2015年3月10日05時00分
皇太子さまが誕生日にあたっての記者会見で憲法について語った部分が、朝日新聞の記事には盛り込まれていなかったのはどうしてでしょうか。(千葉県 アルバイト男性 71歳)
■新しい発言紹介 指摘真摯に受け止めます
天皇陛下や皇太子さま、秋篠宮さまは毎年、誕生日を前に記者会見をしています。質問内容は宮内記者会所属の報道機関が協議して決め、事前に宮内庁を通じてご本人に伝えます。
今年の皇太子さまの会見にあたっては、報道各社で四つの質問を決めました。特に、天皇陛下が即位した年齢と同じ55歳になることの感想、戦後70年を迎えての戦争や平和に対する考えについてお聞きしました。
55歳を迎えたことについて皇太子さまは「身の引き締まる思い」と述べ、戦後70年については、謙虚に過去を振り返って戦争の歴史を正しく伝えていくことの大切さを語りました。いずれも重要な発言と判断し、2月23日付朝刊の記事で紹介しました。
この記事をジャーナリストの池上彰さんが本紙コラム「池上彰の新聞ななめ読み」(2月27日付朝刊)で取り上げました。皇太子さまが「我が国は戦争の惨禍を経て、戦後、日本国憲法を基礎として築き上げられ、平和と繁栄を享受しています」と語った部分が記事になかったことについて、「朝日新聞の判断は、果たしてどんなものなのでしょうか」と批判しました。多くの読者のみなさまからも指摘をいただきました。
皇太子さまは昨年の会見でも、憲法について同様の内容を話しました。皇室の活動と政治の関わりに関する質問に「(今日の日本は)戦後、日本国憲法を基礎として築き上げられ、現在、我が国は、平和と繁栄を享受しております」「今後とも憲法を順守する立場で事に当たっていくことが大切」と語り、昨年は記事に盛り込みました。
今年も、デジタル版の記事では皇太子さまが憲法に言及した部分も含めて、会見全文とともに掲載しました。しかし、紙面ではスペースが限られ、できるだけ新しい内容を読者に伝えようと、前述の部分を優先させました。
ただ、自民党が憲法改正への動きを本格化させ、人々の憲法への関心も高まるなか、皇太子さまが今年も憲法に言及したことは、やはり紙面でもお伝えするべきニュースだったと思います。池上さんや読者のみなさまの指摘を真摯(しんし)に受けとめ、今後も人々の関心が高いテーマについての天皇陛下や皇族方の発言は丁寧にお伝えしていきます。
(社会部次長・菅野俊秀)
◇ご質問は氏名、職業、年齢、住所、電話番号を記載のうえ、メールでre-okotae@asahi.comにお寄せください。
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