北陸新幹線開業を前にリニューアルオープンした金沢駅の観光案内センター=6日【拡大】
北陸新幹線の開業で、旅行業界は国内旅行の需要を喚起する「起爆剤」になると期待をふくらませている。
もともと北陸は「加賀百万石」に代表される歴史、北アルプスなどの雄大な自然、日本海の幸など、多くの観光資源を擁する。鉄道での往来がぐっと便利になることで「首都圏と北陸の行き来に加え、北陸新幹線を経由した東北などへの周遊型旅行へのニーズも高まる」(旅行大手)とみる。
実際、北陸新幹線の開業がテコとなり、東京などから北陸に向かう旅行商品の売れ行きは絶好調だ。日本旅行では4~6月に関東発のパック旅行の予約人数が前年同期の約5倍で、担当者は「旅行先の候補として北陸が従来以上に注目されている」と手応えを示す。JTBも4~6月の首都圏発の予約人数が約5倍、阪急交通社も4~9月の関東発の予約人数が約5倍と、各社は特需効果に沸く。
沿線地域の宿泊施設の予約も伸びている。宿泊予約サイト「楽天トラベル」が受け付けた予約状況によると、開業日の14日からゴールデンウイーク最終日の5月6日までに限ると、黒部宇奈月温泉駅周辺(富山県)が前年同期の約2・4倍、糸魚川駅周辺(新潟県)が2倍余り、金沢駅周辺(石川県)が98・3%増と軒並み活況を呈している。
一方、観光客の急激な増加で、金沢や富山などでは宿泊施設の不足懸念が浮上している。加えて沿線地域にとっては開業効果が一過性に終わらないよう、中長期で観光需要を掘り起こすことも課題といえそうだ。