(2015年3月6日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
3月3日、米議会の上下両院合同会議で演説するイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相〔AFPBB News〕
皮肉は、ベンヤミン・ネタニヤフ氏の得意とするところではない。
イスラエル首相は3月初め、イランの核開発計画について再び終末論的な警告を発するためにワシントンにいた。今回は、2012年に国連で高々と振りかざしたイランの核爆弾の略図は家に置いてきた。
だが、この直近の演技は、今の指導者ほどイスラエル国家を無防備にすることに熱心な人は誰もいないことを改めて思い出させた。
驚くまでもなく、ネタニヤフ氏は米議会の共和党の友人たちから温かい拍手を浴びた。ジョン・ベイナー下院議長は、バラク・オバマ大統領に恥をかかせる機会を決して逃さない。多くの民主党議員は会議を欠席した。
イスラエル国民が心配すべきなのは、米議会の外では、誰も耳を傾けていないことだ。ネタニヤフ氏が自らのトレードマークにした好戦的な強硬姿勢は、とうの昔に欧州諸国の支持を失った。共和党議員と一緒になってオバマ氏を批判することで、ネタニヤフ氏はホワイトハウスとの信頼関係を粉々にした。
自ら信用を落としたネタニヤフ首相
ここに、1つ、皮肉がある。ネタニヤフ氏は自分自身から信頼性を奪い去ったのだ。このイスラエル政府がイラン政府との核合意の明白なリスクについて何を言っても――それが分別のあるものであろうとなかろうと――、大抵の場合、新たな中東戦争にひたすら固執する人物の戯言として片づけられるだろう。
真の政治家であれば、イスラエルを6カ国協議のパートナーにしていたはずだ。だが、傍観者の立場から怒りの叫びを上げることで、ネタニヤフ氏は脇に独り取り残されることになった。
イスラエルが孤立へ向かっているのは、イラン問題だけのためではない。国連でパレスチナを国家として正式承認する方向に国際社会を向かわせている世論のうねりは、元をたどれば、イスラエルが占領地のヨルダン川西岸地区で違法な入植地を急拡大したことに真っ直ぐ行き着く。
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