伊藤弘毅、小坪遊
2015年3月11日08時10分
福島県の避難指示区域を走るJR常磐線について、安倍晋三首相は10日、将来は全線復旧させる方針を示した。この4年、復旧の見通しが立たなかった。住民が帰還できずにいる東京電力福島第一原発の周辺の地域にとって、復興の糸口になるのか。
原発事故の影響で、常磐線の竜田(楢葉町)―原ノ町(南相馬市)間は現在も不通だ。国土交通省によると、このうち北側の原ノ町―小高(同)間を2016年春までに再開させ、順次、運転区間を広げる。
ただ、放射線量が高く、ほとんどが帰還困難区域の富岡(富岡町)―浪江(浪江町)間は「除染や安全確保が完了した後」とされ、具体的な復旧時期は未定だ。双葉、大熊両町には、第一原発から5キロも離れていない駅もある。
首相の方針を受け、楢葉町議会の青木基議長は「正直、全線再開は無理と思っていた。帰還に向け大きな光になる」と歓迎した。一方、富岡町からいわき市に避難している女性(53)は「国は全線開通をアピールして福島の復興が進んでいると印象付けたいのでしょうが、原発事故の前から常磐線の利用者は少なかった」と冷めて見る。(伊藤弘毅、小坪遊)
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