対象ソフトウエア:Windows Vista/Windows 7/Windows 8/Windows 8.1/Windows Server 2003/Windows Server 2008/Windows Server 2008 R2/Windows Server 2012/Windows Server 2012 R2、IE6/IE7/IE8/IE9/IE10/IE11
Windows PCには、いずれかのバージョンのInternet Explorer(IE)が必ずインストールされている。Windows ServerでもGUI構成の場合(Server Core構成ではない場合)は、やはりIEがインストールされる。そして、ユーザーが直接使うWebブラウザーに限らず、さまざまなアプリケーションがHTMLファイルなどを表示する際のコンポーネントとしても、IEはよく利用されている。
そのIEにも「サポート期限」があることをご存じだろうか? サポート終了をめぐって大きな話題になったWindows XPと同様、IEもマイクロソフトによる延長サポートが終了すると、セキュリティパッチの無償提供が停止される。それ以後に発覚した脆弱(ぜいじゃく)性は修正されず、セキュリティ面でひどく脆くなってしまう。
従って、サポートが終了するまでにIEのランタイムやアプリケーションを更新するといった対策が必要になる。それには、IEのサポート終了時期を把握しておかなければならない。
もちろんマイクロソフトはそうした情報を公開している。
しかし、IEには複数のバージョンが存在すること、またIEのサポート終了時期とWindows OS自体のサポート終了時期が異なるといった事情があるため、IEのどのバージョンがいつサポート期限を迎えるのか、分かりにくい。
そこで本稿では、Windows OSごとにIEの各バージョンの延長サポート終了時期を、一目で分かるように図で表してみた。Windowsシステムのライフサイクル管理に役立てていただきたい。
なお、以下では特記しない限り「延長サポート」のことを、単に「サポート」と表記している。
具体的な説明の前に、各OS/IEに共通の注意点について触れておきたい。
まず、IEのサポート期限は2016年1月13日を境に大きく変わる。この日までは、どのバージョンのIEでもサポート期限は、それをインストールしたWindows OS本体と共通である。つまり、2016年1月13日以前にサポートが終了するWindows OSの場合、どのバージョンのIEでもOSと同時期までサポートが継続される。
しかし2016年1月13日以降、Windows OS本体と同じサポート期限が適用されるのは「最新のIE」だけに限られるようになる。古いIEのサポートは2016年1月13日で終了し、以後はセキュリティパッチが(無償では)提供されなくなる。
ここで注意すべきは「最新のIE」という言葉がどのバージョンのIEを指すのか、という点だ。執筆時点では、最新版であるIE11がどのWindows OSでも、そのサポート期限まで使い続けられるように思える。だが、もし「IE12」が今後リリースされたら、IE11は「最新のIE」ではなくなるので、そのサポート期限も早まる可能性が高い。
2016年1月13日以降、古くなったIEがどれくらいの猶予期間を経てサポート終了を迎えるのか、現時点では明らかになってない。判明したら、本TIPSの記述を更新して読者諸氏にお伝えするつもりだ。
「最新のIEに更新しろ」と言われても、そうはいかない理由の1つとしてよく挙げられるのは、古いIEに依存したWebコンテンツの存在だ。特に企業内システムでは、IE8でしか正常に動作しないWebアプリケーションが残っていることがよくある。
こうした場合には、IE11に搭載された「エンタープライズモード」を活用するとよいだろう(右の関連記事参照)。これはIE8の環境をエミュレーションすることで、過去のIEのバージョンとの互換性を向上させるという動作モードだ。これにより、最新のIEに移行しても、Webアプリケーションの方は古いまま利用できる可能性が高まる(ただしエンタープライズモードも万能ではなく、Webアプリケーションによっては動作しないこともある)。
エンタープライズモードと古いIEとの重要な違いは、最新のIEで利用する限り、エンタープライズモードはWindows OS本体と同じ期限までサポートされる、という点である。つまりエンタープライズモードが使えるなら、サポート終了後も解消できない脆弱性を抱えたまま古いIEを運用し続ける、といった苦労は不要ということだ。
■Windows Vistaの場合
Windows Vistaの場合、IE7〜IE9が利用できる。このうちWindows Vista自体の延長サポートが終了する2017年4月12日まで使えるのは、IE9に限られる。IE7/IE8については、それより前の2016年1月13日に終了する。
■Windows 7の場合
Windows 7の場合、執筆時点ではIE8〜IE11が利用できる。このうちWindows 7自体の延長サポートが終了する2020年1月15日まで使えるのは、IE11以降の最新版IEに限られる。IE8〜IE10については、それより前の2016年1月13日に終了する。
■Windows 8の場合
Windows 8はWindows 8.1にアップグレードしない限り、OSそのもののサポートが2016年1月13日に終了する。もちろん、プレインストールであり唯一利用可能なIE10のサポートも同時に終了する。
■Windows 8.1の場合
Windows 8.1の場合、執筆時点ではIE11だけが利用できる。Windows 8.1自体の延長サポートが終了する2023年1月11日まで使えるのは、IE11以降の最新版IEに限られる。
■Windows Server 2003/2003 R2の場合
Windows Server 2003/2003 R2の延長サポート終了は2015年7月15日に迫っている。このOSで利用できるIE6〜IE8のサポートも同時に終了する。
■Windows Server 2008の場合
Windows Server 2008の場合、IE7〜IE9が利用できる。このうちOS本体の延長サポートが終了する2020年1月15日まで使えるのは、IE9に限られる。IE7/IE8については、それより前の2016年1月13日に終了する。
■Windows Server 2008 R2の場合
Windows Server 2008 R2の場合、執筆時点ではIE8〜IE11が利用できる。このうちOS本体の延長サポートが終了する2020年1月15日まで使えるのは、IE11以降の最新版IEに限られる。IE8〜IE10については、それより前の2016年1月13日に終了する。
■Windows Server 2012の場合
Windows Server 2012自体の延長サポートは2023年1月11日に終了する。同OSで唯一利用可能なIE10も、同時期に終了する。
■Windows Server 2012 R2の場合
Windows Server 2012 R2の場合、執筆時点ではIE11だけが利用できる。Windows Server 2012 R2自体の延長サポートが終了する2023年1月11日まで使えるのは、IE11以降の最新版IEに限られる。
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