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福島第一原発 廃炉工程の現状と課題
3月11日 6時31分

国と東京電力がまとめた福島第一原発の廃炉に向けた工程表では、1号機と2号機は、使用済み燃料プールからの核燃料の取り出しが始まるのが平成29年度、溶け落ちた核燃料の取り出しが始まるのは平成32年度とされています。また、3号機は、燃料プールからの取り出し開始が来年度から、溶け落ちた核燃料の取り出し開始が平成33年度からとされ、廃炉が完了するまでに最長で40年かかるとされています。

4号機

このうち、最も作業が進んでいるのが4号機です。事故当時は定期検査中で原子炉の中に核燃料はなく、使用済み燃料プールにあった1535体の核燃料も、去年12月までにすべて取り出されました。しかし、それ以外の3基では遅れが懸念されています。

1号機

1号機では、核燃料の取り出しに向けて、建屋を覆うカバーを解体して散乱している大量のがれきを取り除く必要がありますが、放射性物質が飛び散る恐れがあるため、対策に時間がかかっています。東京電力は、燃料プールからの取り出し開始を2年遅らせて平成31年度、溶け落ちた核燃料の取り出し開始を5年遅らせて平成37年度とする方針です。

2号機

2号機は、建屋内の汚染がひどく、核燃料を運ぶクレーンなどの設備をそのまま使うのは難しいとみられていて、東京電力は2年後までに具体的な方針を決めるとしています。

3号機

3号機は、建屋の除染が進められていますが、計画どおりに放射線量が下がらず、追加の除染を行っていて、今後の工程に影響が出る可能性があります。

デブリの場所も不明

別の課題もあります。1号機から3号機までの3基は、強い放射線のためにロボットでさえ格納容器や原子炉に容易に近づけず、今も溶け落ちた核燃料がどこにあるか分かっていません。このため、1号機では2月から物質を通り抜ける性質を持つ「ミューオン」と呼ばれる素粒子を利用して、建屋の外からレントゲン写真のように原子炉や格納容器を透視する取り組みが始まっています。また、格納容器の中を調査するロボットの開発も行われていて、今後、本格的に溶け落ちた核燃料の調査が進められることになっています。

取り出しも課題山積

さらに、溶け落ちた核燃料の取り出し作業も課題は山積しています。現在の工程表では、強い放射線を遮るため、1号機から3号機までの格納容器の損傷している場所を補修したうえで内部を水で満たし、水中で核燃料を砕いて回収する計画となっています。しかし、格納容器のどこが損傷しているのかは今も分かっていないため、補修に着手する見通しは立っていません。原発事故から4年。40年かかるとされる廃炉工程の10分の1がすぎたことになりますが、現場では強い放射線に阻まれ、廃炉工程の難しさが改めて浮き彫りとなっています。

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