秋アニメ「キルラキル」の各話タイトル、同じ名前の楽曲があるので調べて聴いてみた

コラム by 土屋綾子 2013/11/28

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秋アニメ中最も話題と言っても過言ではない作品「キルラキル」。やたら難しい登場人物名や画面を覆いつくす極太フォントの字幕、それに負けないほどハイテンションでド根性なストーリーですが、そんな本編に反して各話のタイトルがやけにアンニュイなのです。

というわけで今日取り上げたいのは、「天元突破グレンラガン」を手がけた今石洋之率いるトリガーが制作……というだけでグイグイテンションが上がる作品「キルラキル」!!……の、“各話のタイトル”です。
11月28日現在公開されているタイトルは8話分なんですが、そのすべて、60~70年代の邦楽歌謡曲にも同じタイトルのものがあるんです。では実際、ピックアップされたタイトルの曲はどんなものなんでしょう? さっそく調べて聴いてみました。

第1話タイトル「あざみのごとく棘あれば」

こちらはしょっぱなから時代を感じる1曲です。横溝正史原作のテレビドラマ「金田一耕介シリーズ」の主題歌で、1978年に発表された茶木みやこ作詞作曲の「あざみの如く棘あれば」。トリプルパンチくらいの不幸が訪れたと思われる、やさぐれた若い女性の姿が目に浮かぶような歌詞です。タイトルの意味はざっくりですが、この女性が棘のあるあざみのように自分の心を守れる人間だったら、こんなにくよくよしないというのにねぇ……ということかと。歌声もずしっと下腹に来るものがあります。

「あざみの如く棘あれば」をYouTubeで探す

第2話タイトル「気絶するほど悩ましい」

これは知っている人も多いのではないでしょうか。日本を代表するギタリストCharのデビュー2枚目のシングル「気絶するほど悩ましい」、1977年の作品です。数々のヒット・ソングを手がけた作詞家の阿久悠による歌詞は、腹黒小悪魔系女子に惚れる男子の苦悩が描かれております。あざといってわかってんだけどあの子に振り回されちゃうんだよなァー、俺! であります。しかし、甘いマスクでこの曲を歌いギターを弾き鳴らすCharの方がよっぽど……と個人的には思いますね。

http://youtu.be/8hktD1u2uA0

第3話タイトル「純潔」

はい来たアイドルです! 70年代に登場し 「元祖アイドル」とも称されている、沖縄出身の南沙織。彼女が歌うのはどストレートに「純潔」です。有馬三恵子による歌詞は「女の子は」「バラ色」「恋は大事ね」「お家が飛びそう」などのハイクラス乙女ワードが並んでおりますが、そのイメージに反してちょっと低めのセクシーな歌声がギャップの妙を感じますね。ちなみに彼女の旦那様は「激写」の生みの親、写真家の篠山紀信です。

http://youtu.be/p_NbQCG7WVo

第4話タイトル「とても不幸な朝が来た」

お次は女性歌手の黛ジュンの曲。ジャズ・シンガーとして米軍キャンプを周っていたという経歴を持ち、歌手の他に女優としても人気の美貌で、デビュー当時よりミニスカートがトレードマークだったという、お色気たっぷりなお方です。愛する人との別れの朝を歌ったこの曲は、歌詞の「六時」から「七時」、そして「九時」と、時間を追うごとにころころと変わる曲の展開が主人公の心情を反映していて、かなり秀逸に楽曲の個性を際立たせています。

http://youtu.be/EBMQg4FEZhc

第5話タイトル「銃爪(ヒキガネ)」

ワイルドな親御さんをお持ちの方なら、「世良公則、ツイストってどんな人たち?」と聞いてみれば、高テンションで答えてくれる可能性がとても高いです。この曲はその世良公則&ツイストの3枚目のシングル「銃爪」。「あざみの如く棘あれば」に続き、やさぐれ感満載であります。傷ついた女性に惚れる俺様系な男性目線で描かれた、言いたい放題の歌詞。悲しい女になったと言い捨てた相手に「今夜こそおとしてみせる」と宣言するくだりは、今だったら(キリッ)とか付けられるくらいのキメっぷりです。こんなカップル近くに居たら面倒そう……。

http://youtu.be/5LC0zTa_OJo

第6話タイトル「気分次第で責めないで」

こちらはサザンオールスターズが1978年に発売した2枚目のシングル「気分しだいで責めないで」。デビュー曲「勝手にシンドバッド」でいきなりの大ブレイクを遂げたサザンですが、こちらの曲は長らくライブで披露されていなかったこともあり、現在では知る人ぞ知る作品です。ゴールデンボンバーの「女々しくて」に通じるような、ノリと勢いと切なさが同居した楽曲です。ここまでの曲と比べると、描かれている男性像もお茶目さがあって、雲間の光のようにスカッとした気持ちになりますね。下の動画はザ・ベンチャーズによるカバーです。

http://youtu.be/dWh5q7Td26A

第7話タイトル「憎みきれないろくでなし」

70年代を誇るザ・セクシー男性歌手といえば「ジュリー」こと沢田研二は筆頭に上がる存在です。ハットを片目が隠れるほど斜めに被ってカメラに向かって流し目をする姿は、黒酢を一気飲みさせられたかのようなむせかえる色気がムンムン。さてこちらの「憎みきれないろくでなし」の歌詞を見ると、これまた曲者そうな女性がいらっしゃいます。“恋に埋もれて死ぬ気”では? とジュリーから心配されるほどに……。70年代の恋愛は戦争ばりに命がけだったみたいです。

http://youtu.be/pojy_AY2tHE

第8話タイトル「俺の涙は俺が拭く」

ここでちょっと曲のテイストが変わりました。ベンチャーズっぽいギターのクロマチック・ラン(テケテケ音)から始まる美樹克彦の「俺の涙は俺がふく」。冒頭「俺だって!」という気合いや、ら行の巻き舌からかなり突っ張った若者像がうかがえます。彼のワルっぽさ、男っぽさは筋金入りで、67年の「花はおそかった」で出演した紅白歌合戦にて曲終わりに「バカヤロー!」と叫んだとのことで、男臭さが大爆発ののち炎上、多くの青少年に影響を与えたようです。

 

このように「キルラキル」には、各話に60~70年代歌謡曲のタイトルが使われています。紹介したタイトルの楽曲は、一筋縄ではいかなそうな男性/女性像が浮き出てくる歌詞と、歌い手の個性を反映させた多彩な曲展開がどれも興味深いですね。

さて、これだけ70年代推しともなると、すなわち本編にもそのテイストがふりかけられているということ。劇画タッチの絵や猛者が集う学園でひとり戦う主人公などの構図は「炎の転校生」「魁!男塾」、主人公のはすっぱな口調やセーラー服姿などはスケバンを思い起こさせます。そんな往年の映画・アニメ作品へのオマージュが詰め込まれた作品「キルラキル」の本編はぜひ各自ご覧いただきたいです!

キルラキル

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父の死の謎を追い転校してきた少女・纏流子。
転校した本能字学園は、着た者に特殊な能力を授ける『極制服』により絶対的な力と恐怖で生徒会会長・鬼龍院皐月が支配していた。
その出会いは、偶然か、必然か。
学園に巻き起こる波乱は、やがて全てを巻きこんでいく!

2013年10月よりMBS・TBS・CBC・BS-TBS “アニメイズム”枠にて放送
MBS:10/3より毎週木曜26:05〜
TBS:10/4より毎週金曜26:25〜
CBC:10/4より毎週金曜27:10〜
BS-TBS:10/5より毎週土曜24:30〜
ニコニコ動画:10/6より毎週日曜22:30〜/アーカイブ配信は23:00〜(1週間は無料配信)
バンダイチャンネル:10月13日より毎週日曜12:00〜/有料会員限定1週間無料配信
dアニメストア:10月13日より毎週日曜12:00〜/1週間無料配信
※放送日時は変更になる場合があります。

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