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 三重県朝日町で2013年8月、同県四日市市の中学3年の女子生徒(当時15)が遺体で見つかった事件で、強制わいせつ致死と窃盗の罪に問われた少年(19)の裁判員裁判の初公判が10日、津地裁(増田啓祐裁判長)であり、少年は「間違いありません」と起訴内容を認めた。公判後、女子生徒の父親(46)が会見し、「少年の供述は二転三転しており、(公判で)ありのままを話してもらいたい」と語った。

 起訴状によると、少年は13年8月25日午後11時ごろ、同町埋縄(うずなわ)の路上で、通りかかった女子生徒の鼻と口を手でふさぎ、近くの空き地に連れ込んで窒息死させたうえ、現金約6千円を奪ったとされる。

 検察側の冒頭陳述などによると、少年は事件当日、友人宅から帰宅途中に女子生徒を見つけ、わいせつな行為をしようとして後をつけたという。検察側は、現金はプールで遊ぶ際に使っていたほか、女子生徒の衣類に付着していたDNA型が、少年のものと一致したことを明らかにし、「被害の結果や遺族の処罰感情を考慮し、懲役刑が相当」と主張した。

 一方、弁護側は「少年はどこにでもいる普通の高校生。ふと『わいせつなことをしたい』と思い、後先を考えずに犯行に及んだ。少年院で徹底した教育を受ける必要がある」とし、家庭裁判所への移送を求めた。

 少年はこの日、グレーのジャケットにマスクをし、傍聴席を背にして座った。法廷で生前の女子生徒の映像が流れると顔を上げて画面を見つめた。映像の字幕や起訴状の朗読などでは少女の実名が出された。

 会見した父親は「少年は目を合わせることもなく、非常に残念」と振り返り、「あの子の生きた証しとして、法廷では『少女』ではなく実名を使うよう検察側に求めた」と話した。

 判決は24日に言い渡される予定。