生字幕放送でお伝えします岩渕⇒こんにちは「くらしきらり解説」です。
きょうの担当は島田敏男解説委員です。
テーマは国会論戦と国民の視線です。
衆議院の予算委員会を中心に行われている論戦ではさまざまな重要なテーマがめじろ押しです。
これを国民の皆さんがどう見ているかということですね。
島田⇒安倍内閣の経済政策政治と金を巡る問題そして集団的自衛権の行使を可能にする法整備の是非といったこういったテーマに国民がどういう視線を向けているかですね。
きのうまとまりましたNHK世論調査をもとに国民のまなざしを読み解きたいと思います。
まず安倍内閣の支持率ですが今月はかなり下がったようですね。
先月よりも一気に8ポイント下がりました。
今月の調査で安倍内閣を支持すると答えた人は先月より8ポイント下がって46%支持しないが8ポイント上がりまして37%こういう結果でした。
この差が一気に狭まりました。
安倍内閣支持率は3か月連続で上向きだったんですがここで急ブレーキがかかりました。
支持率低下の理由は何でしょうか。
大きな理由の1つは安倍内閣の経済政策に対する評価にかげりが出てきたということです。
安倍内閣の経済政策を評価するかしないかという質問に評価すると答えた人が2月の56%に対して今月、3月は51%5ポイント減りました。
ことしの春闘でも賃上げ実現だという掛け声がある一方で円安による物価高が進んで景気回復を実感できない国民が少なくないということなんですね。
景気回復の実感についてもほぼ毎月聞いていますよね。
去年の10月以降の数字です。
景気回復を感じないという赤の部分先月から今月にかけて感じないという人が50%を超えました。
これは物価上昇がありました去年の秋以来です。
確かに3月以降身近な品、例えば乳製品などの値上がりが次々予定されていますね。
乳製品は円安によって乳牛の餌の輸入価格が高騰していることが影響しています。
4月にはさらに身近な食品の値上げが続く見通しになっていまして少々賃上げが進んでも物価上昇に追いつかないそこで実質賃金は19か月連続でマイナスとなっています。
こうした生活実感が経済政策の評価を低下させそして支持率が影響しているこれは違いありません。
国会では政治と金の問題も大きな議論です。
これも内閣支持率が下がった大きな理由の1つです。
西川前農林水産大臣が国の補助金を受けた企業からの献金の問題で辞任をして下村文部科学大臣は政治団体の届け出をしていない団体からの資金の流れを指摘されました。
そこで今月の調査では企業団体からの政治献金に対する規制を法律で今よりも厳しくする必要があると思うかどうかを聞きました。
必要があると答えた人が58%にも上っていますね。
必要がないは僅かに11%です。
野党の支持者、そして無党派層ここでは必要があるという答えが特に多くなっています。
与党の支持者こちらでも過半数が必要ありと答えています。
厳しい姿勢です。
政治と金の問題、これは安倍総理、民主党の岡田代表与野党双方に指摘を受ける人が出るなど与党にも野党にも関わる問題になっているんですけれど権力を持つ政府側に特に厳しい視線が向けられるこれは政治の世界の常です。
ですから早急に法律を改めるべきだという声を軽く見ないほうがいいと思います。
安全保障の法整備の問題です。
この議論も活発ですね。
安倍総理大臣が去年7月の閣議決定に基づいて進めているのが歴代内閣ができないとしてきた集団的自衛権の行使を可能にする法律などの整備です。
安倍内閣が進める法律の整備の方針について、全体では賛成が22%、反対が38%どちらともいえないが34%でして反対が賛成を上回っています。
野党の支持者、そして無党派層ここを見ますと反対が多数を占めています。
与党支持者、ここでは賛成と、どちらともいえないという答えが、ほぼ横並びで割れています。
与党支持者でも賛成の声が圧倒的多数というわけではないんですね。
自民・公明、両党をあげて法整備を進めていますけれどそこで見えてくる政府の案を見ますと自衛隊ができることを可能なかぎり増やそうということなんです。
集団的自衛権の行使にとどまらず国連の多国籍軍や有志連合への後方支援というこれが集団安全保障への協力と言われていますけどもこの面でも海外で自衛隊ができる活動の範囲を拡大しようといわれています。
それに関して与党支持者でも慎重な人が少なくないということですね。
今月の内閣支持率先ほど見たように支持が46%支持しないが37%でした。
集団的自衛権を可能にするこれに賛成する賛成が8割を超えています。
これに対して反対と答えた人は安倍内閣を支持しないが7割近くを占めています。
これはどう見たらいいんでしょうか。
安全保障の法整備というのは安倍総理の独自色を発揮する取り組みなんです。
それについていくという人とそうではないという人に大きく分かれているということなんです。
自衛隊の活動をどこまで拡大しようとするのかが今後具体的に見えてきますと賛成反対と安倍内閣の支持、不支持という両者の関係野党の支持の別を超えてさまざまに変化しそうです。
安倍総理がみずから独自色の発揮をどこまでこだわるのかそれに対しとりわけ与党の支持者がどこまでついていくのかという問題でして当面の最大の注目になっています。
さらにことしは戦後70年の節目の年でもあります。
安倍総理が夏に出す談話にも注目が集まっています。
特に注目されていますのは戦後50年の村山談話60年の小泉談話で踏襲されてきた周辺国への配慮です。
「過去の植民地支配と侵略に対する痛切な反省」これを盛り込むかどうかということです。
そうしたことばを盛り込んだほうがよいが35%盛り込まないほうがいいが17%ほぼ2対1です。
どちらともいえないが39%でいちばん多くなっています。
年代別で見てみますと盛り込んだほうがいいというのは最も多いのが60歳以上の年代の人たちで38%盛り込まないほうがいいこれが最も多いのは40代、50代の人たちのところで25%どちらともいえないこちらは20代、30代が際立って多いんです。
若い人には昔のことはよく知らないからという気持ちがあるんでしょうか。
そうかもしれません。
総理談話を巡る内外の議論に注目しながら70年前の敗戦に至る歴史その後の日本の復興の歴史を改めて学んでもらいたいと思います。
最後に各政党の支持率はどうだったんでしょうか。
自民党の36.7%こちらに各党が続いています。
内閣支持の低下とともに自民党の政党支持率こちらも4.5ポイント低下しています。
40%を割りました。
ですが一強多弱といわれる関係に大きな変化は出ていません。
安倍政権の基盤は安定しているということでしょうか。
そうとも言えません。
昨年末の衆議院選挙で大勝利を収めたことは確かなんですが経済政策そして政治と金の問題こういったところで国民の見方が厳しさを増しています。
これは足元を揺るがしかねません。
そして安全保障の法整備この問題で野党側がどう向き合っていくで国民がどう反応するかそれしだいで政治の状況は大きく動いていく可能性というものも十分あります。
島田敏男解説委員でした。
次回は早川信夫解説委員とともにお伝えします。
ぜひ、ご覧ください。
2015/03/10(火) 10:05〜10:15
NHK総合1・神戸
くらし☆解説「国会論戦と国民の視線」[字]
NHK解説委員…島田敏男,【司会】岩渕梢
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出演者
【出演】NHK解説委員…島田敏男,【司会】岩渕梢
ジャンル :
ニュース/報道 – 解説
情報/ワイドショー – 暮らし・住まい
情報/ワイドショー – 健康・医療
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