中国が近く成立を目指している「反テロ対策法案」を巡り、オバマ米大統領が直接、中国の習近平国家主席に対して見直しを迫る騒ぎが起きている。
日本政府は中国の理不尽な規制に無頓着
問題の法案は、中国当局が中国に進出している外国企業のシステムにアクセスして監視できるメカニズムを組み込むことなどを義務付けるという内容で、米財界を中心に企業秘密を保全できなくなるとの懸念が広がっていた。
オバマ大統領自身が今月(3月)2日にロイター通信のインタビューに応じて明かしたところによると、中国に対する抗議は同大統領が自ら行うという異例のもので、習主席に「米国と商取引をしたければ、見直さなければならない問題だと明確に警告した」という。
中国政府の理不尽な規制からの保護が必要という点では、日本企業も米企業も立場は同じはず。ところが、日本政府は、本稿執筆段階(7日夜)までのところ、この問題に沈黙を守っている。政府・与党はこのところ弾力的な武力行使に道を開く自衛隊法改正議論などに多くの時間とエネルギーを費やしているが、目の前のリスクが膨らむ一方のサイバー分野の安全保障問題にも、もう少し目配りする必要があるのではないだろうか。
外電によると、「反テロ対策法案」が中国の全人代(日本の国会に相当)の委員会に提出されたのは昨年秋のこと。今年2月末には、修正案が完成した。今後、早ければ、数週間から数か月程度で成立する見通しという。
内容面で特に懸念されているのは、中国当局が外国企業の通信・コンピューターシステムにアクセスして中身をサーベイできる“バックドア”と呼ばれる機能の組み込みを義務付けるとしていること。加えて、データや情報の秘密を保持するのに必要な“暗号解読キー”や“パスコード”の中国当局への提出を義務付けることを問題視する向きも多い。
対象になるのは、中国の金融機関との取引をする可能性のある外国企業としているが、今後、対象が拡大される懸念があると米国側はみている。
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