東京大空襲70年:町の犠牲786人 名前刻んだ墓誌除幕
毎日新聞 2015年03月08日 21時29分(最終更新 03月08日 21時41分)
東京大空襲から70年を前に、東京都江東区の森下五丁目町会が8日、町内の犠牲者786人の名を刻んだ墓誌を建立し、除幕式を行った。同空襲の犠牲者は約10万人に及ぶが、犠牲者名を刻んだ碑は初めてという。
「感無量です」。大空襲で兄と姉妹を失った元町会長の築山実さん(86)は、3人の名を指でなぞった。「骨はまとめて焼かれ、どこで亡くなったか分からない人もいる。遺族はここがお墓だと思ってお参りに来るだろう」と話した。
東京には沖縄戦の犠牲者名が刻まれた「平和の礎(いしじ)」のような碑はない。現町会長の清水健二さん(68)が昨年1月、建立の寄付を呼びかけると125件、約300万円が集まった。町会が1946年に慰霊のため建立した「八百霊(やおたま)地蔵尊」の隣に墓誌を建てることになった。
町会は犠牲者773人の名を記した巻物を歴代町会長が引き継いできた。今回、東京大空襲・戦災資料センター(江東区)から資料提供を受け、新たに13人の名が判明した。清水さんは「同じ名字の人も多く、一家全滅の世帯もある。一人一人の名を記すことで、戦争の悲惨さが一目で伝わるはずだ」と話していた。【戸上文恵】