政治資金規正法:顧問料、子会社だから…都合いいよう解釈

毎日新聞 2015年03月07日 08時00分

 西川公也前農相が国の補助金を交付された会社から献金を受けた問題で、献金元の木材加工会社の100%子会社も2013年に林野庁から11億円の補助金交付が決定していたことが分かった。この時期、西川氏は木材加工会社から顧問料を受領。政治資金規正法は補助金交付決定から1年間の献金を禁じるが、顧問料であればこの規定に触れず、100%子会社でも補助金受給企業と献金企業が別法人ならやはり規定の枠外とみられ、専門家は法の不備を改めて指摘している。

 栃木県や信用調査会社によると、献金元の鹿沼市の木材加工会社は13年、真岡市に総額58億円をかけた新工場設立を計画し、同社の100%子会社が同年11月、機械設備資金として国の森林整備加速化・林業再生事業から11億円の補助金を受けることが決まった。補助金は同年12月と翌14年10月に支払われた。

 この子会社は新工場の運営を担うため、補助金交付決定5カ月前の13年6月に木材加工会社が設立したばかりで、当時の両社所在地は同じ上、代表取締役と役員も重なる。県によると、当初、親会社である木材加工会社に補助金を出す計画が変更になったという。

 西川氏は落選中の10年8月から12年12月の国政復帰を挟み、農相就任前月の14年8月まで木材加工会社の顧問を務め、毎月18万〜20万円、総額946万円の顧問料を受領。この間の10年9月〜13年11月、木材加工会社と子会社は毎年1〜2件の計5件、計21億7000万円の補助金を受けていたことになる。

 西川氏の政党支部・自民党栃木県第2選挙区支部は12年9月に木材加工会社から300万円の献金を受け、この4カ月前に同社は7億円の補助金交付が決まっていたため規正法違反の疑いがあるが、西川氏は補助金交付の認識を否定。同法では補助金交付の事実を知らなければ政治家側は不問のため、国会で規制のあり方が議論されている。西川氏は子会社への補助金交付を巡っても「その企業のことは承知していなかった」と取材に回答した。

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