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原発と共存 象徴の看板撤去へ 福島・双葉町
3月9日 22時27分

東京電力福島第一原子力発電所がある福島県双葉町は、原発との共存を図ってきた町を象徴する標語が書かれた2つの看板について、老朽化が進んでいることから取り壊す方針を決めました。
撤去される方針が決まったのは、帰還困難区域となっている双葉町中心部を通る国道と役場の前の2か所にあるアーチ型の看板で、町が昭和63年と平成3年に設置しました。
看板には「原子力明るい未来のエネルギー」、「原子力豊かな社会とまちづくり」など、当時町民から募集した標語が書かれていて、看板は長年、原発と共存を図ってきた町を象徴する存在でした。
町によりますと、震災と原発事故から4年となるなか、町への立ち入りが制限されているため看板の管理ができず、上の部分のとたんが腐敗するなど老朽化が激しいことから、撤去することを決めたということです。
町は新年度予算案に撤去費用としておよそ410万円を盛り込んでいて、可決されれば、ことし9月以降に取り外すことにしています。
看板を撤去する方針を決めたことについて、双葉町復興推進課は「一時帰宅の住民など通行する人たちの安全面を考えて取り壊すことを決めた」と話しています。

「看板撤去に危惧」

「原子力明るい未来のエネルギー」という標語を小学6年生のときに考えた大沼勇治さん(39)は、現在、家族と共に茨城県古河市で避難生活を続けています。
町が看板を撤去する方針を決めたことについて、大沼さんは、「当時は原発と共に町が発展するという思いで標語を考えた。しかし、震災と原発事故から4年となる今も、町に帰ることができない現実がある。看板を撤去することは原発事故の過ちが消されてしまうのではないかと危惧している。後世に原発事故の教訓や記憶を伝えていくためにも看板は残すべきだと思う」と話していました。

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