人と財政支援強調 「3.11」から4年 下村文科相に聞く
下村博文文部科学相は2日、福島民報社のインタビューに応じ、4月に広野町に開校する「ふたば未来学園高」を人と財政の両面から支援していく考えを強調した。また、Jヴィレッジの復興・再整備計画への財政支援にも前向きな姿勢を示した。
-経済産業省資源エネルギー庁、東京電力は営業損害賠償を来年2月で打ち切るとの素案を示している。先日、自民党東日本大震災復興加速化本部は再検討を求めた。文科省の原子力損害賠償紛争審査会(原賠審)も中間指針を見直すべきでは。
「文科省は、被災者の生活再建や営業損害などに誠意を持って対応するよう資源エネ庁や東電に求める立場だ。今年1月の原賠審では、能見善久会長が『個別の事情に応じて損害があれば賠償すべき』と発言した。今後の動向を見守りながら、場合によっては適切な対応をしたい」
-原子力損害賠償紛争解決センターの和解案を東電が拒否する事例も依然相次いでいる。
「東電は原子力損害賠償『3つの誓い』の1つとして『和解仲介案の尊重』を自ら掲げている。これまでも東電に誠意ある対応を要請してきた。引き続き適切な賠償が行われるよう、しっかり取り組む」
-「ふたば未来学園高」が4月、広野町に開校する。
「学園高は復興の象徴だ。子どもたちが地域の課題と向き合い、古里のために何ができるか、仲間と探求する場になる。子どもたちの郷土愛、潜在的なパワーが予想以上に膨らんでいくと期待している。国会日程が合えば、開校式に出席して子どもたちと直接話したい」
-文科省はどのように支援するのか。
「副校長として省から南郷市兵(いっぺい)氏を派遣する。平成27年度予算案には、施設整備や優れたカリキュラムのための費用を計上した。各分野のトップレベルの外部講師を派遣し、子どもたちに知的刺激を与えられるよう、人と財政両面から応援していく」
-東電福島第一原発事故による子どもたちの体力低下も改善しなければならない。
「体力向上には、各学校が児童生徒の運動習慣の課題を詳細に把握し、家庭や地域の協力を得ながら取り組む必要がある。文科省としては27年度、新たに小学校の体育の授業に専門アドバイザーを派遣するなどバックアップする」
-先月、内堀雅雄知事がJヴィレッジの復興・再整備計画への財政支援を求めた。
「Jヴィレッジの復興は福島の復興のシンボルそのもの。復興庁など関係省庁と連携してしっかり応援していく」
-県民にメッセージを。
「大臣就任直後、いわき市の中学校を訪れた際、生徒が『世界の人に貢献できる医者になりたい』と涙ながらに語る姿に感激し、協力・支援していこうと思ったのが、私の大臣としての原点だ。福島の子は厳しい体験をしたからこそ、強い思いと精神力を身に付けた。必ず世界に貢献する人材が出るだろう」
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