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 安倍晋三首相は9日、首相官邸で来日中のドイツのアンゲラ・メルケル首相(60)と会談した。両首脳は混迷するウクライナ情勢への対応で連携することを確認したほか、両国経済の関係強化を目指すことでも一致した。メルケル首相は歴史認識についても触れ、会談後の記者会見では「過去の総括は和解のための前提になっている」と語った。

 会談は約2時間10分行われた。

 日本側の説明によると、この中で東アジア情勢が取り上げられ、安倍首相が北朝鮮による拉致・核問題などを説明した。メルケル首相は、東アジア情勢について「アドバイスする立場にない」と前置きしたうえで、ドイツが戦前のナチスの行為を透明性を持って検証した経緯を紹介した。

 会談後の記者会見で、メルケル首相は「(ナチスドイツの)過去の総括は和解の前提になっている。和解の仕事があったからこそ、EU(欧州連合)をつくることができた」と述べ、地域の安定には和解の努力が不可欠であるとの認識を示した。

 ウクライナ情勢について両首脳は、親ロシア派と停戦合意したウクライナの平和と安定のため、積極的な役割を果たしていくことで合意。「力による一方的な現状変更は許されない」との立場を確認する一方、平和的解決に向け、ロシアとの対話を継続する方針でも一致した。