政府は10日、日本に住む全ての人に割り振る社会保障と税の共通番号(マイナンバー)を預金口座に適用するマイナンバー法改正案を閣議決定した。2018年から預金者に対し、任意で銀行への登録を呼びかける。個人の資産を把握しやすくし、税金や社会保険料の徴収に役立てる。
法改正案は今国会に提出し、早期の成立を目指す。マイナンバー制度は16年から始まり、国や自治体などが税や社会保障に関する個人情報の管理に使うことが決まっている。
制度開始から2年後の18年に預金口座への適用を始める。新規に口座を開設する際は、申請用紙にマイナンバーを記入する欄を作る。既存の口座は来店時に登録を促す。当面、登録は任意で強制力はない。
麻生太郎財務相は10日午前の記者会見で「(税の)徴収にも利用できて公平適正な納税につながる」と意義を強調した。そのうえで「告知義務がないと普及しないじゃないかという指摘は承知している」として、3年後の21年をめどに義務化を検討する考えを示した。
改正案ではマイナンバーを医療分野の一部で活用することも認める。乳幼児が受けた予防接種の記録をマイナンバーで管理し、引っ越し先の市区町村に引き継げるようにする。健康保険組合がメタボ健診の情報をマイナンバーで管理できるようにする。
病院での診療記録全体で活用できれば、二重診療の防止などで医療費の削減につながるとされる。ただ、個人情報漏洩への懸念から慎重論があり、今回の改正案には盛り込まなかった。
12桁のマイナンバーは15年10月から市区町村による本人への通知が始まる。
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