セルマ大行進50年:米大統領「人種差別の影依然として」
毎日新聞 2015年03月08日 20時26分(最終更新 03月08日 20時32分)
【ワシントン西田進一郎】1965年に南部アラバマ州であった白人と平等の投票権を求める黒人たちによる「セルマ大行進」から7日で50年を迎え、オバマ米大統領が現地での記念式典で演説した。黒人初の大統領であるオバマ氏は「米国の人種差別の歴史が依然長い影を落としていることは目や耳、心を開けば分かる。行進はまだ終わっていない」と、差別撤廃への努力を呼びかけた。
大行進は、投票権を求める集会で若い黒人参加者が警官に射殺されたことに抗議するため実施された。当日は、約500人が同州セルマから州都モントゴメリーを目指して出発。
しかし、橋で待ち受けていた警察官に警棒で殴打されるなどして制圧された。「血の日曜日事件」と呼ばれる凄惨(せいさん)な場面は全米、世界に発信され批判が高まり、黒人の投票権の妨害を禁じる投票権法の成立につながった。
式典は、事件の舞台となった橋のたもとで開かれ、オバマ氏やミシェル夫人、ブッシュ前大統領夫妻や大行進を先頭で引っ張っていたルイス下院議員らが出席した。
オバマ氏は、中西部ミズーリ州ファーガソンの警察署が人種的偏見に基づく捜査などを日常的にしていたと司法省の調査で認定されたことに触れ「公民権運動を起こした市民を裏切り、無視するものだ」と批判。人種差別を巡る状況は改善してきたとしながらも、さらなる努力を訴えた。