乙女ですって 49 (R-18) 心を惑わせるマシュマロ
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終業後、会社の正面玄関で待っていた菜津子は、受付の制服から着替えてオフホワイトのウールコートに身を包んだ溪を、自宅の自分の部屋に招いて話をしていた。
隆人からは夕方メールで”今夜は遅くなる”と連絡を受けていた。
溪との話が終わったら、自宅で夕食を用意して、隆人のマンションへ向かおうと考えた菜津子は、
“私は一度家に戻り、お夕飯の支度をしてからお宅にお伺いします。少し遅くなるかもしれません”と溪を連れて家に戻ってすぐに返信していた。
菜津子は部屋でテーブルを挟んで向かい合う溪にお茶を出した時、溪から唐突に隆人と”別れて下さい”と切り出された。
「安藤部長は、綱島さんに対して本気なんですか?部長は私に、二人の仲を会社に知られてもいいとおっしゃってましたけれど、本音では嫌だと思っているのではないですか?」
「いいえ。隆人さ・・・安藤部長はそういう方ではありませんし、部長は公表して、社内の皆さんに交際を公表したいと希望しています。」
「では・・・部長は本気で、そして社内にお二人の仲を知られても良いという事でしょうか?」
「そのようです、けれど・・・私は社員の皆さんには部長とのお付き合いを知られたくはありません。」
「いいえ。誤解です。私が加集さんと噂になり、溪さんを傷付けてしまった事は軽率でしたと反省しています。そして、加集さんには安藤部長とお付き合いしている事をすでにお話ししています。」
「えっ!?安藤部長とのお付き合いを報告されたんですか?それで加集さんは何と?」
「私が良いならそれが一番ですと言って下さいました。
社内の加集さんとの噂の事も、その内に薄れますから否定せずにいましょうと・・・安藤部長とのお付き合いの事を隠せますからとも言って下さって・・・」
『安藤部長と、恋人としてお付き合いする事になりました』
『菜津子さんが良いならそれが一番です。俺が言う事は何もありません』
「そうですか・・・」
座卓の前の臙脂の座布団の上に正座している溪が肩を竦めた。
細い体を更に縮込ませ、この部屋に入ったばかりの揚々とした感じが失われて行った。
菜津子には、溪が加集を想って”安藤部長と別れて下さい”と要求したという事が分かっていた。
菜津子は社内で立った加集との噂で溪を傷付けてしまっていた事を、溪が同じ時刻に社員食堂に現れなくなった時から気付いていた。
傷付けてしまった申し訳なさと、菜津子が隆人に片想いを始めたのと同じ齢の溪を見ると他人事とは思えず、溪を応援したいと菜津子は密かに思っていた。
「私は十二年間、安藤部長の上辺だけを見て来ました。そしてこの一か月間で、上辺だけではない彼の本当の姿を知って、彼がどう考えているのか少しずつ分かるようになって来ました。彼は本当に私の事を大切に想って下さっています。」
「それでしたら言わせて頂きますけれど、私も加集さんを見て来ました。
綱島さんの十二年には到底及びませんけれど。
加集さんは綱島さんの事を本気で好きなんです。綱島さんが部長の事を想っていらしたのはよく解りました。
でも、綱島さんがこれから付き合って結婚を考えるのなら、離婚歴のある四十代前半の安藤部長よりも、まだ三十代前半の加集さんの方が、私は絶対に良いと思います。」
「結婚・・・は分かりませんけれど、加集さんと私がお付き合いをする事はこれから先もありません。溪さんは、加集さんを想っていらっしゃる事を伝えられましたか?」
「それは・・・いいえ、私は加集さんの理想の綱島さんとは正反対の人間ですから、伝えたら加集さんのご迷惑になります。」
「社内一美人で上品な溪さんから告白されて迷惑だと感じる方はいらっしゃらないと思います。部長の離婚された奥様も溪さんの様に美人でスタイルの良い方でした。」
「綱島さん、私の事はいいんです。」
「部長と別れるという事以外、私に出来る事は何でもします。それから、この胸も触りたいのでしたら、どうぞ、触って下さい。」
「えっ?!胸、ですか?!」
溪は菜津子の大きな胸を見た。
通勤服から着替えたモヘアのタートルネックセーターをぴちっと押し上げる、まるで水風船が入っているかのように張り詰めた二つの丸い膨らみ。
菜津子の胸を、じっ・・・と見入ってしまった溪に、
「服を脱いだ方がよろしいですか?」と菜津子が訊いた。
「い、いいえっ!そんな、私は、綱島さんのむ・・・胸を触る・・・なんて・・・」
「どうぞ、女同士ですから、ご遠慮なさらず、お好きに触って下さい。」
にこにこと菜津子がそう答えたのには訳があった。
そして菜津子は胸に纏(まつ)わる話を溪にし始めた。
中学生時代に真面目な菜津子とは対照的に制服を崩して言葉使いも悪かった同級生の少女が、毎日のように取り巻く友人達に菜津子についての悪口を言っていた。
特に、菜津子の大きな胸が気持ち悪い、と。
ある日、廊下でその少女の後ろを菜津子は歩いていた。
少女が廊下の角を階段の方へと左折した時、階段を駆け下りて来た男子生徒とぶつかり、少女は後ろに弾き飛ばされた。
週所は少し後ろに居た菜津子と一緒に床に倒れ込み、菜津子は少女の下敷きになって軽く頭を打った。後日たんこぶに
なった。
その時、少女は菜津子の大きな胸に、丁度頬を埋める恰好になってしまった。
綱島の胸、やわらかくて、あったかい・・・
毎日悪口を叩いていた菜津子から「大丈夫ですか?」と心配される声まで掛けられてしまった少女はバツが悪くなって、
「こ、こんな所にいたそっちが悪いんだからね!」とぶつかって来た男子生徒よりも、少女の後ろにいて下敷きにしてしまった菜津子に向かって酷い言葉を投げ付けてしまった。
「ごめんなさい・・・」
のっそりと床から起き上がった後にすぐ謝って来た菜津子に、少女はイラついた。
そして菜津子に向かって自分の感情をぶつけた。
「違うでしょ!あんたのそういう態度が見てて腹が立つの!一番悪いのは階段を走って下りて来て止まれずに私にぶつかったソイツで、次に悪いのはあんたにぶつかって下敷きにしちゃった私!綱島、あんたは悪くない、被害者なんだから謝るな!」
「は、はい・・・」
「ほら、お前!向こうから走って来てぶつかった事、謝れよ!」
菜津子にせを向けた少女は、男子生徒に凄んだ。
ぶつかって来た男子生徒は、履いている上履きのカラーから、菜津子達より一学年下の二年生だと判った。
「す、すいませんでした。」
「すいませんじゃなくて”ごめんなさい”!私にだけじゃなくてこっちの、綱島にもちゃんと謝って!」
「ごめんなさい、ごめんなさい。」
二年生の男子生徒は少女の剣幕に、少女と菜津子に向かって一度ずつ頭を下げた。
次の日から、少女は菜津子の悪口を言わなくなった。
それから数日後、体育のバレーボールの時に、菜津子が打ったアタックが偶然少女の額に当たり、少女はコートに倒れた。
「それで、綱島さん、その女の子とはどうなったんですか?」
「その人は長岡輝美さんといいまして・・・」
菜津子の話は続いた。
額を打撲した長岡輝美に菜津子が付き添って保健室へ行くと誰も居なかったので、菜津子が長岡の怪我の手当てをした。
低い丸椅子に長岡を座らせると、菜津子は薬棚から湿布薬とガーゼ、紙絆創膏を取り出して、長岡の赤紫になった額に貼り付けた。
その時、ぽよん、ぽよんと揺れ動く菜津子の胸は、長岡の鼻先を掠めた。
「あんた、馬鹿でしょ?私、あんたの悪口言ってたんだよ?知ってるでしょ?そんな嫌な奴にどうして手当てなんてするの?お人好し。」
「長岡さんにお怪我をさせてしまったのは私ですし、それに、先日ぶつかってしまった時に、私にも謝って、と二年生を叱られて、嬉しいというのは良くないですけれど、何だかすっとしました。あ!そうでした。ごめんなさい。私、長岡さんのおでこにお怪我をさせてしまって、ごめんなさい。」
「それなら、私も謝らないとね。あんたあの日、頭にタンコブ出来たでしょ?ごめんなさい。それから、その胸の悪口も言って、ごめん・・・」
「いいんです、この胸は、体質なのかもしれません。祖父が1/4の混血なので・・・」
「へー、そうなの。体質・・・ま、胸が小さいよりは大きい方がいいっていうから、いいんじゃないの?」
初めて長岡が菜津子に笑顔を見せた。
長岡が菜津子の悪口を言う事は一切なくなった。
それから一か月後の夏休みに、名前で呼び合うまで仲良くなっていた二人は公営プールで一緒に泳いでいた。
水泳の得意な菜津子が、泳ぎの苦手な輝美に教える為だった。
「もー、菜津子はズルイよね。胸にそんな浮きを二つも持ってるんだから。」
「浮きとは・・・そんな事はありません。輝美ちゃんこそ、体から余分な力を抜いたら上手に浮ける筈です。」
「ええい!この憎たらしい程大きな胸はこうしてやるう!」
ぎゅっ、ぎゅーっ!
輝美は菜津子の競泳用の水着を着けた胸り膨らみを、両手でぎゅっと握った。
「きゃっ!輝美ちゃ・・・」
「やっぱり柔らかーい。おもちみたい。うわーっ、気持ちいい!」
「あの・・・」
やめてと言えない菜津子は、女子更衣室のロッカーの前で、しばらく輝美に胸を揉まれていた。
他の女性客が来たのでようやく解放された菜津子だったが、卒業して別々の高校に進学するまで、輝美と二人になると、必ずと言っていい程、菜津子の胸は輝美に触られ、そして褒められたので、菜津子も悪い気はしなかった。
高校以降はそれまでより頻繁に会えなくなった二人も、時々電話や手紙でやり取りをしていた。
「やっほー、菜津子、胸は元気?萎(しぼ)んでない?無理なダイエットとかして胸を萎ませたら怒るからね!」
輝美なりに気遣ってくれていると判った菜津子は嬉しかった。
現在、輝美は航空会社勤務の男性と結婚し、夫が赴任した海外で、家族四人で暮らしている。
「お化けみたいだと言われる程大きな胸はコンプレックスでした。
でも、輝美ちゃんに出逢って胸を褒められてからは、このような胸でも触って貰って喜んでいただけるのなら、何度でも触っていただいて構わないと思います。
あ・・・でも、女性にだけ、ですけれど。」
他の男性に触らせたら、隆人さんがやきもちを妬いてしまいます。
女性なら許して下さると思います。
「溪さん、どうぞ触って下さい。服を脱ぎますか?」
「い、いいえ。そのままで・・・では、失礼します。」
溪は菜津子の白いモヘアのセーターに包まれた丸い胸に手を伸ばした。
ふか、ふか・・・
セーターの下にある柔らかな膨らみは本当におもちみたい。
適度な弾力があって、握ってみたらどうなるのかしら?
「あの、綱島さん、軽く握ってみてもいいですか?」
「はい、どうぞ。」
えいっ、と溪は指先に力を込めた。
ぷにぷにっ、くにゅくにゅっ、
あー、男の人が巨乳が好きって、こういう事なんだぁ・・・と溪は納得した。
何だか落ち着くというか安心するというか、こうしていると癒されるって解かる。
うんうん、私も男の人だったら、間違いなく巨乳の女の人を選ぶわ。
だって、気持ちいい!
加集さんもきっと、こうして綱島さんの胸に触れたかったんでしょう・・・
せめて、私が代わりに綱島さんの胸に触れて、加集さんの悲願を叶えたいと思います!
思い違いをしたまま溪は、だんだん、揉み続けている菜津子の胸にしか目が行かなくなり、
研究するかの如く菜津子の胸を隈なく、真剣に揉み始めた。
「あっ・・・溪、さん・・・そ、そこは、あ、の・・・っ!はっ、はぁっ・・・んっ!」
「えっ?な、何ですか?」
ふわふわなマシュマロ胸の触り心地に夢中になってしまった溪が鼻息も荒く訊き返した時、
コンコン、と菜津子の部屋のドアが叩かれ、
「菜津子さん?菜津子さん、開けますよ?」加集の声がした。
「あ・・・っ、いけません・・・!」と菜津子の喘ぎ交じりの声が発された後、
「菜津子さん!」加集が勢いよくドアを開けた。
菜津子さんが部長の為に定時で帰るようになって、
今日も俺は一人寂しく帰宅すると、お店が丁度シャッターを閉めるところで、少し歪んでいる固いシャッターを閉めるのを手伝ったら、
おかみさんに「お夕飯まだだったら家に来て食べて行って。今ね、同じ会社の人が菜津子の部屋に来ているのよ」と言われ、俺は部屋に来ている会社の人というのは、安藤部長だと思った。
そして部屋の前を通りかかった時、色っぽい菜津子さんの声が聞こえて来て、菜津子さんの部屋で部長は一体何をしているんだと、まぁ嫉妬もあった俺は止めに入るつもりでドアを開けた。
だけど・・・
部屋の中には、正座して向かい合う菜津子さんと確か広報の綿雪さん。
部屋に飛び込んだ加集は、菜津子の両胸を掴んで、喘がせている犯人・溪の姿を確認した。
何故、綿雪さんが菜津子さんの胸を揉んで、喘がせているんだ?!
ちょいエッチ |
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テーマ : R18要素あり恋愛小説
ジャンル : 小説・文学