メルケル首相が講演会場に「朝日」施設を選択した意味

 身長165センチのがっちりした体格に温かい微笑み―。ドイツのメルケル首相(60)が9日午前、東京の浜離宮朝日ホールに姿を見せると、数百人の聴衆から拍手で迎えられた。メルケル首相は統一ドイツ初の女性首相、旧東ドイツ出身の首相として2005年に就任した。同日未明に羽田空港に到着し、日本未来科学館(東京都江東区)などを忙しく回ったが、元気がみなぎっているように見えた。

 メルケル首相にとってこの日の最重要日程は午後4時35分からの安倍晋三首相との首脳会談だった。安倍首相は以前から今回の会談を期待していた。今年8月に「安倍談話」を発表するのに先立ち、同じ第2次世界大戦の敗戦国として、「贖罪(しょくざい)の模範」とされるドイツと歩調を合わせ、平和のイメージを強調する狙いだった。 

 しかし、会談に先立ち、メルケル首相は安倍首相には耳の痛い発言を相次いで行った。ドイツの脱原発政策と女性政策に関する講演が終わると、ある聴衆は「日本が周辺国との関係を改善するにはどうしたらよいか」と尋ねた。メルケル首相は日本がこうすべきだといった形での即答は避けた。ただ、「ドイツは過去と正しく向き合ってきた」と述べた。「隣国フランスの寛容もあった」と語った。遠回しに解決策を示した格好だ。

 本紙の電話取材に対し、韓日両国の政治学者は「現職のドイツ首相が日本で『過去の歴史を反省しろ』と発言したのは今回が初めてだ」と指摘した。講演会場に選んだ場所からして、慰安婦報道をめぐり安倍政権と厳しく対立している朝日新聞社の施設だった。単に講演要請を受け入れただけでなく、講演に先立ち、朝日新聞社報道局にも立ち寄った。メルケル首相は記者から「ドイツ特集」を手渡され、笑みを浮かべた。

東京=キム・スヘ記者
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