「選手たちはチャレンジしてくれた」
試合後、山本佳司監督はこうコメントしました。
――そう『野洲』であり続けること、そのために。
絶対的な優勝候補の名前が囁かれないまま開幕した「第88回高校選手権」は、2010年1月11日、「初出場にして初優勝」という快挙を成し遂げたチームの名を優勝旗のリボンに刻み、幕を閉じました。
優勝までの全6試合で、2失点しかしなかった「王者」山梨学院。
鉄壁の守備力を持つように思える彼らですが、実は「13日間に渡る冒険」のわずか9分目にしてチームは危機に陥っていたのです。
それは――野洲によって叩き込まれた「先制弾」でした。
遡ること4大会前の「第84回高校選手権」。
文字通り「観客の度肝を抜いた」セクシーフットボールで高校部活動のピッチを蹂躙し、見る人を興奮のるつぼに叩き込んだまま「初優勝」をもぎとってみせた「滋賀県立野洲高校」。
でもそれ以降、毎大会途切れることなく出場するものの「1勝しかできない」状態が続き、優勝候補として人々の口の端にのぼることも少なくなったチームは、それでも開会式翌日の1回戦・前半9分にして先制弾を叩き込みます。
自陣のゴールネットが揺れ、一瞬呆然と動きを止めた山梨学院のキャプテン@碓井鉄平は、あの瞬間をこう言葉にしました。
「終わったと思った…」
ところが…
前後半80分が経過した時、勝者としてこぶしを突き上げていたのは、山梨学院の方だったのです。
連続出場5回目で、初めて野洲が手にした結果――「初戦敗退」。
でも彼らはチャレンジしていたはずなのです。『野洲』であり続けることに。
『野洲高校サッカー部』という名前に対して、責任を持つために。
*****
第88回全国高校サッカー選手権大会
1回戦 マッチナンバー7(40分ハーフ)
2009年12月31日(木)12:05K.O.@さいたま市駒場スタジアム 4289人
山梨学院[山梨] 4-2(0-1,4-1)野洲[滋賀]
[得点]
9分:13春日翔太(野洲)
41分:3関篤志(山梨学院)
43分:19佐野敬祐(山梨学院)
58分:7碓井鉄平(山梨学院)
61分:11松田康佑(野洲)
79分:10伊東拓弥(山梨学院)
*****

[野洲スタメン]5年連続6回出場
■GK■
1鳥家淳樹3/178/70/セゾンFC
■DF■
2染川浩太3/178/67/大阪セントラルFC
3佐藤大樹3/177/70/セゾンFC
5星 克弥3/184/75/ガンバJr.ユース
13春日翔太3/180/69/セゾンFC
→48分:FW14佐藤拓哉2/164/53/セゾンFC
■MF■
6竹本竜也3/176/60/セゾンFC
7梅村 徹3/177/61/セゾンFC
10卯田堅悟3/174/59/セゾンFC
11松田康祐3/170/66/京都サンガU-15
16村松隆晴2/166/69/F.C.SETA
→75分:FW25布施俊樹1/169/60/セゾンFC
■FW■
9梅村 崇3/177/60/セゾンFC
滋賀県予選では伝統の(?)3バックだったのに、ここにきて4バック!
そして12月に入ってから試し始めたという、DF13番しょうた@春日180センチの「スタメン&1トップ」作戦、いきなり展開です!
13春日
9たかし@双子兄
11こーすけ 7とおる@双子弟
10くるくる 6竹本
16りゅーせい 2染川 5星 3佐藤
1とや

[山梨学院スタメン]初出場
■GK■
1松田ラン/3/178/64/あきるのFC(東京)
■DF■
2井上拓臣/3/168/56/川上FC(大阪)
3関 篤志/2/182/69/FC東京U-15むさし(東京)
4中田寛人/3/170/60/長野FC.Jrユース(大阪)
12藤巻 謙/3/166/62/フォルトゥナSC
→HT:5諸井孝太2/172/62/FC東京U-15むさし(東京)
■MF■
6宮本 龍/2/174/67/京都宇治FC(大阪)
7碓井鉄平/3/176/68/FC東京U-15むさし(東京)※U18候補
8平塚拓真/3/165/56/FC東京U-15むさし(東京)
→68分:15堤 健太/2/170/58/京都宇治FC(京都)
9鈴木峻太/3/172/65/FCアーザフトゥーロ(茨城)
■FW■
10伊東拓弥/3/170/58/柏レイソル青梅(東京)
19佐野敬祐/3/170/63/名古屋グランパス三好(愛知)
→62分:11加部未蘭/2/186/76/FC東京U-15むさし(東京)※U18候補
たぶん一番ネームバリューがあるだろう、サッカーライター・加部究氏の息子さん@ミラン@加部未蘭はベンチスタート。
そういえば去年の12月8日から3日間行われた「
U-18日本代表候補合宿」に召集されたものの、怪我で辞退していたんでした。
その名前を聞いても、最初は「大学駅伝」のイメージしか沸かなかった山梨学院。その後、お金と人をふんだんにつぎ込み、的確に配置したチーム作りに期待する声が聞こえ始め、いざこうやって見ると、そのヴァンフォーレ甲府を彷彿とさせる青いユニも威圧感満載…ぶっちゃけ、強そうです(泣)

でも、野洲のユニだって負けてません!それまでの「襟付きだぶだぶシルエット」に替わり、一人ひとり採寸して作られたという、タイトで大人っぽいデザインになってやがりました。
いつもの、そしてぞくぞくするほどカッコいい円陣ダッシュにも、ちょっぴりシャープな印象が加わったぞっ(鼻息)

山梨学院も熱い儀式を繰り広げています。手をつなぎ心を合わせた後、ボランチの2人を中心に残し、各ポジションへと円陣ダッシュ!

再び寄り集まる野洲。ここで11人の呼吸と気持ちの鼓動をシンクロさせていきます。
80分後の勝利のために。小さく、1回ジャンプ。
いつもながらメガホンを手にしたサッカー部員たちが、その肉声だけで仲間をもり立てる野洲応援団に対し、絶え間なく続くブラスバンド演奏とチアガールの応援に合わせ、バックスタンドの半分を揺らす山梨学院全校生徒+ご父兄、900人の大応援団。
歌声の中キックオフとなった試合は、去年もこの選手権のピッチに立った選手が何人もいる野洲が、序盤から気負うことなくすぅっとペースを掴み、サイドを制圧していきます。
基点になるのはトップ下に入った、たかし@梅村崇@ツインズ兄。そして彼へボールを送り込む、両ワイドのこーすけ@松田&とおる@梅村徹@ツインズ弟。さらに真ん中から縦へと抜けてくるのは、くるくる@卯田。
最初は相手の出方を見極めようとしているのかと思った山梨学院ですが、というよりもうわずっちゃっている感じです。


それでもなんとか守備の集中を切らさないようにと、ボールホルダーにプレッシャーをかけていた山梨学院、前半9分にFKを与えてしまいます。
野洲のキッカーは9番たかし@梅村ツインズ兄。右から放たれたそのボールを、180センチ+ハイジャンプで捕らえたのは、13番しょうた@春日の頭でした。


ゴール!1-0!野洲先制!
DFからのコンバート、1トップ起用にいきなり応えてみせた、しょうた@春日。
安堵と歓喜をない交ぜにして祝福に駆け寄る仲間たちとともに、バックスタンドのサッカー部員応援団の方へと走り出すしょうた@春日が、とびきりの笑顔をみせた相手は、最終ラインを守るかつてのDF仲間たちでした。
平均身長176.36センチ。毎年、技自慢のちびっ子ばかりが集まってくる野洲にあるまじきハイスコアを叩き出した今年のチーム。ちなみに去年は173.45センチ、167センチの俺様@楠神順平(同志社→川崎)や168センチのたかし@乾貴士(C大阪)を擁した優勝チームにいたっては、「171.36センチ」というイッツアスモールワールド状態だったわけですが、なんとこの試合では、186センチのミラン@加部未蘭がベンチスタートとなった山梨学院の平均身長が「171.90センチ」。
野洲の方が、5センチ近くでかいのです…
先制点を奪われ、一瞬仲間たちを煽ることすらできなかった山梨学院キャプテン@碓井鉄平が「最初のセットプレーで取られて一瞬真っ白になった。終わったと思った」とふり返ったように、パスワークと身長差で攻勢に出た野洲はその後も、最前線を肩で風を切りどすどすと走り回る姿が優勝チームのFWたつま@平石竜真(近畿大)を彷彿とさせるしょうた@春日と、5人の攻撃陣、そして両SBが絡み合い、追加点を狙って山梨学院ゴールへと迫ります。
リズムは掴みかけているものの、スタンドを沸かせるまでには至っていない攻撃。
でもあともう一息。きっとあともうちょっとで「野洲らしい何か」が発現してくるはず。
そんな中、小さな背中から一人、じりじりするようなエネルギーを放出している選手がいました。
山梨学院10番、FWたくや@伊東拓弥170センチ。
いきなりセットプレーで失点したことで、キャプテン@碓井を筆頭にふわふわと空回りを続ける青いユニフォームの中にあって、「失点したから落ち着けた」と言い放った彼だけが、高さのある野洲ディフェンスの裏を狙って飛び込もうとチャレンジを繰り返し、ボールを執拗に追い続けていたのです。


野洲が1-0のリードを保ったまま40分の前半が終了。でも引き上げていく顔に余裕はありません。苦しそうにあごを上げる選手も。
終盤何度かそのスピードの片鱗を窺わせた、山梨学院2トップの裏への飛び出しに、若干体力と集中力を奪われたようにも見えてしまいます。

「山梨学院で選手権に出場したい」その思いに背中を押され、東京や大阪から集まってきた選手たち。このままではこれが最後になってしまう円陣に、思いの丈を籠めて、仲間との絆を確認し合います。
そんな山梨学院から、後半立ち上がり早々にプレッシャーを受ける野洲。交代出場した5番DFこうた@諸井孝太も、ぐいぐいとたかし@梅村ツインズ兄を追いつめていきます。
そして後半開始1分にしてFKを得た山梨学院、キャプテン@碓井が左サイドから放ったボールに合わせたのは、DF2番・あつし@関篤志182センチでした。


ゴール!1-1。
野洲の先制弾をなぞるかのような、山梨学院の同点弾がネットを揺らします。
「FKの失点で浮き足立った。あの失点が全て」
それは、草食動物のよう…そんな喩えをされる野洲のキャプテン、10番くるくる@卯田堅悟が試合後にふりかえった、ターニングポイントだったのです。


わき上がる山梨学院応援団の歓声と歌声。
そんな中、1年生の時からメンバーに選ばれ、ピッチに立ち、中盤でくるくる回りながらタメを作りパスを繰り出すというファンタジスタにして、争いごとを好まず、派手な感情表現もあまり見せたことがない野洲のキャプテンは、それでも必死に仲間の動揺を落ち着かせようとしていました。
でもその2分後、野洲はまさかの連携ミスを犯します。
山梨学院GK・ラン@松田ランのゴールキックが一気に野洲の裏へ。ペナルティエリアを出てボールを拾おうとした野洲GK・じゅんき@鳥家淳樹とDFの意図がずれ、ボールは後ろへと逸れてしまいます。慌てて追いかける野洲DFのまたの間から、無人のゴールマウスへボールを押し込んだのは、猛然と球を追い続けていた山梨学院FWけいすけ@佐野敬祐でした。
ゴール、1-2。山梨学院、後半の3分間で逆転!

「自分たちのミス。チーム全体の責任」
山本監督が試合後そうコメントしたこの失点は、彼らに最大のピンチと最大のチャンスを同時にもたらしたはずです。
「野洲」というチームがミスによって崩壊していくのか、それとも「野洲」の名に責任を持ち、挽回していくのか…


逆転された5分後、先制弾を決めたしょうた@春日180センチに替わって、164センチのFW14番・たくや@佐藤拓哉を投入。平均身長はぐぐーっと下がりますが、その回転数の高い走りっぷりで、相手の裏を狙っていこうという作戦です、たぶん。
そして野洲はボールを繋ぎ、ペースを取り戻そうとします。それでも…焦る気持ちは選手同士を繋ぎ合わせません。幾度か掴んだチャンスもゴールには結びつかず、決めきれず。そんな中で山梨学院の方は、チーム全体のスピードを上げ自分たちのリズムで試合をコントロールし始めていました。


後半18分。右サイドで山梨学院キャプテン@碓井がボールを奪い10番たくや@伊東へ。野洲の裏へと抜けたキャプテン@碓井がリターンをもらって、シュート!
追いかけるだけの野洲DF陣はなす術無く…GKじゅんき@鳥家は1対1に晒され、1-3。
山梨学院、スピードに乗ったショートパスワークで追加点を奪い2点差です。
うなだれる、野洲。山本監督はこうコメントしています。
「自分たちのミスで失点して勝てるほど世の中は甘くないということを、彼らも学ぶべき」
点を取りにいかなければ!というところで連携ミスが起こる…その繰り返しだったと、試合後ふりかえったたかし@梅村ツインズ兄。彼らは彼らなりにもがいてはいたのです。
でも、技術は高くても例年になく生真面目な3年生が揃ったというチームは、責任をとろうとするがためにかえって身動きが取れなくなってしまいます。
滋賀県予選では、相手ボールも自分のボール、という不思議なサッカーを展開していた野洲。
ドリブルやパスが相手の足元へと渡り、「はわわわ〜」と観客が焦っても、なぜかそのボールは次の瞬間、野洲へと帰ってくるという、魔法のようなボールコントロール術なのです。
目指していたのは「敵と味方がボーダーレスなサッカー!」という噂も。
でも山梨学院は、そのボールを餌食に中盤を支配し、平均身長の差などくつがえすように選手一人ひとりが絶え間なく動くそのスピードで、存在感を増し始めたのでした。
生真面目に、それでも「野洲のサッカー」を継承するために、ボールをコントロールしようとしていた野洲。そんな中、いい意味で雰囲気を読まない選手が二人いました。
一人は左SBに入った2年生、166センチの16番りゅーせい@村松隆晴。細かいテクニック自慢の揃うチームの中ではちょっぴり異色な体を張ったドリブルを持ち、優勝チームのゆーだい@田中雄大(関西大)を彷彿とさせる「サイドチェンジロングパス」をばんばん跳ばす選手です。
そしてもう一人は、11番こーすけ@松田康祐。
3点目を取られた3分後の後半21分。14番たくや@佐藤が右サイドのスペースへ送り込まれたボール目がけ、縦へと突破していきます。DFに寄せられ、スライディングしながら中央へ送ったパスを、山梨学院GKラン@松田ランがファンブル!そこに走り込んでいたこーすけ@松田康佑が、迷わず足を振り抜き、ゴール!
野洲2-3!


こーすけ@松田は、マウスの中からすぐさま拾い上げたボールを、センターサークル目がけ投げ放ちました。残りは20分弱。まだまだ時間はあるのです。


誰よりも大きな身振り手振り、そしてその声で、仲間に喝を入れ前を向かせるこーすけ@松田。
笑みすら浮かべるその迫力に、山梨学院キャプテン@碓井もあわててチームメイトの動揺を抑えようと指示を出します。
直後、山梨学院は最前線に「デカイもの」を送り込んできました。
186センチ76キロ、11番ミラン@加部未蘭です。
立ち上がり早々に失点し空回っていた山梨学院ですが、10番たくや@伊東を始めとするスピードのある選手たちからは、常に弾けようとするエネルギーが放出されているようでした。
後半に入り、彼らはそのバタバタしたエネルギーの触手を、仲間同士で握り合い始めます。
そのきっかけを与えてしまったのは、野洲のミス。
それでも、自分たちのミスで失ってしまったものを取り返すために、「野洲」を貫くために、足を止めることはできません。
決して無駄に放り込むこともなく、大きなクリアでゲームを切ることもなく、爆弾のように投入されたミラン@加部が徐々にその存在感を失ったように、野洲はボールを繋ぎ…ついに後半残り1分、キャプテン@くるくる@卯田堅悟がGKラン@松田と1対1というチャンスをむかえた、のですが――
決められず…
直後、山梨学院のカウンターが炸裂しました。
それまで何度も野洲の最終ラインを脅かした裏へ抜けるボール。飛び出していく10番たくや@伊東拓弥。
先制点を奪われた時ただ一人それで落ち着けた、と宣った小さなスピードスターは、野洲DFを置き去りにし、ダメ押し弾を叩き込みます。
2-4。山梨学院、2点のリード。

まだ数秒、もしかすると数分、チャンスはあるかもしれない。
スタジアム中に蔓延した「山梨学院、初勝利目前」という空気を、ただ一人かき分けるように、野洲の2点目を決めたこーすけ@松田が、とおる@梅村ツインズ弟を抱き起こしに駆け寄ります。
自分たちのミスを取り返すために、最後まで諦めるわけにはいきません。
その1分後。野洲の初戦敗退を告げるホイッスルが鳴り響きました。


大歓声の中、突き上げられる青い腕と、倒れ込んでいく白いユニ。
「最後を決めていれば…。足がついてこずに情けなかった」10日前に痛めた右太もも裏の怪我をおして、フル出場となったキャプテン@くるくる@卯田を助け起こすのは、同じく怪我をかかえるミラン@加部。
「本当に決定力の差が出てしまった。いつもチームの足を僕が引っ張ってしまっていたので、申し訳ない気持ちでいっぱいです」とうなだれるたかし@梅村ツインズ兄に声をかけるのは、同じくチームのエースたくや@伊東。
お互いにぎこちなさが残ります。


「怖がらずに中盤でつながなければ野洲ではない」
山本監督が自負するように、選手たちは最後まで「野洲」を貫こうとしました。
自らのミスで失ってしまった信頼を取り戻すため、彼らがやったことは「野洲でプレーすることに、最後まで責任を持つこと」。


最後まで仲間に声をかけ、気持ちを繋ごうとしていたこーすけ@松田康祐は、相手から目をそらさず強いて笑顔まで見せて、握手で健闘を称え合っています。
そして正反対の涙をぬぐった両キャプテンは、あごを上げチームを率い、相手ベンチへの挨拶に向かいました。
この場に立てたことに、この結果に、責任を持つのは彼ら自身であることをアピールするために。

「勝ててほっとしました。最初のセットプレーで取られて一瞬真っ白になったけれど、始まったばかりと気持ちを切り替えました。佐野が良く逆転ゴールを奪ってくれた。あれで落ち着きました」
インタビューに答える山梨学院キャプテン@碓井鉄平の表情は、安堵に満たされているようです。


「生真面目な3年生」に率いられた今回の野洲。ひざに頭がつくのではと思うくらい、毎回深々と挨拶をする…その後ろ姿もこれで最後になってしまいました。
そして赤タータンをスパイクで踏まないように、きっちり壁際を一列になってバックスタンドから戻ってくる彼ら。
「後輩に受け継ぐサッカーはできた」
とキャプテン@くるくる@卯田が言うように、自らのミスに「敗北」という結果で償うことになってしまったにしろ、最後の最後まで「野洲高校サッカー部」としての責任をプレーで、そしてそれ以外でも、果たそうとしていたように思えます。


そんな中、一人もう一度ピッチに戻ってきた選手がいました。右SB3番だいき@佐藤大樹です。
お辞儀をするようにタッチラインをまたぎ、コーナー付近を斜めによぎり、頭を垂れつつ「選手権のピッチ」から立ち去ります。
瞬間、ぽんっと右足を蹴り上げました。
彼の高校3年間の部活動がここで終わります。
お疲れさま。
そしてこれからも「野洲でプレーした経験」に責任を持って、サッカーを、人生を、楽しんで下さい。
「自己責任」の中でこそ、人は自由を得られます。
***
しんみりと終わっちゃうのもいやだし、時間を巻き戻して最後は笑顔で。
2009年11月7日の準決勝、そして14日の決勝。
ランラン☆カンカンの中の人たちは、毎年恒例新幹線をかっとばし、滋賀県の「皇子山陸上競技場」に潜入しました!
去年の決勝の相手「綾羽」を準決勝で下し、決勝では危なげなく「守山」を4-1で破って、みごと5年連続の「滋賀県大会優勝」を果たした野洲。

一番似合わなそうなキャプテンという役回りを、彼なりにこなしていた(笑)くるくる@卯田堅悟。去年のGKよこりょう@横江諒に続いて、関西学院大学に進学です。

左は梅村ツインズ…弟、徹のはず!(笑)
ラン☆カンは最後まで、たかし&とおるの見分けができずに終わってしまいました(汗)
でもこの日はなんと、お兄ちゃんの崇が右手の甲を骨折したとかで、袖口からちらりと見える「ギプス」が目印に。あと、右手が使えなかったせいか、崇くんのヘアスタイルが若干セット不良でぼさぼさになってたのも、重要なポイントでした(笑)
真ん中は右SB、なぜか授与された額を矯めつ眇めつしていただいき@佐藤大樹、そして右端はこの決勝戦3バックの真ん中を務めていたこうた@染川浩太です。

毎年なんだかしっくりこない「おー!」のやらせポーズ(爆)これはもう伝統芸です。
後列左端で優勝旗を持つこうた@染川浩太が、なんやかやとチャチャを入れ、やっと自然な笑顔になりました。
普段から絶対行動を共にせず、大学もどうやら関東と関西で別々になってしまう梅村ツインズと違い、大津北にいる双子の兄弟・悠佑と一緒に京都産業大学へ進学するこーすけ@松田康佑。彼の男前っぷりや、ボランチ・たつや@竹本竜也のひっそりとした美少年っぷり、りゅーせい@村松隆晴の物怖じしなさそうな明るさ…
ラン☆カンの中で一人ひとりがキャラ立ちする前に、このチームが終わってしまったことがとても残念です。
それでも毎年、わくわくさせてくれる「野洲」。
彼らをとりまく環境は、必ずしもプラスに作用するものばかりではないけれど、それでも「野洲のサッカー」に自信と誇りと責任を持ってプレーをし続ける彼らに、敬意と感謝と、最大限のがんばれ!をおくりたいです。
ありがとうーー!
最後に。今回もお世話になりっぱなしだった、むぅさま☆
いろいろありがとうございました!
***
第88回全国高校サッカー選手権大会☆見たものリスト
開会式&開幕戦[帝京vsルーテル学院]→
写真レポ1回戦[野洲vs山梨学院][秋田商vs立命館宇治]
3回戦[作陽vs矢板中央][山梨学院vs香川西]
準決勝[矢板中央vs山梨学院][関西大一vs青森山田]
決勝戦[山梨学院vs青森山田]→
写真レポ大会優秀選手発表→
写真レポ?