最高裁:国籍喪失規定で「国籍法の規定は合憲」の初判断

毎日新聞 2015年03月10日 20時29分(最終更新 03月10日 20時39分)

最高裁判所=東京都千代田区で、内藤絵美撮影
最高裁判所=東京都千代田区で、内藤絵美撮影

 海外で生まれて外国籍を取得した日本人の子は、出生3カ月以内に届け出をしないと日本国籍を失うと定めた国籍法の規定は憲法違反だとして、フィリピン生まれの男女15人が日本国籍の確認を求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第3小法廷(大谷剛彦裁判長)は10日、「規定は合憲」との初判断を示した。その上で原告側の上告を棄却した。1、2審の原告敗訴が確定した。

 小法廷は国籍喪失規定の目的を「生活基盤が国外にあるために形骸化した日本国籍や、二重国籍の発生をできる限り防止するため」と指摘。「いったん国籍を喪失しても、20歳までに日本に住めば別の規定で国籍を再取得できる。海外で生まれた子を区別した規定は、合理的理由のない差別には当たらない」と述べた。裁判官5人全員一致の意見。

 原告はいずれも結婚した日本人の父とフィリピン人の母の間の子で、フィリピンに住む7〜28歳。将来国籍を選択するまで日本国籍を保持するという届け出をしなかったため日本国籍を失い、「海外で生まれたことで理由なく差別された」と訴えていた。

 判決後、東京・霞が関の司法記者クラブで記者会見した原告側代理人の近藤博徳弁護士は「原告は親が規定を知らずに国籍を喪失した人ばかりで、子供のうちに来日するのが難しい事情もある。国際化の流れに沿っていない判決で、最高裁は実態を見ていない」と話した。【川名壮志】

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