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発送電を分離へ 改正案を閣議決定3月3日 11時20分
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政府は電力事業への新規参入を促すため、大手電力会社の発電と送配電の部門を分社化するいわゆる「発送電の分離」を5年後から実施するとした電気事業法の改正案を3日の閣議で決めました。
政府は、福島第一原子力発電所の事故で東京電力が計画停電を余儀なくされた反省をもとに、「電力システム改革」に取り組んできました。
これまでに2段階にわたって電気事業法の改正が行われ、一般家庭が電気の契約先を自由に選べるようにする小売りの全面自由化が来年4月をめどに実施されることなどが決まりました。今回は3段階目の改革で、3日閣議決定された改正案では、現在は大手電力会社が一体で運営している発電と送配電の部門を分社化する、いわゆる「発送電の分離」について5年後の平成32年4月から実施することが盛り込まれています。送配電網を新規参入の企業も公平に使えるようにすることで競争を促すねらいがあります。
また、併せて閣議決定したガス事業法の改正案では、平成29年をめどに、一般家庭でも都市ガスの契約先を自由に選べるようにする小売りの全面自由化を実施するとしています。そのうえで、平成34年4月に東京ガスと大阪ガス、それに名古屋の東邦ガスの大手3社に対し、パイプライン部門の分社化を義務づけるとしています。
政府は電力とガス事業を一体で改革することで業界の垣根を越えた競争が促され、料金の値下げなどが期待できるとして今の国会でこれらの法案の成立を目指すとしています。
これについて宮沢経済産業大臣は、閣議のあとの会見で、「安倍政権の成長戦略の柱として成長をリードするエネルギー産業をつくりあげる改革をしていく。通信は自由化をして消費者に大変メリットがあった経緯があるので、電力・ガスについても相当メリットが出てくると思う」と述べました。
これまでに2段階にわたって電気事業法の改正が行われ、一般家庭が電気の契約先を自由に選べるようにする小売りの全面自由化が来年4月をめどに実施されることなどが決まりました。今回は3段階目の改革で、3日閣議決定された改正案では、現在は大手電力会社が一体で運営している発電と送配電の部門を分社化する、いわゆる「発送電の分離」について5年後の平成32年4月から実施することが盛り込まれています。送配電網を新規参入の企業も公平に使えるようにすることで競争を促すねらいがあります。
また、併せて閣議決定したガス事業法の改正案では、平成29年をめどに、一般家庭でも都市ガスの契約先を自由に選べるようにする小売りの全面自由化を実施するとしています。そのうえで、平成34年4月に東京ガスと大阪ガス、それに名古屋の東邦ガスの大手3社に対し、パイプライン部門の分社化を義務づけるとしています。
政府は電力とガス事業を一体で改革することで業界の垣根を越えた競争が促され、料金の値下げなどが期待できるとして今の国会でこれらの法案の成立を目指すとしています。
これについて宮沢経済産業大臣は、閣議のあとの会見で、「安倍政権の成長戦略の柱として成長をリードするエネルギー産業をつくりあげる改革をしていく。通信は自由化をして消費者に大変メリットがあった経緯があるので、電力・ガスについても相当メリットが出てくると思う」と述べました。
競争の活発化と行きすぎ
電力システム改革の柱の1つである発送電分離は、電力会社が所有する送配電網をどの企業も公平に利用できるようにすることで発電や小売り事業への新規参入を促し、競争を活発にしようというねらいがあります。
政府は一連の改革で、8兆円余りの電力市場が開放されると試算しています。
地域や業種を越えた参入が進み電気料金の引き下げや多様なサービスメニューが提供され消費者の選択の自由が広がることが期待されています。
一方、懸念もあります。
今回の改革によって電力会社はこれまで課されていた安定供給の義務がなくなるため、競争が行きすぎると経営的な余裕がないことを理由に発電所の新規建設をためらって将来、停電を招くおそれも指摘されています。
こうした事態を防ぐため政府は新たな電力市場を監視する機関を設けることにしていて、競争が進んでいるかや電力会社が安定供給できる態勢になっているかなどを検証して必要な措置を講じていくとしています。
政府は一連の改革で、8兆円余りの電力市場が開放されると試算しています。
地域や業種を越えた参入が進み電気料金の引き下げや多様なサービスメニューが提供され消費者の選択の自由が広がることが期待されています。
一方、懸念もあります。
今回の改革によって電力会社はこれまで課されていた安定供給の義務がなくなるため、競争が行きすぎると経営的な余裕がないことを理由に発電所の新規建設をためらって将来、停電を招くおそれも指摘されています。
こうした事態を防ぐため政府は新たな電力市場を監視する機関を設けることにしていて、競争が進んでいるかや電力会社が安定供給できる態勢になっているかなどを検証して必要な措置を講じていくとしています。
英 6大手企業で発電市場の70%をシェア
イギリスは競争原理の導入による電気料金の引き下げなどを目的に、1990年に欧米で初めて、発送電の分離に踏み切りました。
これによって、発電と送電事業を独占してきた国営会社は、発電会社3社と、送電会社1社に分割されました。
その後、ドイツやフランスなど外国の大手エネルギー会社がイギリスの会社を買収したり、ガス会社が電力事業を拡大したりする動きが相次ぎ、現在は、6つの大手企業が発電市場でおよそ70%のシェアを占めています。
また1999年に自由化された家庭向けの小売りは、同じく自由化されているガスと電力のセット販売など多様な料金メニューが用意されています。
インターネットで価格を比較できるサイトもあり、利用者が家族構成や家の断熱性能などを入力するとさまざまな料金プランが提示されるサービスもあります。
競争によってイギリスの電気料金は、1999年の自由化後の3年間で6%低下しました。
しかし、石油や天然ガスの価格が上昇したことや自由化のあと、大手会社の寡占が進み、競争が不十分だったことなどから2013年までの14年間でおよそ50%程度、上昇しています。
これによって、発電と送電事業を独占してきた国営会社は、発電会社3社と、送電会社1社に分割されました。
その後、ドイツやフランスなど外国の大手エネルギー会社がイギリスの会社を買収したり、ガス会社が電力事業を拡大したりする動きが相次ぎ、現在は、6つの大手企業が発電市場でおよそ70%のシェアを占めています。
また1999年に自由化された家庭向けの小売りは、同じく自由化されているガスと電力のセット販売など多様な料金メニューが用意されています。
インターネットで価格を比較できるサイトもあり、利用者が家族構成や家の断熱性能などを入力するとさまざまな料金プランが提示されるサービスもあります。
競争によってイギリスの電気料金は、1999年の自由化後の3年間で6%低下しました。
しかし、石油や天然ガスの価格が上昇したことや自由化のあと、大手会社の寡占が進み、競争が不十分だったことなどから2013年までの14年間でおよそ50%程度、上昇しています。