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きっかけの音楽

著者
高橋悠治

「音はすぎゆくものだから、それを書きとめれば記憶となり、死んだひとたちを忘れないための音楽にもなる。ことばも響きあいの不規則なリズムが身体に共鳴し、さまざまな意味となって散っていく。問いかけには、一つの答えがない。問はまた問を生み、すこしずつことばの風景は変わる。(…)本のタイトルとなった「きっかけの音楽」は、シューベルトのMoments Musicauxから。いまふつうに「楽興の時」と訳されるが、もともとmomentは動き出す瞬発力を指すことば。クリナメン(偏り)ともどこか通いあう」――「あとがき」より
音楽の制度からすり抜けるように、ひっそりと、しなやかに、50余年にわたり独立した音楽活動をつづけてきた作曲家・ピアニスト高橋悠治の4年ぶりのエッセイ=批評集。
日々のメモとして書きつけられた言葉・声・音・音楽・世界のこと、そしていなくなってしまった友たちとの交感の記憶――本書にあらわれ、方法やことばを変えて繰り返し問われるいくつかの主題、それらに囚われながらも、少しずつ傾きをかえて思索が進行していくさまは、まるで斜めに逸れてゆく原子の運動=「クリナメン」のようであり、著者の活動を支えてきた世界の成り立ちのイメージがそこにあることに、読むものは気づかされる。
I音楽論、II追悼と別れのことば、III音楽家論で構成。深く鋭く研ぎ澄まされた思索が詩のように響いてくる。IIIに収めた、1970年代に書かれた「ドビュッシー序論」は音楽愛好者必読。装丁=服部一成。


目次


I 作曲ノートから
ことば、文字、……
モーツァルト……時間の外のこども
縁起の楽器
自作自演
グールドLDコレクション
ケージ『サイレンス』
作曲ノートから
「うた」の起源について
三月の練習
瞬間の音楽 きっかけの
コンピュータ音楽のいま
世界音楽の本
冷えとひらき

II ふたたびどこへ
60年代とは何だったのか
あたましたたり
あるく
弔辞――如月小春さん
書きかけのノート
矢川澄子に
しずかな敗戦
「冬の旅」から
PAIK賛江
EB――思い出のかけら
記憶違い
花筺
ふたたびどこへ
硝子体手術
響の墓
ピアノという

III 付――1970年代より
自然について=エピクロスのおしえ
ドビュッシー序論
あとがき


著訳者略歴

高橋悠治
たかはし・ゆうじ

1938年東京に生まれる。作曲家・ピアニスト。桐朋学園短期大学作曲科中退。柴田南雄、小倉朗、ヤニス・クセナキスに作曲を師事。 ...続きを読む »

※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。

『きっかけの音楽』に寄せて 『きっかけの音楽』に寄せて(小沼純一)

高橋悠治さんの新しい本がでた。
『きっかけの音楽』という題名は、
シューベルトのピアノ曲からとられた。
楽興の時、と訳されるMoments Musicauxを、
そのもともとの意味へと遡って、日本語にしている。 ...続きを読む »

書評情報

吉田秀和(評論家)
<2009年11月28日(土):朝日新聞>
杉本秀太郎<2012年6月24日(日):毎日新聞「この3冊」>

この本の関連書


「きっかけの音楽」の画像:

きっかけの音楽

「きっかけの音楽」の書籍情報:

四六変型判 タテ182mm×ヨコ128mm/312頁
定価 3,132円(本体2,900円)
ISBN 978-4-622-07417-5 C0073
2008年10月6日発行

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