こんにちは!DeNAトラベルのUXデザイナー(webディレクター)の和田です。
3/1に実施した、『グラフィックレコーディングをやってみよう!ワークショップ』の開催レポートをお届けします。
⇒ワークショップについてはこちら

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グラフィックレコーディングとは、会議での議論やカンファレンスの流れを視覚化し、参加者へ共有する手法です。参加者の思考発話内容をリアルタイムで視覚的にわかりやすく伝えることができるので、学習の理解・アイディア創発・会議での合意形成を促します。

例えばデザインの現場で用いたとき、こんな効果がみられました。
・アイディアや情報が可視化・俯瞰できることで、発想がどんどんふくらみ形になる力強さを感じることができる
・絵がコミュニケーションのきっかけともなるので、参加者同士の会話をうみだすことができる
・絵だからこそぱっと見やすい。見ようと思ってもらえるからこそ、また見たり参照してもらえて、理解が深まる。

今回のワークショップは、グラフィックレコーディングをまずは実践できるようになる第一歩。
1 聴き分ける 2 表現する 3 構造化する
というグラフィックレコーディングに必要な3つの『筋肉』トレーニングをやってみよう、というものでした。

準備運動


筋トレの前に、まずは準備運動!
ペンの持ち方を学びます。
黒いペン(プロッキー)のとがったほうを親指側にもち、ペン先全体を使って書くと、遠くからでも見やすい線をひくことができます。

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線の練習をしたあとは、自己紹介。
早速習ったペンの持ち方を活かして、模造紙に大きく自分の名前やちょっとした絵などのワンポイントをいれて自己紹介していきます。
線は1メートル以上、しっかり描くのが大事!

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並行して、DeNA UXデザイナーの和波里翠さんのグラフィックレコーディングも進みます。
自己紹介のみんなの様子をどんどん描いていきます。黒いペンでワークの内容、ピンクのペンではTIPSやみんなのアイディアと描き分けている模様!

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『聴き分ける』筋肉トレーニング


体もあったまったところで。1番目のトレーニング『聴き分ける』筋肉トレーニングです。
グラフィックレコーディングでは、発話者の話していることを分類して聴きとり、その中から必要なものを選びぬいて描きとっていくのが大事。この力を養うトレーニングです。

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5分程度のスピーチから、背景、エピソード、主張を聴きとって描いていきます。
聴きとって文章として要約することが大事なため、この段階で絵はかきません。
大事なポイントは「この人ならではのものを抜き出すこと。」

描いたものを壁にはりだして振り返ります。

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参加者のみなさん同士や、ファシリテーターとのディスカッションでは、こんな質問がでていました。
Q:背景とエピソードって何が違うの?
A:「データ」と「ストーリー」って思うとよいのでは!

Q:全部ぬきだそうと思うと間に合わない。どんな粒度で抜き出せばいい?
A:全部ぬくのは厳しいので要約する!一つのストーリー単位が終わるのはどこかを意識して聴いて、それを要約してぬきだす。

Q:主張はいつ書く?
A:書きとったものを俯瞰して見て、全体を理解したうえで、最後に書くのがオススメ。

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他にも、「プレゼンのように体系化されてないものを描くのって難しい」「声のトーンが上がったときをぬきだした!」「楽しそうな様子は一つの『この人ならでは』のポイントだと思った!」という意見があがりました。
『聴きわける』って、実は耳だけでなく、目や頭も手もフルに使うトレーニングなんですね。

『表現する』筋肉トレーニング

次のワークは『表現する』筋肉トレーニング。
グラフィックレコーディングでは、人の感情や動作を端的に描いて伝えるのが大事です。
様々な表情を端的にわかりやすく描く方法を学びます。

描かれる顔、顔、顔!
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お次は3秒で作れるアイコン作成。
アイコンのお題は、PC・豆知識・プロセス等、よくグラフィックレコーディングで使うものばかり。
みんな、ふせんに3秒で描けるアイコンをどんどんだしていきます。

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わかりやすいアイコンはどーれだ?!

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他の班のアイコンをながめてみると気づくことが多いです。
例えば『飲み会』というお題。全てのグループがビールジョッキを描いていたのですが、「ビールジョッキ2つだと乾杯して人がいる感がでる!」という、より伝わるアイディアがたくさんでてきます!
自由テーマである『価値』と『お金』のアイコンが偶然同じになったのもおもしろいところ。活かす文脈で使い分けができそうです。

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『表現する』最後のワークは、マンガに学ぶ効果描写です。
マンガから人の感情をより豊かにあらわす効果描写を、そのままそっくりぬきだしていきます。
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抜きだしたものをはりだしてみたところ。
ずらり!!普段意識なかなかしづらいのですが、実はこんなにたくさん効果描写てあるんですね。
一位の班は110個もぬきだしていました!圧巻。

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『構造化する』筋肉トレーニング



最後のトレーニングは『構造化する』
ディスカッション内容を、それぞれ「list」「cluster」「radial」という構造を意識しながらでかきとっていきます。clusterはふせんをあわせてつかいます。
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かきとったものを貼りだして、「list」「cluster」「radial」のいいところや悪いところ、使いどころを考えました。
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「list」はテーマがきまっていて粒度の同じものを描く時。
「cluster」は色んなアイディアを俯瞰し不足をみたり、収束させて結論をだしたい時。
「radial」はアイディアをふくらませたい時や、落とし所が決まってない時。
使いどころがどんどん見えてきます。


グラフィックレコーディングでふりかえろう!



『聴き分ける』『表現する』『構造化する』筋肉トレーニングの後は、3つのトレーニングのふりかえりです。
和波さんのグラフィックレコーディングをもとに、ワーク内容をふりかえりました。

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ふりかえりの時間以外にも、和波さんや参加者の方同士が、グラフィックレコーディングをベースにして質問しあうような光景もたくさん見られました。きっと和波さんのグラフィックレコーディングで理解や会話がより深まった、という方も多いのではないでしょうか。
学んだことの理解を促し、加速させるグラフィックレコーディングのパワー、恐るべし!!

最後はグラフィックレコーディング演習!


TEDのプレゼンをきいて、『聴き分ける』『表現する』『構造化する』筋肉を存分に使ってみます!

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プレゼン中も、プレゼンをききおわった後も手を動かすのが大事です。
絵としてのわかりやすさ、美しさのための色を加える、というのはもちろんですが。
一度かいたものを俯瞰して、「ここはこの人ならではの主張だ」とか「このストーリーのつながり(構造)は大事!」というところを強調するのがグラフィックレコーディングのコツなのです。
事実、和波さんも休憩中など、何回も模造紙に色をぬったり、描きこみをふやしていました。

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ずらり!30人30様のグラフィックレコーディングが並びます。
並べてみたグラフィックレコーディングをみて、「この人のグラフィックレコーディングいいな!」と思ったものは、ふせんで一言感想をかいて投票します。

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得票数が多い人の作品は、描いた意図についてのインタビューもしました。

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「なんでそれがいいと自分は思ったのか?」と思ったことを外化すること、描いた人が「どう考えてそれを描いたのか?」をきくこと、これも大事なワークなんです。

グラフィックレコーディングで大事なこと



6時間半にもわたる、長丁場のグラフィックレコーディングワークショップ。
グラフィックレコーディングを支える『聴き分ける』『表現する』『構造化する』筋肉トレーニングをそれぞれやりましたが、大事なのは「上手に・完璧に描こう」と思わないことだと私は考えています。

シンプルでOK。その場にいなかった誰か(未来の自分含む)へストーリーを伝えるために描くことこそ、グラフィックレコーディングの一番の肝なのです。

まだ、『聴き分ける』『表現する』『構造化する』筋肉は1日にして成らず、とも。
実際に体をうごかしてこそ身に着くのはまさに筋トレと同じなので、実践として鍛える場としての紹介を行いました。

・まずは練習!素振りからはじめたい方
グラフィックレコーディング勉強会
https://www.facebook.com/graphicrecord
(またDeNAでもワークショップを開催できたらと考えています!)

・実際にカンファレンスやワークショップの現場で実践を重ねたい方
今回のグラフィックレコーディングワークショップのアドバイザー、株式会社グラグリッド三澤直加氏の運営する『グラフィック・レコーダー・ネットワーク』
※現在参加にはメンバーの紹介が必要となっております。

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最後に参加者一同で記念撮影!

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実際の当日の作品集は以下スライドへまとめました。必見!


当日ワークショップのときに使ったプレゼン参考資料は以下。



和波さんグラフィックレコーディングと一緒に、ふりかえりにぜひご活用ください!
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