(2015年3月10日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
アレクシス・チプラス首相は債権者から大きな譲歩を引き出せなかったが、抵抗を示すことで国内の支持率は上昇している〔AFPBB News〕
アレクシス・チプラス氏は今年1月にギリシャの首相に選ばれる直前に、有権者にこんな誓いを立てていた。「月曜日には国民の屈辱の日々が終わる。外国からの命令とはおさらばだ」
国民の屈辱を強調したこの発言をギリシャの突飛さとして片づける気になった人は、世界のほかの国々にも目を向けるべきだ。
筆者がこの1年、最も頻繁に取り上げてきた4つの国際問題――ロシア、ユーロ圏、中東、東アジア――を見渡せば、国家的、あるいは文化的な屈辱という表現がこの4つすべてを結びつけるテーマになっていることが分かる。
傷つけられた国家のプライド
チプラス氏が首相として最初に取った行動の1つは、第2次大戦でナチスに処刑されたギリシャのレジスタンスの戦士たちの墓碑を訪れることだった。これは国としてのプライドに基づく行動だ。有権者に過去の英雄を思い出してもらうと同時に、ユーロ圏の債権者たちを主導したドイツにちょっとした意趣返しをしたのだ。
チプラス氏らは、ギリシャの債務削減と緊縮経済の終了を公約して政権を発足させた。しかし、同氏が率いる急進左派連合(SYRIZA)の対決色の濃いアプローチはこうした目標の達成にほとんど寄与しなかったものの、有権者は同政権の果敢な抵抗劇を楽しんだ。ギリシャの銀行が保有する預金の残高は縮小したが、SYRIZAの支持率は上昇した。
西側との対立色を強めるウラジーミル・プーチン大統領〔AFPBB News〕
ギリシャ政府による債権者との衝突と同様に、ロシアによる西側諸国との対立は、国家のプライドを傷つけられたという感覚を糧にしている。
ウラジーミル・プーチン大統領と同氏の世代の指導者たちはかつて、ソビエト連邦という今日よりも広大で強力な国家のために働いていた。
そしてプーチン氏は、現代のロシアは引き続き「偉大な国家」として扱われるべきだと主張している。
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