金融庁の細溝清史長官は10日午後、都内で講演し、国内外でビジネス環境が大きく変化しているとしたうえで、金融機関に対し「短期的な利益を追求するだけでなく、(融資する企業などの)顧客ニーズを十分に満たすことに全力を尽くしてほしい」と求めた。そうすれば「金融機関の長期的な収益性、健全性も確保される」と述べ、金融機関は「少なくとも5年、10年先を見越して、ビジネスモデルが持続可能なものかという再検討をする必要がある」と強調した。
細溝氏は家計の金融資産を貯蓄から投資に振り向ける重要性を改めて訴えた。「家計や年金が豊富な資産を持っているが、それを成長する企業に振り向ける仕組みをつくりたい。そして魅力的な市場を整備して海外の資金を呼び込みたい」と意欲を示した。日本企業の自己資本利益率(ROE)は欧米に比べて低いと指摘。そのうえで企業は「収益力を上げるために経営層の意識改革やコーポレートガバナンス(企業統治)を導入することが大事」と述べた。
一方、麻生太郎金融相が指摘するように金融庁は「金融監督庁から金融育成庁に変わる必要がある」との認識を示し、「金融機関とすべてのレベルで建設的な対話を持ちたい」と語った。〔日経QUICKニュース(NQN)〕
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