集団的自衛権:行使の範囲「新事態」で歯止めどう変わる?

毎日新聞 2015年03月06日 21時25分(最終更新 03月06日 23時40分)

集団的自衛権の行使を可能にする安保法制のイメージ
集団的自衛権の行使を可能にする安保法制のイメージ

 政府は6日、安全保障法制の整備に関する与党協議会で、武力攻撃事態法などを改正し、日本と密接な他国が武力攻撃を受けた場合に集団的自衛権を行使できる「新事態」を盛り込む方針を伝えた。昨年7月の閣議決定を受け、政府が想定する安全保障関連法案の大枠が、これですべて示されたことになる。ただ、公明党からは新事態の定義が不明確だとして、政府に詳細な説明を求める声が出ており、集団的自衛権行使の範囲や歯止めをめぐり、なお曲折が予想される。

 自民、公明両党は関連法案の整備に向けた考え方を今月下旬に取りまとめる予定で、政府はこれを受け、具体的な条文作りに入る。

 武力攻撃事態法は、日本への武力攻撃に対処するために▽自衛隊の防衛出動が可能となる「武力攻撃事態」▽待機命令が出せる「武力攻撃予測事態」−−を規定している。武力攻撃事態はさらに、(1)武力攻撃が発生した事態(2)武力攻撃が明白に切迫した事態−−に分類されている。従来は憲法解釈上、自衛隊が武力行使できるのは、実際に武力攻撃が始まる(1)のみとされてきた。

 これに対し、政府は昨年7月の閣議決定で、憲法9条の解釈を変更した。日本が直接攻撃を受けていなくても、「密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由などの権利が根底から覆される明白な危険がある場合」などの新3要件を満たせば、「自衛の措置」としての集団的自衛権の行使が可能との方針を打ち出した。

 政府は与党協議会で、3要件を満たす「新事態」を新たに規定し、自衛隊法と武力攻撃事態法に盛り込む方針を伝えた。武力攻撃事態とは別に「新事態」を設ける理由について「新事態と武力攻撃事態は重なることがあるが、(日本への武力攻撃があるかないかの)評価の軸が異なる」と説明した。

 政府の説明を受け開かれた公明党の会合では、「新事態で、他国で武力行使ができるとはどういう具体例を想定しているのか政府にもっと説明してほしい」などと「新事態」の明確な説明を求める声が相次いだ。

 新事態の認定に関しても「攻撃国の意思、能力、事態の発生場所、その規模、態様、推移などの要素を総合的に考慮」すると説明した政府答弁をそのまま法律に書き込むよう求める意見が出た。

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