春節:100万円福袋、免税対応拡充…国内各社は準備万端

2015年02月17日

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訪日外国人の旅行者数

 訪日中国人をターゲットにした「春節商戦」が活気を帯びている。百貨店などは中国人に人気が高い日本製品の福袋を用意したり、免税手続きを迅速に行える態勢を整えたりするなど、万全の備えで臨む。国内需要の低迷に苦しむ小売り各社は、中国人の買い物意欲に熱い期待を寄せている。

 「日本のお店は品ぞろえが非常に豊富です。喜んで最初に買い過ぎると持ち運ぶのが大変なので注意してください!」。北京空港から17日、成田空港に向けて出発した団体ツアーの添乗員は大きな声で呼びかけた。東京、京都、大阪などを5日間で巡るという。初の日本旅行となる北京市内の会社員、李月(り・げつ)さん(32)夫妻は「目的は買い物。予算は1万元(約19万円)で、デジタルカメラやタブレット端末、化粧品を買いたい。円安で中国より安いから」と声を弾ませた。

 高島屋新宿店(東京都渋谷区)では17日午後、免税カウンターに20人以上の行列ができた。18日からは巾着袋や包丁、ベビー服など日本製の人気商品をそれぞれ詰め合わせた福袋を前年の2倍の1800個用意する。120万円の鉄瓶や130万円のサンゴのネックレスなども春節用に取り寄せた。担当者は「期間中に前年比2.5倍の売り上げを目指したい」と意気込む。

 松坂屋上野店(台東区)も18日から、ダイヤモンドの指輪とネックレスをセットにした福袋を100万円で販売する。免税の売り上げが全売上高の1割以上を占める三越銀座店(中央区)では、24日までの約1週間、免税カウンターを通常より7席増やして15席にする。婦人服や子供服売り場には中国語に対応したタブレット端末を10台用意した。

 ディスカウントストア大手のドン・キホーテは9日、インターネット上で商品を予約できるサイトを開設した。中国人らが出発前に予約すると、日本の各店舗で商品を受け取れる仕組みで、まとめ買いにも対応できるという。スーパーのダイエーは16日から、免税対応店舗を7店舗から全国103店舗に拡大。東京ディズニーリゾートに近い新浦安店(千葉県浦安市)は1階の食品売り場に、中国人に人気の抹茶味の菓子や日本酒などを集めた特設コーナーを設けた。

 国内の小売り各社が春節商戦に沸くのは、中国人の旺盛な需要が理由だ。観光庁によると、1人当たりの中国人の旅行消費は外国人平均(15万1374円)を大幅に上回る23万1753円。旅行消費に占める買い物の割合は6割で、3~4割の韓国、台湾に比べても突出して高い。

 昨年1年間の中国人訪日客は前年比83%増の240万人で、10年前の約4倍に上った。国内消費が鈍る中、中国人をいかに取り込むかが各社の売り上げを左右するのが実情だ。

 一方、ホテルや航空業界も歓迎ムードだ。都内にある4カ所のプリンスホテルは、昨年の春節期間と比べ、予約数が1~2割増。レストランでは、春節に食べる風習がある「水ギョーザ」を用意し、餅つきのイベントも開く。日本航空も春節に合わせ、北京−成田の計6便を144人乗りから237人乗りに大型化した。【種市房子、神崎修一、北京・井出晋平】

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