってきた。
(恒雄)ああ。
(組合長)よう帰ってきた。
いやぁ。
ハハハ。
(恒雄)ただいま。
「ただいま」じゃないよ。
遅いよ!今までいったいどこに行ってたの?もう。
バカ。
(恒雄)わざわざ帰ってきてくれたんか?真知子。
ああ。
(恒雄)皆さんにもご心配かけてすいません。
(組合長)いやぁ。
よかったよ。
無事に帰ってきてくれて。
(男性)無線が途絶えたときはどうなることかと。
(恒雄)いやぁ。
あんまりうねりがひどいんで収まるまで波よけの岩場に入っとったんや。
ほしたら間の悪いことに無線の調子まで悪うなってしもうて。
(組合長)ほうやったんか。
わしらもう駄目やと思うて真知子ちゃんの職場にまで知らせてしもうて。
そうだよ。
かぐらやの人たちだって大騒ぎだったんだから。
(恒雄)ほれはすまんかった。
ほれ。
これ。
私が小学生のときに作ったやつ。
(組合長)ほうや。
それは恒雄さん自慢の宝物やいうてここらの者はみんな知っとる。
やだ。
恥ずかしい。
(恒雄)ハハハ。
もう。
もしもし?真知子さん?
(宗佑)うん?戻られた?ホントに?よかった。
(宗佑)真知子ちゃんか?うん。
うん。
(辰夫)おお。
もう起きとるんか。
うん。
あのう。
真知子さんのお父さまが無事港に戻られました!
(辰夫)ほうか!えっ!?あっ!
(辰夫)あっ。
どうした?あ痛い。
えっ?腰?
(辰夫)あっ。
いかん。
ぎっくりや。
ぎっくりや。
また腰やっちゃいました?ねえ?痛い痛い。
痛い。
すいません。
私がお母さんを驚かしたばっかりに。
真知子さんや。
真知子さんのせいでこんなことに。
痛ててて。
横になりますか?いきますよ?あっ。
あーっ。
あーっ。
痛ててて。
あーっ。
どうしたらいいですか?
(辰夫)あーっ!あーっ!あーっ!あーっ!
(一同)よかったね。
ああ寒っ。
ホンマによかったわね。
じゃあ帰ろっか。
ほうやな。
あれ?陣内さまは?いけない。
忘れてた。
もしもし。
陣内さまですか?今どちらに?もう駅だけど。
駅って。
少しだけでもうちに寄ってもらおうと思ったのに。
それは残念だったな。
ああ。
でももう行かないと。
午前中に金沢で打ち合わせがあるんだ。
そうだったんですか?それなのにこんな遠くまで来ていただいたんですね。
まあそういうことだね。
本当にありがとうございました。
このお礼は近いうちに必ず。
お礼ならもう十分だよ。
えっ?いい笑顔が見れた。
じゃあまた金沢で。
えー。
本日からしばらく大女将は腰痛のためお休みされます。
(一同)えっ?あっ。
それから真知子さんのお父さまですがけさ無事に港に戻られたと連絡が入りました。
(一同)ああ。
よかった。
よかったね。
あと陣内さまからも能登から直接打ち合わせに向かうので朝食は不要との連絡が入っております。
連絡事項は以上です。
皆さん本日もよろしくお願いします。
(一同)よろしくお願いします。
真知子さんよかったですね。
(香・佑美)うん。
(知子)陣内さま。
朝まで真知子さんと一緒にいたのね。
(弘美)夜の海と不安な心。
お膳立ては完璧だわ。
(和代)私なら落ちる。
(弘美)誰だってイチコロよもう。
はい。
有り合わせで作ったんだけど。
おおー。
こりゃうまそうや。
どれどれ。
うん。
フフフ。
こりゃうまい。
当然でしょ?娘の愛がこもってるんだから。
ほうやな。
それじゃ私は金沢に帰るから。
おお。
お願いだからもう心配かけないでよ?うん。
おばあちゃん。
お父さんを守ってくれてありがとう。
それじゃ行ってくるね。
2015/03/10(火) 13:30〜14:00
関西テレビ1
花嫁のれん #47[字][デ]【出演:羽田美智子 矢田亜希子 野際陽子】

真知子(矢田亜希子)の父が漁に出たまま戻らないと連絡が入る。奈緒子(羽田美智子)から事情を聞いた陣内(須賀貴匡)とともに能登に帰り、不安な夜を過ごす真知子だが…

詳細情報
番組内容
 真知子(矢田亜希子)は陣内(須賀貴匡)と能登の実家に帰り、海からの父・恒雄(青山勝)の帰還を祈る。気丈に振る舞いながらも、ときに悲痛な表情になる真知子に陣内は、暗い顔をしているとフクデン(福天)にそっぽを向かれる、と一言。福天とは福の神のことで、陣内が幼い頃、家族と能登を訪れた際に地元の人に教えられた言葉だと言う。それは、真知子の祖母・フミ(藤田弓子)の口癖だった。
番組内容2
陣内と二人、おばあちゃんの思い出話をすることで少し勇気づけられた真知子の心に灯がともる。
 「かぐらや」では、気難しいところのある常連客の世話をしていた塾生の綾(原田佳奈)がいつものように何事もそつなくこなす。しかし、心では好意を寄せる陣内のことを思っていた。
 やがて、真知子の父の安否が分からぬまま夜が明けるが、そのとき…。
出演者
神楽奈緒子:羽田美智子
神楽志乃:野際陽子
片瀬真知子:矢田亜希子

宮崎 綾:原田佳奈
白山 香:広澤 草
石野佑美:川村ゆきえ
神楽翔太:草川拓弥
神楽 幸:木村真那月
 ・
神楽宗佑:津田寛治
小島房子:沢田雅美
神楽辰夫:山本 圭 ほか
スタッフ
原作・脚本:小松江里子
演出:村田忍
プロデュース:市野直親(東海テレビ)
伊藤一尋(テレパック)
沼田通嗣(テレパック)
東田陽介(テレパック)
音楽:富貴晴美
主題歌:東方神起「サクラミチ」(avex trax)
エンディングテーマ:東京カランコロン「夢かウツツか」(avex trax)
制作著作:テレパック
制作:東海テレビ
ご案内
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ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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