日曜美術館 アートシーン ▽“没後50年小杉放菴〈東洋〉への愛”展 ほか 2015.03.08


「アートシーン」です。
洋画家であり日本画家でもあった小杉放菴の没後50年を記念する作品展が開かれています。
取って置きの愉快な舞を披露する「天のうづめの命」。
優しい色調で描かれた女神のユーモラスな姿には敗戦で打ちひしがれた国民を勇気づけたいという作者の祈りが込められているようです。
明治大正昭和の激動期洋画日本画の双方に新しい風を吹き込んだ画家小杉放菴の作品展です。
放菴は明治14年栃木県日光に生まれます。
10代から絵を学んだ放菴。
若い頃は「未醒」と名乗り酒好きで豪傑な洋画家でした。
未醒の名を高めた30歳の時の作品「水郷」。
文展で最高賞を受賞しました。
網を手に取りたたずむ漁師。
リアリズムの伝統を受け継ぎながらどこか装飾性もある作品です。
洋画家として将来を期待された未醒はヨーロッパに留学しますが伝統の重みに押し潰されそうになります。
そんな時目にしたのが江戸の文人画家池大雅の絵でした。
日本画の魅力に取りつかれた未醒はその後日本的な表現を取り入れるようになります。
この作品にはふくよかな体と優しいほほ笑みをたたえる東洋のビーナスが表現されています。
未醒は42歳で「放菴」と名を変え本格的に日本画に傾倒していきます。
麻から作った特注の麻紙を愛した放菴。
麻紙だからこそ出せる微妙なにじみを生かした独自のスタイルを確立していきます。
白梅の咲く老木。
小綬鶏が「ちょっと来い」と春を呼んでいるようなさわやかな作品です。
まさかりを担ぎ熊にまたがった金太郎は放菴が好んで描いた主題です。
戦時中他の画家が戦争画を描く中で放菴は金太郎を描き続けました。
明るく力強い金太郎を描く事で人々の心を勇気づけたいと思ったからです。
戦前50歳を越えた頃から山の中で文人的な生活を楽しんでいたという放菴。
大きな石の上でめい想にふける人物は自身の姿。
放菴は庭先の石に座って刻々と姿を変える山を眺めるのを日課としていました。
「放菴画」と呼ばれる愛らしい作品がそろった展覧会。
あの洋画の技術をもって横山大観らと共に新しい日本画を目指した1人ですよね。
そうです。
あの放菴が編み出した技法もあるのでその技術的な部分を見ても楽しそうですしあの水墨画がとても興味深いですね。
その幅広さが楽しみですよね。
さあそれではその他の展覧会です。
日本各地を旅しながらその土地の人々のために多くの仏像神像を刻んだ円空と木喰。
木彫りの像およそ250点を集めた展覧会です。
円空は1632年現在の岐阜県に生まれ32歳の時に像を彫り始めます。
以来全国各地を行脚し彫り跡の残る力強い像を数多く残しました。
「十一面観音菩薩」は今回の展示で一番大きな像。
およそ2m40cmあります。
表面は滑らかで目尻がつり上がった表情。
彫り始めてまだ間もない頃の円空の特徴です。
これらの像は大小さまざまな木片で造られています。
一番小さい像は僅か数センチ。
円空がどんな小さな木片も大切にしていた事が見て取れます。
円空の死から23年後現在の山梨県に生まれた木喰は61歳になってから神仏像を彫り始めます。
木喰もまた全国を旅しながら像を造りました。
これらは祠に祭られている像ですが普通の仏像と違い誰もが触れる事のできる身近なものだったと言われています。
この像は全長が80cmほど。
背面が空洞で子供が中に入れる大きさのためソリとして遊ばれていました。
顔面はほとんどすり減っています。
こちらは木喰が90歳の時に造った自分自身の像です。
背面には「二千ノ内」と書かれ2,000体の像を造ろうとしていた事が分かります。
90歳でなお創作意欲は衰えませんでした。
円空と木喰の共通点は訪れた先々でその地に暮らす人々のために像を彫ったという点です。
長い年月をかけて各地に残した数々の仏像神像を通して円空と木喰そして人々がその像に込めたさまざまな思いを感じ取って頂ければうれしいです。
「夜の世界」を描いた作品展です。
「夜の絵」にこだわり続けた画家ジョルジュ・ド・ラ・トゥール。
静けさの中青年が薪に息を吹きかける息遣いが聞こえてきそうです。
日本画家池田遙は京の台所錦小路の夜を描きました。
光にあふれた通りの活気が伝わってきます。
風刺からブラックユーモアまで。
「笑い」の展覧会です。
すたすた坊主。
歌い踊りながらお金持ちに物乞いしその代わりにお参りします。
いかにも楽しそうにすたすた歩く様が笑みを誘います。
馬小屋にいるのは馬ではなく機械と合体した馬のバイク。
その前で男たちは酒を飲み楽しんでいます。
「厩図」をテーマに山口晃の遊び心が随所にちりばめられています。
戦後日本を代表する建築家丹下健三の写真を通してその建築を見つめます。
丹下は写真をこよなく愛し自分の作品の制作過程を撮影。
そこに赤線で不要部分を取り除くトリミングの指示を出しました。
写真へのこだわりがうかがえます。
イタリアで見た念願のミケランジェロの建築。
インドの宮殿。
旅先で撮った写真からは興奮冷めやらぬ若き建築家の姿が浮かびます。
中国で生まれ青や緑を基調とした美しい焼き物青磁。
空の色水の色にも例えられ多くの人々を魅了してきました。
中国南宋時代から現代までの青磁作品を集めました。
人々を魅了する独特の色合い。
これは鉄を含んだ釉薬をかけて焼く事でつくり出しています。
今回注目は先達の技法を生かしながら青磁の新たな可能性に挑んだ現代作家たちの作品です。
青磁にこだわる神農巌。
作品の特徴は「堆磁」と呼ばれる流れるような線の文様です。
緩やかに弧を描く壺。
そこに描き出された文様からは波や風など神農が感じた自然の姿が伝わってくるようです。
左右非対称の風変わりな形をした鉢。
川瀬忍の「青磁大鉢」は身近な自然からヒントを得た作品です。
それはシュウカイドウの葉。
それまで僕左右対称の鉢とかそういうの作ってたんですけどもこの花を偶然ぱっと見て見ると右左大きさ違うんですよね。
それでちょっとずらしてシュウカイドウのイメージの鉢も作れるんだなって事をこの花から気が付いたんですけど。
「アートシーン」でした。
ではまた次回。
2015/03/08(日) 09:45〜10:00
NHKEテレ1大阪
日曜美術館 アートシーン ▽“没後50年小杉放菴〈東洋〉への愛”展 ほか[字]

「没後50年小杉放菴 —〈東洋〉への愛」(出光美術館 2月21日〜3月29日)ほか、展覧会情報

詳細情報
番組内容
「没後50年小杉放菴 —〈東洋〉への愛」(出光美術館 2月21日〜3月29日)ほか、展覧会情報
出演者
【司会】井浦新,伊東敏恵

ジャンル :
趣味/教育 – 音楽・美術・工芸
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
情報/ワイドショー – その他

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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