(ナレーション)
皇室の血を引かず女性で治天の君となった日本史上唯一の例があった
南北朝時代北朝の存続を担った…
大光明寺は相国寺の塔頭で南北朝時代の創建
伏見宮家の菩提寺で足利将軍家との関わりも深く茶の湯の名品など数多くの寺宝を所蔵する寺である
飛び地境内の妙音堂では御火焚祭に焼きみかんが振る舞われる
梵王山・大光明寺は1339年…
広義門院は後伏見天皇の皇后
仏教に深く帰依し夢窓疎石に禅を学んだ
帝崩御後は尼となり洛南の伏見離宮に寺を建て自らの院号・大光明院から名を取って菩提を弔った
それが大光明寺である
その後幾たびか焼失したが桃山末期家康によって再興され1651年塔頭として相国寺に移された
(矢野さん)相国寺が出来る前ですね。
相国寺よりも早く大光明寺が建立されておりました。
前庭は峨眉山の庭
先代の住職で臨済宗相国寺派管長有馬底の作庭である
峨眉山とは中国・四川省の山で普賢菩薩霊場でもありこの庭は山の険しさと禅修行の厳しさを表しているという
(矢野さん)明治の初年にですね大光明寺とそれから心華院というお寺それから常徳院。
この3つのお寺を統合して名前は大光明寺を残したんです。
しかし今あるこの建物は実は心華院というお寺の建物なんです。
そして因縁から常徳院の塔所も大光明寺が兼ねているというそういう状況です。
ご本尊は普賢菩薩なんです。
南北朝時代ですね600年以上たってます。
本尊・普賢菩薩は合掌の普賢として知られている
蓮華座の下には6本の牙がある白い象
普賢菩薩は女人往生を説く「法華経」に登場することから女性の信仰を集め広義門院が寺を創建した当初からられている
大光明寺は京都十三仏第四番札所で普賢菩薩霊場ということになっております。
札所ですからいつでもお参りができるとそういうふうに開放しております。
両脇には伏見宮家歴代の位牌
初代・栄仁親王は広義門院の孫で「有栖川殿」と呼ばれ以降この寺は伏見宮家の菩提寺である
前の有馬管長がこちらで住職をされたときはなんと真ん中に伏見宮家のご位牌があって普賢菩薩さんは横にあったと。
それほど伏見宮家だけのためのお寺だったということになる。
長持には伏見宮家の紋…
大光明寺の寺紋にもなっている
皇室とは逆に菊を裏から見た状態で中央には萼が描かれている
襖絵は江戸中期の画家江阿弥による牡丹に唐獅子図。
山水図
江阿弥は大阪画壇の狩野派の画家…
異彩を放った伊藤若冲も大岡春卜に習ったといわれ江阿弥は兄弟子に当たる
上間下間は四季花木図
近代京版画の巨匠徳力富吉郎の日本画で近年の作
中国・清の最盛期乾隆年間の墨を使って描かれた
厳しい修行によって悟りを啓いた境地を表した庭である
「心」という字のこういう部分ですね。
で心字の庭。
これは心華院の「心」から来ていますけども。
原型は西笑承和尚が造ったといわれてますけども。
桃山の終わりぐらいからですね。
室町九代将軍・足利義尚の墓
子供がいなかった八代将軍・義政は弟・義視を養子にして次期将軍と考えていたが妻・日野富子との間に義尚が誕生
跡目争いから応仁の乱が勃発することになる
義尚は将軍になったが近江の陣中で脳いっ血のため23歳の若さで亡くなってしまう
義尚は和歌に通じ容姿端麗であった
父・義政は相国寺塔頭の…
五山の送り火の「大」の字は義尚の墓の方向に向けて造られたともいわれる
(矢野さん)あの「大」という字は相国寺の歴代の…横川景三という和尚さんが「大」という字の原型を書いてますから父親の義政がほんとに嘆き悲しんで送り火をしたのかなとそう思っております。
出町・妙音堂
弁財天をる飛び地境内である
弁天さんは芸能の神様なんです。
その象徴があの琵琶なんですね。
理想とされてるのがさらさらと流れる水の音。
これが妙音。
それを理想としますので「妙音堂」と付けるわけですね。
弁財天の元となったヒンドゥー教の女神サラスヴァティは水の神
蛇は弁財天の使いとされる
龍蛇にご縁があると。
そういうことです。
六角堂
広義門院が後伏見天皇に輿入れの折念持仏として持参した絵である
紅葉が映える大光明寺・北庭
書院
「虚室」と名付けられた茶室
先々代の住職大津堂が建てたもので裏千家十三代円能斎鉄中の弟西象庵が設計した四畳半本勝手
千利休の掛軸
大光明寺には茶の湯ゆかりの名品が多く所蔵されている
青磁の隙のない形
義政の頃の茶の湯では一級工芸品の唐物が好まれた
利休の時代になって飽きのこない高麗物が好まれるようになった
大井戸は大ぶりの茶碗で当時戦国大名がこぞって求めた権威の象徴であった
中国・元
天目茶碗を手にする僧と水注を持つ従者
傍らでは薬研をすっている
数珠を持ち椅子に座る羅漢に薬湯を供するところだろうか
一点一画を明確にした墨蹟
義政の叔父相国寺の仙巌澄安の住まい萬松軒の額の下書きである
秋。
妙音堂・御火焚祭
「大般若波羅蜜多経」を唱えながら経典を転読する
(読経)
(矢野さん)三蔵法師が訳された600巻の「般若心経」…「大般若」をとても読めませんのでこうやって転読するわけですね。
パラパラっとめくって読んでる。
「降伏一切大魔最勝成就」。
(矢野さん)災いを退けて最高の成就を求めると。
そういうお経なんですけども。
昔ながらの京に残る味生菓子の老舗である
御火焚頭は年に1度だけ売られ宝珠の焼印が入っている
神仏からのお裾分けを食するのである
火は霊験あらたかなものの象徴
護摩木に願いを書き心願成就を祈る
縁起物のみかん
護摩木の火で焚いて食べると同じ功徳があるとされる
「大般若」の経本で厄よけの肩たたき
シンガーソングライター…
三笠宮家…
いつの時代にあっても手を合わせることで育まれ目覚める仏心
長い歴史のなかで皇室と深い関わりを持ちながら市井の信仰も集め親しまれているそれが大光明寺なのである
細見美術館が所蔵する琳派の作品をご紹介します
2015/03/08(日) 06:15〜06:30
MBS毎日放送
美の京都遺産[字]
「大光明寺」
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 歴史・紀行
福祉 – 文字(字幕)
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