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GDC 2015 ゲーム実況 Twitch

【GDC 2015】実況プレイヤーはゲームの売り上げを伸ばすのか? インディーパブリッシャーの報告

2015年3月9日(月) 14:09 Text by 土本学(Manabu Tsuchimoto)
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インディーパブリッシャーのtinyBuild GamesのMike Rose氏は「How YouTubers and Twitch Streamers Can Help Sell Your Games」(YouTuberやTwitchのストリーマーはどうゲームを売る手伝いが出来るか)と題した講演をGDC 2015の3日目に行いました。

Mike Rose氏は米国のゲーム業界紙Gamasutraの記者などを経てtinyBuildにジョインした経歴を持ち、メディア側とパブリッシャー側の2つの視点から、ゲームプロモーションの中で大きな地位を占めつつあるYouTubeやTwitchで活躍する実況プレイヤーについて語りました。

tunyBuild GamesのMike Rose氏


Rose氏はまず事例を用いながら実況プレイヤーの強さについて語りました。入国審査官をテーマにしたアクションゲーム『Papers,Please』や超高難度のアクションとして話題になった『Flappy Birds』らは実況プレイヤーに取り上げられてから人気が爆発的に広がったそうです。



さらに『Race The Sun』(NerdCubed)、『Skulls of the Shogun』(Big Russian YouTuber)、『10 Second Ninja』(TotalBiscuit)といった作品が実況プレイヤーに取り上げられる事で売り上げやダウンロードが大きく伸びたそうです(カッコ内は取り上げた実況プレイヤーの名前)。



また、tinyBuildのラン系横スクロールアクション『SpeedRunners』はメディアからのレビューは良かったものの伸び悩んでいたそうですが、実況プレイヤーによって取り上げられスパイクしたとのこと。本作は世界一の影響力とも言われるPewDiePieもプレイし、その日に歴代最高の売り上げを記録したそうです。

Rose氏はメディアとしてのTwitchの影響力を理解する必要があると言います。Twitchはゲーム専門の動画実況ちゃんねるとして同時接続100万人、月間アクティブユーザーは実に1億人という規模にまで成長しています。『League of Legends』『HearthStone』『Counter-Strike: Global Offensive』といった作品の興隆はTwitch抜きには語れません。



ではどのようにして実況プレイヤーにコンタクトをすれば良いのでしょうか? 全く新しいものではありませんが、Rose氏は「まずはメール」とアドバイスします。伝統的なメディアは毎日大量のプレスリリースが各社から届きます。しかし一般的な実況プレイヤーはそうではありません。メーカーからのコンタクトを真剣に考えてくれる余地があります。



また、実況プレイヤーがメーカーに望むものを調査したところ、「Steamのコード」「無料のダウンロード」が最も上位にきたそうです。まずは実際に触って良さを知ってもらうことを考えれば、無料でゲームを遊ぶ手段を提供するのに躊躇する必要はないでしょう。これはメディアに対する対応と同様です。

実況プレイヤーの側も他のプレイヤーに先んじて面白いゲームを探そうとしていると考えられ、メーカーとの利害は一致しています。同じアンケートで、どのように新作の情報を掴んでいるかという質問をしたところ「他の実況プレイヤーの遊ぶゲーム」「Steamの新作リスト」「YouTubeの広告」「メディアの記事」など一般的な答えが多かったそうで、ここをサポートする事にはニーズがありそうです。



実況プレイヤーに環境を整えるという意味では、自分たちのゲームがちゃんと録画できるかを確かめるのも大事だとRose氏は話していました。特殊な技術が使われている場合、きちんと録画が出来ない可能性もあります。また、モバイルの場合も録画手段が問題になります。

確実に取り上げて貰う為には実況プレイヤーに報酬を支払うという手段も考えられるとRose氏は述べました。デベロッパーの20%がこれを検討しているそうで、実際にtinyBuildはPewDiePieとはレベニューシェア(売り上げの折半)で話を進めたそうです。詳しい条件は明かされませんでしたが、「その価値はあった」とRose氏は振り返っています。

まずは気楽にメールをするところから初めては? というのがRose氏からの提案です。新しいコミュニケーション手段として注目されるゲーム実況ですが、まずは初めてみなければ何も起こりませんからね。


■著者紹介
土本学(つちもと まなぶ)
1984年山口県出身。在学中にインサイドを立ち上げ。2009年からGameBusiness.jp編集長も。興味関心はゲームビジネス、ウェブメディア、リサーチなど。Twitterでもつぶやいてます。facebookはこちらGoogle+。何かありましたらご気軽に。株式会社イード

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