誉め過ぎ育児は、ナルシスティックな性格をつくる。米大調査結果
子供を誉め過ぎて育てると、ナルシスティックな性格になる可能性が高い——このことが、米国オクラホマ州立大学の最近の調査研究によって分かった。
研究結果の詳細は、医学専門誌「Proceedings of the National Academy of Sciences」の最新号に掲載されている。
565人の子供とその親を、1年半かけて調査
同大学の研究チームは、7才〜10才の子供565人とその親を、1年半かけて調査した。調査の内容は、研究者が子供と親のもとに4回訪れ、心理テストや性格診断テスト、子育てに関する聞き取りなどを行なうというもの。
誉め過ぎはナルシストをつくる
そのの結果分かったのは次のようなことだ。
「我が子は他の子よりも優れている」と思っている親に育てられた子は、ナルシズム(自己愛的性格)の傾向が強く表れる。
調査を行なった一人である伝達心理学の教授は、海外ニュースメディアの取材を受けて次のように説明している。
「他の子よりも優れている、と親に言われれば、子供はそれを頭から信じて育ちます。そうすると、心理学でいうナルシスティックな性格になります。これは、将来子供が社会に適応していく上で問題になるでしょう」
「子育てには、自尊心(self-esteem)を養うことが大事と言われますが、ナルシズム(自己愛/自己陶酔)と自尊心は違うものです。子供を過剰に評価し過ぎると、自尊心はかえって低くなり、ナルシズムの傾向が強くなるという結果が出ています」
ナルシズムと自尊心の違いは
彼はまた次のようにも言う。「良い意味で自尊心の強い人は、よく調べてみると、『自分は他人と同程度に優れているのだ』と考えています。ところがナルシストは、『自分だけが抜きん出て優れているのだ』と考えている」
親が我が子だけを特別扱いすると、どうやら、「自分だけが優れている」という考えが子供に植え付けられてしまうようだ。もちろんそうなれば、社会に出て現実に直面した時に、戸惑ってしまうにちがいない。