(英エコノミスト誌 2015年3月7日号)
ハイテク企業がまた、ファラオのような本社を建設している。
ビッグ&ヘザウィック・スタジオが公開した米グーグルの新本社社屋案〔AFPBB News〕
マーク・アンドリーセン氏は、ステータスシンボルを好むシリコンバレーの傾向とその強烈な虚栄心について多少のことは知っている。ベンチャーキャピタリスト、シリアルアントレプレナー(連続起業家)として、少なからぬ数の小さなスタートアップを巨大ハイテク企業に育てる手助けをしてきた。
投資家としては、最近、フェイスブックやヒューレット・パッカード(HP)をはじめとした数々の企業の取締役を務めている。そのアンドリーセン氏は投資先に対して、早すぎる株式公開や、現金化への過剰な熱意といった大罪を避けることに加え、何が何でも華美な新社屋に巨額の資金を投じることを慎まなければならないと主張する。
グーグル、アップル、フェイスブックが相次ぎ巨大本社
巨大建築コンプレックスを発明したのは、シリコンバレーではない。支配者の力と名声を記念する建造物を建てる衝動は、歴史が始まって以来ずっと存在していた。
だが、莫大な現金を持ち、金利がほぼゼロの状況下にあって、シリコンバレーの有力企業は今、企業のエゴを満足させるとともに、優秀な人材を呼び込み、社内にとどめるために、誰が一番豪華な本社を建造できるか競い合っている。
アンドリーセン氏が抱く不吉な予感にもかかわらず、フェイスブックがメンロパークに建てている新しいウエストキャンパスには、9エーカー(3万6000平方メートル)の屋上ピクニック場と、隣接する高速道路の地下をくぐって既存本社とつながるトンネルができる。今夏、2800人の従業員が新施設に移転する時には、世界最大のオープンプランオフィスになる予定だ。
2月27日、グーグルはマウンテンビューの既存のグーグルプレックス(同社本社の愛称)よりさらに壮大な施設の建築許可の申請を行った。敷地面積23万平方メートルの建設用地は、必要に応じて模様替えすることができる軽い天蓋のような構造物で覆われる。
アップルは、新たに植えられた6000本の樹木の森の中に不気味に潜むエイリアンの宇宙船にしか見えないドーナツ型の4階建て施設をクパチーノに建設中だ。建設予算が50億ドルを超えたと噂されるこの「母船」は、来年開設した時、ペンタゴン(米国防総省)の3分の2の大きさになり、1万2000人以上を収容できると言われている。
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