拝啓 十五の君へ 若松島編〜歌と歩んだ島の子どもたち 2015.03.08


OK!・「ありがとうの涙が今この胸に溢れてるよ」今年3月。
卒業式を間近に控えた中学3年生の教室。
長崎・五島列島の小さな中学校。
ここで歌と一緒に過ごした子どもたちの一年をたどります。
・「いつまでも」・「いつまでも」長崎市から西へ100km。
大小140の島から成る五島列島。
かつて迫害を逃れたキリシタンが遠く離れたこの五島に移り住んだといいます。
その五島列島のほぼ真ん中に浮かぶ島が若松島です。
1年前の4月。
朝若松島の港に着いたスクールボートから降りてきたのは島で唯一の中学校へ通う中学生たち。
生徒たちが通うのは全校生徒100人余りの新上五島町立若松中学校です。
3年A組。
A組といっても3年生のクラスはこの1クラスだけ。
ずっと同じ教室で3年間を過ごします。
新学期最初の音楽の授業。
今年の課題曲の楽譜がNHKから届きました。
拍手!若松中学校にNHK全国学校音楽コンクールの譜面が届きました。
集まったのは音楽を選択している3年生の女子たち。
学校には合唱部はありませんが授業の一環として毎年コンクールに挑戦しています。
届いたのはシンガーソングライターのアンジェラ・アキさんが作った課題曲「手紙」。
この曲には今の自分と未来の自分との手紙のやり取りが描かれています。
1番の歌詞では15歳の自分が大人になった自分に宛てて悩みをつづります。
2番になると大人の自分から15歳の自分に返事が届きます。
ずばりその曲だなと思って。
音楽担当の安永文子先生。
3年A組の担任も務めています。
安永先生も五島列島の出身です。
歌が好きだった先生は中学卒業後島を離れて長崎市の高校に進学し東京の音楽大学に進みました。
卒業後ふるさとに戻り五島列島の中学校で音楽を教えるようになりました。
島の子どもたちに歌の楽しさを教えたいと思っています。
夢をかなえる力を与えてあげたいって思った。
島の中にいるとどうしても外に目がいかないし何をしても手が届かないような感じがしてしまうんだけどもNHKコンクールって外に向けて練習をする事で本当にたくさんのものが得られて夢になったんですよね子どもたちの。
一番最初にした時にそれをすごく感じて。
おととし若松中学校は長崎県大会の銀賞に輝きました。
五島列島から参加しているのは若松中学校だけ。
銀賞を受賞した事で生徒たちに自信がつきました。
次の目標は金賞を取って九州大会に進む事。
お〜い!授業の最初に行う基礎練習です。
生徒たちが自主的に編み出した練習方法を取り入れた若松中独自のメニューです。
3年生の増田至保さん。
リーダーシップを買われてこの4月から部長を任されました。
7月のコンクールに向けてメンバーの気持ちをまとめていく重要な役割です。
去年のNコンのように終わった時の感動を味わうっていうのもあるしあとはやっぱり今年は金を取りに行きたいなって思います。
東京から若松島までは飛行機バス船と乗り継いでおよそ7時間。
その若松島に課題曲「手紙」の作者アンジェラ・アキさんが訪ねてきました。
キャ〜!よろしくお願いします!もうすてきすぎる!すてきすぎる!ちょっとうれしい。
ありがとう。
初めまして。
よろしくお願いします。
早速アンジェラさんを学校に案内していつもの基礎練習を披露します。
練習の最後に必ず全員でかける掛け声。
アンジェラさんもその掛け声に加わりました。
歌いましょう!は〜い!う〜Let’sEnjoy!
(拍手)練習後生徒たちとアンジェラさんとのお話が始まりました。
ちょっとピックアップをしたので。
「どうすればモテますか?かわいくなれますか?」。
アヤン彼氏いんの?いないです。
でも好きな人はいる?いないです。
ほんま?ちょっと?いや。
恋をする時絶対誰かをちょっと片思いでもいいけどちょっと好きになってるとかっていう時が一番きれいになれるんじゃないかなと思うから積極的に好きになってもっともっと輝いて。
じゃあ山下みきちゃん。
「友達の事で悩んでいます。
アンジェラさんも友達の事で悩んだ事はありますか?」。
友達って今日仲良くしててもちょっとした事を言われた事で傷ついたりとか…。
自分が傷つけるつもりないのにパッと言ってしまった事で相手をすごい傷つけてしまったりという事ってしょっちゅうあるやん。
だけどどんなに嫌な事があってもちゃんと向き合ってちょっと最初はギクシャクしてもコミュニケーションしていくうちにもっと友情って深まっていくからさ。
そして増田部長。
「大勢の人数をうまくまとめるためには何を頑張ればいいですか?」。
今この全員をまとめるにあたって何か苦労してる事とか大変な事ってある?う〜んまとまるはまとまるけどこれからの方が心配。
今は特にないです。
これからまとめていくっていう事でね。
大勢の人をまとめるって絶対大変やと思うしでも私さっきみんなで掛け声やったやん。
あの掛け声の中の「仲間を信じて」っていう言葉だと思うの。
一番大事なのは一緒に共に歌ってる仲間を信頼してその信じる事から来る一体感みたいなんが多分みんなをまとめる鍵じゃないかなってね思います。
アンジェラさんの提案で1年後の卒業式の自分に向けて手紙を書く事になりました。
合唱の事部活受験恋愛友人関係。
これから始まる1年間への期待そして不安。
15歳の思いを手紙につづります。
アンジェラさんの「仲間を信じて」というアドバイスは新部長の増田さんの胸にどのように響いたのでしょうか。
若松島に夏がやって来ました。
音楽クラスには新しく2年生も加わりメンバーが50人近くに増えました。
部長の増田さんも近づいてきたコンクールに向けてメンバーへの指導に力が入ります。
更に変わった事がありました。
これまで女子だけだった音楽クラスに男子が入ってきたのです。
・「伝えたい事があるのです」何を伝えたい?大人の世界の難しさ?男子のムードメーカー佐々木拓成君。
合唱よりもバンド演奏に興味があって音楽クラスに入りました。
そのほか男子が音楽クラスに入った理由はさまざまです。
新しく入った男子のほとんどが合唱は初めて。
前の年に銀賞のステージを経験している女子とは合唱に対する姿勢に大きな差がありました。
そんな中増田さんは部長として男子たちにどのように接すればいいか悩んでいました。
最初は「やる気あるの〜?」って。
「やる気ある?」って聞きたかった。
「何がしたいの?」。
ぶっちゃけ女子だけで行ったらもしかしたら金賞が取れるかもしれないと思ってて。
でも男子が入った時にもう…う〜ん…。
ちょっと残念なふうに思った自分もいました。
至保が「男子ちゃんとやってよ」みたいな事をボソボソ言うようになって男子がそれに反発し始めたんですよ。
至保に反発してたからこいつを見返してやるみたいな感じで合唱やってたみたいなもんなんで。
「拝啓」からもう一回。
さんはい。
安永先生も男子をコンクールに参加させるか最後まで悩んでいました。
よっ!もちろん頑張ってるのは分かるけどどう見ても今のままだったら混声では出せない。
それはやっぱり去年頑張ってきた先輩たちにも申し訳がない。
今の状態だったら…。
だからあなたたちの気持ちを聞きたい。
俺たちは本当に出たいって思ってるって言って泣き出した子とかもいて。
そしたらあんたたち信じるけん。
それに懸けるけん。
混声で出すけんって言ったと思います。
この日はステージに慣れるため島のホールを借りて練習が行われました。
夏休みに入ってから毎日厳しい練習に取り組んできた生徒たち。
本番が近づくにつれ男子たちの表情も真剣になってきました。
最初は増田さんに反発していた男子ですが昼休みにはこっそり集まってパート練習に励んできました。
しかしまだ技術が追いつかない部分もあり練習が止まってしまう事も。
本番は2日後。
テクニックはともかく本番のステージを迎えるための心積もりがまだ生徒たちにできていないと先生は感じていました。
こっちを向いてもらってもいいですか?はいでは…。
本当1回しかないんだからその1回のここぞというところば逃したら駄目。
その瞬間のあの10分間に懸けてよちゃんと。
だって金を取りたいんやろ?だって九州に行きたいんやろ?もう一回アンジェラ・アキに会うんやろ?そしたらね一回一回をこんな何となく流したらいかん。
一回一回がチャンスだって。
部長として3か月間メンバーを引っ張ってきた増田さん。
コンクールの直前まで全員をまとめる事の難しさを感じていました。
(取材者)ちゃんとまとめられてんの?部長は。
いや〜難しい。
(取材者)難しい?難しい。
男の子がやっぱり…。
(取材者)でも見てるといい雰囲気じゃん。
最近です。
明日はいよいよ長崎に向けて出発です。
せ〜の。
(3人)金賞取るぞ〜!本番前日会場に向けてフェリーで島を離れました。
明日の本番を前に最後の追い込みです。
・「ラララ…」そして迎えたコンクール当日。
・「厳しいけれど」本番直前まで増田さんの指導が続きます。
「ように」とか。
そういう音ばちゃんとはめて。
パズルみたいに。
音符の中に自分が思ってるとこまで。
あとは急ぐな。
あと「ランラランランランラン」はもっとおなか使って。
心を届けるゼッタイ金賞!う〜Let’sEnjoy!いよいよ出番の10分前。
舞台袖に全員がスタンバイ。
(司会)全国学校音楽コンクール長崎県大会中学校の部を開催致します。
最初の学校は新上五島町立若松中学校です。
課題曲は「手紙」作詞作曲アンジェラ・アキ。
3か月間の成果を試す時です。
(拍手)いよいよ結果発表です。
それでは本日の審査結果を発表致します。
金賞を受賞するのは2校。
金賞純心中学校。
(拍手と歓声)長崎大学教育学部附属中学校。
(拍手と歓声)これで審査結果の発表を終わります。
結果は銀賞。
惜しくも金賞の夢はかないませんでした。
今までいろいろ引っ張ってくれてありがとうございました。
気を付け礼。
(一同)ありがとうございました。
私が焦って周り見えなくなってみんなにひどい事っていうか指示が厳しくなってしまった時とかもあったけど本当に男子とかすごい頑張ったって思うしついてきてもらって本当にありがとうございました。
男子から先生にお礼の言葉です。
俺たちが危うい時もさ…危うかったやんだってさ。
課題曲出れんかもしれんってなった時も信じて混声にしてくれたやん。
それで俺たちを信じ続けてくれてあとこんな俺らに教えてくれてありがとうって事で集めてます。
気を付け!3か月間ありがとうございました。
(一同)ありがとうございました!ありがとうございます。
自分たちここまで来れると思ってなくて。
最初の頃なんて何もできずにおって…この合唱に出れるかどうかも分からなかったけど俺たちの頑張り見てくれて出させてくれてそれがうれしくて…。
人はやればできるってのが分かったんでだからここの高校無理かなとかこの問題は無理かなとか思ったりする時もあるけどそれでもやればできるってのを信じてやりたいなって思います。
銀賞って言われた時に頭ん中真っ白になったけどでも頑張った結果ならいいやって思って受け止めて。
やっぱり男子の頑張りはいろいろ男子に言ってきたけど見てない所ですごい頑張ってたんだなって思って。
歌ってる時とかも走馬灯のように怒った事とかできてみんなで喜んだ事とか出てきて。
頑張ってよかったなって思いました。
今まで熱い指導ありがとうございました。
気を付け礼。
ありがとうございました。
(鐘の音)年が替わり今年3月。
・「あなたに逢いたくて」・「あなたに逢いたくて」卒業を間近に控えた若松中学校の3年生たちです。
昼休み佐々木君がこの日だけのDJを務めました。
さあAAAの「旅ダチノウタ」聴いてもらいました。
次の投稿読んでいきましょう。
ラジオネーム栗ごはん。
「私の一番の思い出はNコンです。
『手紙』は今の私の心を歌ったようなすてきな曲で今でも大好きな曲です」。
本当この「手紙」というのはね去年の4月アンジェラ・アキさんが来校し合唱コンクールでは銀賞を取るというすばらしい成果を残した曲です。
本当俺たちにとってすごい関わり深い曲でしたと思います。
さあそんな栗ごはんさんのリクエスト曲はもちろんアンジェラ・アキさんで「手紙」。

(「手紙」)さあ最後の曲はですねFUNKYMONKEYBABYSで「Lovin’Life」。
何か泣きそう。
いや〜何か泣きそう。
さあDJ拓成の卒業ラジオお時間も近まってまいりました。
最後にひと言だけ言わせて下さい。
中学校というのは長いようで本当に短いです。
自分は3年A組というクラスが大好きでした。
このメンバーと別れるのが本当に寂しいです。
だけどこの別れるという事は大人の階段を上るという事ですからみんなを応援していかなければいけないという気持ちにさせてくれるそういう別れだと思います。
1〜2年生の皆さん誇りを持って生きて下さい。
そしてこの若松中学校がいつか上五島一いや長崎県一いい学校と言えるそういう学校を作って下さい。
期待してます。
さあDJ拓成の卒業ラジオ今日はここまでです。
バイバイ。
卒業式も近づいたある日。
アンジェラさんが再び学校を訪れました。
4月に生徒たちが書いた卒業式の自分への手紙を聞かせてもらうためです。
山下綾香さん。
4月から長崎市の高校に進学します。
4月の自分に何て言う?教室にいるのがすごく楽しかったからすごく寂しいけど…。
それに家族とも離れなくちゃいけなくなるのでやっぱり高校でも最初は一人だから本当寂しいけど自分で決めた事だから頑張っていきたいです。
増田さんの手紙。
友達の事も本当に1年間いっぱい悩んだけどその分楽しい事があったから感想は頑張ったなって思います。
4月の私にかけたい言葉は悩んでも転んでもつまずいても大丈夫だよって伝えたいです。
頑張ってね。
本当にいろいろあると思うけどあなたなら多分すばらしい出会いが待ってるから。
ありがとうございます。
バイバ〜イ!元気でね。
アンジェラ!せ〜の!卒業の日がやって来ました。
(拍手)
(「手紙」)3年生全員で「手紙」を歌います。
・「拝啓この手紙読んでいるあなたは」・「どこで何をしているのだろう」・「十五の僕には誰にも話せない悩みの種があるのです」・「未来の自分に宛てて書く手紙なら」・「きっと素直に打ち明けられるだろう」・「今負けそうで泣きそうで消えてしまいそうな僕は」・「誰の言葉を信じ歩けばいいの?」・「ひとつしかないこの胸が何度もばらばらに割れて」・「苦しい中で今を生きている」・「拝啓この手紙読んでいるあなたが」・「幸せな事を願います」式が終わったあと教室の黒板に全員で将来の夢を書きました。
小さい子にめっちゃ優しくして頑張って保育士になれるように頑張って。
(笑い声)一人の人間として社会に出るので人の役に立つように頑張ります。
俺はこの中学校生活でいろんな事ができたのでこれを生かして芸能界入ってスターになります。
私には今夢が2つあって音楽を続けたいって思ったら国立の音大に行って臨床心理士になりたいって高校で決めたらそれなりの大学に行きたいって思っています。
(拍手)じゃあ先生からひと言もらいます。
じゃあ顔を見せてもらっていいですかね。
これ本当みんなの未来です。
ここにいっぱいの気持ちが詰まってる。
ねっ…たくさんの…。
でもこうやってしていく中で絶対きつい時は何回も何回もあると思う。
この3年間の中でもそうだったように何回も泣いた人たちもいっぱいおったよね?いつも私思うんだけど冬があれば必ず春が訪れるけん。
きつい時があったらそこ頑張れば絶対春が来るからだけんね絶対諦めないでって言いたい。
きついなって思った時は友達に頼りなさい。
そういう友達でありなさいよいつまでも。
そうやって乗り越えていって二十歳の日にまた会いましょう。
このいっぱいの夢を抱えて。
その日に会えるのを私はとても楽しみに待っています。
本当にありがとうございました。
卒業おめでとうございます。
(拍手)・「この気もちはなんだろうこの気もちはなんだろう」最後に3年A組の生徒全員で歌のプレゼント。
先生にはないしょで練習をしていました。
・「この気もちはなんだろうこの気もちはなんだろう」・「ぼくの腹へ胸へそうしてのどへ」・「声にならないさけびとなってこみあげる」・「この気もちはなんだろう」小さい時にここで育って外に出て受けてきたものを返せる何かが合唱なのかな。
だから…だから私はこの島で合唱を教えたい。
2015/03/08(日) 15:00〜15:43
NHKEテレ1大阪
拝啓 十五の君へ 若松島編〜歌と歩んだ島の子どもたち[字][再]

Nコン課題曲「手紙〜拝啓十五の君へ」を通して、アンジェラ・アキさんと長崎県五島列島の中学生たちとの交流を描く。2009年に放送、話題となったドキュメントの再放送

詳細情報
番組内容
NHK全国学校音楽コンクールは、全国で10万人が参加する日本最大規模の合唱コンクール。毎年新しく作られる課題曲が話題を呼んでいる。第75回(平成20年度)の課題曲はアンジェラ・アキさんの「手紙〜拝啓十五の君へ」。思春期の自分が未来の自分に宛てて書く手紙で、心の悩みを吐露するという歌だ。NHKではアンジェラさんが子どもたちを訪ねるドキュメンタリーを制作。好評を博した長崎県若松島編を再放送する。
出演者
【出演】アンジェラ・アキ,【語り】蓮佛美沙子

ジャンル :
音楽 – 国内ロック・ポップス
ドキュメンタリー/教養 – ドキュメンタリー全般
趣味/教育 – 中学生・高校生

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

OriginalNetworkID:32721(0x7FD1)
TransportStreamID:32721(0x7FD1)
ServiceID:2056(0x0808)
EventID:19364(0x4BA4)

カテゴリー: 未分類 | 投稿日: | 投稿者: