みんな僕は今から心臓マッサージをするよみんな見ててねいくよ
東日本大震災から4年が過ぎようとしている
力強くドン!とやってみてそう…もっともっと…もっといけるもっといける気合いだ気合いだ…
子供たちを巻き込んで正しい心臓マッサージの指導
こんなふうに教えてもらえば自然にコツを覚えてしまう
別のコーナーでは地震が起きた時のとっさの行動を伝授していた
(会場スタッフ)じゃあこういう時みんなはどうする?せ〜の
(子供たち)机の下に隠れる
(会場スタッフ)すごいね当たり〜机の下に…チチンプイプイ潜って!守って!潜って!守って!はい完璧
マスコットのキャラクターにカエルを使ったこのイベントはカエルキャラバンと名付けられている
全国を巡りこれまでに親子20万人を動員してきた
会場の様子を不安げに見守っている男
あちこち歩き回って参加者の数を気にかけていた
イベントの仕掛け人…
防災意識が高まっている今耳慣れない肩書とその仕事がメディアから注目されている
発信するアイデアはビジネスマンに向けても…
例えば防災を分かりやすく学ぶカードゲーム
骨折の応急処置や伝言ダイヤルの使い方などふだん慣れていない作業の手順を覚えるためのものだ
ステップが描かれた4枚のカードがバラバラに並んでいる
これを正しい順序に並べ替える
子供だましと笑ってはいけない
とっさの時消火器のピンを抜き忘れ慌てるケースが少なくないという
チチンプイプイ…
(一同)止めて下ろして置いて
人呼んで防災の伝道師
穏やかな物腰の下に熱い思いを秘めていた
永田の拠点は神戸にある
日々全国を飛び歩いている防災プロデューサーが事務所に顔を出すことはむしろ珍しい
神戸と東京に事務所を持ち14人のスタッフを抱えている
この朝はテレビ会議で幕を開けた
(永田宏和)引き続き3月…3.11に向けても今年は国際防災会議も仙台であって…
防災への心構えや取り組み方を提案するビジネスを始めたのは10年前
企業や自治体などを相手に80近い案件が進行しているという
栄養価も損なわれない…
本人自ら日常にさまざまな知恵を取り入れていた
まさかの時の保存食は消費期限が切れる前に食べて新しく補充する
いわゆるローリングストック法
送り出した傑作の一つが…
災害に遭った時誰でもできる対処法がイラスト付きで紹介されている
デザイナーの協力を得て無味乾燥な情報を分かりやすく伝えているところがポイント
自宅にもすぐに役立つ防災対策があふれていた
突っ張り棒の代わりで実際あれ置いて上粘着マットでくっつけてるんですけど…
空の段ボール箱は設置がたやすい
天井との隙間が2cm以内なら十分有効だそうだ
食器棚の中身が飛び出さないようにする工夫
これが滑り…これヒュってこう…これが…玄関マットの下に敷く網目のちょっとゴム系の滑り止めになってるんです
緊急用トイレの作り方
まず…
別の袋に…
これをトイレに入れて用を足す
使用後は空気を抜き縛って捨てればOKだ
もう一つ
災害の時役に立つ御飯の炊き方
一人前半合分の米と同量の水をビニール袋に入れてきつく縛る
ビニールが溶けないよう鍋の底に皿を敷き30分ほど沸騰させる
そのあと10分蒸せば出来上がり
同時にレトルト食品も温められるし食器も不要だ
46歳2児の父
娘が描いた似顔絵にはカエルキャラバンの文字があった
全国で評判を呼んでいるカエルキャラバンが永田の地元・神戸で行われた
大きな声でポイントを言ってください
会場はこの日も親子連れで大盛況
あ〜急いで!おねえちゃん倒れちゃう…お水持ってってあ〜ありがとう
イベントの狙いはいくつものゲームを楽しむ過程で防災の知識を学ぶこと
(会場スタッフ)どっち回りでもいいです
親しみやすいカエルのキャラクターを被災者に見立てて毛布1枚だけで搬送するゲーム
決められたコースを1周してスピードを競い合う
(拍手)
勘どころは毛布の端を丸めるところにあった
そのままでは運びにくいが丸めて持てば力も入りやすい
遊びながら覚えたことはなかなか忘れないものだ
・せ〜のはい
カエル君を助けようとみんな一生懸命
ケロぞう君がナマズさんで押し潰されて出られないんだけど
倒壊した家具の下敷きになったカエル君をどのように救い出すか
利用するのは車に積まれているジャッキだった
(会場スタッフ)まっすぐしてこれをこう回す
ジャッキなら子供の力でも重いものを持ち上げられる
身近にあるけれど使ったことのない道具が救助に役立つことを学ぶゲーム
(拍手)
ゲームを1つクリアするごとにスタンプをもらって最後はおもちゃと交換できる
子供を夢中にさせる心憎いアイデアだ
会場には外国人の姿があった
永田の防災ゲームは海外からも注目されている
それぞれの国に適したゲーム作りに知恵を貸してきた
集まっていたのは中南米からやって来た防災行政の関係者たち
まずはゲームのアイデアを練っていく
重要なのは親しみの持てるキャラクターを作ること
中南米の子供たちには昆虫が人気らしい
国を超えて意見が一致したのは芋虫のイメージだった
これがカエルに代わるキャラクター
こうして生まれたのは2組の芋虫が鬼ごっこのように尻尾のスカーフを取り合うというゲーム
早速試してみる
(笑い)
だが永田の顔は曇った
激しくなるね
追いかけるほうも逃げるほうもしゃがんでやったらどうだろう
そう提案した
このほうがずっとユーモラスだ
しんどいけどね
ゲームだけでは防災に結び付かない
永田は勝ったチームに問題を出して正解すればスタンプがもらえるようにと考えた
日本の子供たちと一緒に会場でシミュレーション
(笑い)
(笛)
(笑い)
(女性たち)キャ〜!
盛り上がり方は文句なしだった
そして問題
じゃあイエスその優しさ正解!
(2人)おぉ〜!
力を合わせて出来上がった防災ゲームが海外で定着してくれればと考えてきた
事実東南アジアを中心に14か国でカエルキャラバンを手本にしたイベントが広がっている
災害への対応はどこも共通の課題だった
できるっていうそこに…本当に…
1968年兵庫に生まれた
大学院を修了後大手ゼネコンに就職
商店街の活性化に協力した
その面白さが忘れられず独立してコンサルタント会社を起こす
カエルキャラバンは神戸市の依頼で考案した
自分の仕事は風に似ていると永田は言う
防災という名の種を運び新しい場所に新しい命を芽吹かせる風に
今年早々永田は防災についての取り組みを更に拡大させていこうと決めた
(一同)よろしくお願いします
いつものテレビ会議でスタッフたちに宣言した言葉
これを…
国際交流基金の要請でタイと日本の被災地を巡るプロジェクトに協力したのは2月半ばだった
去年夏タイ北部は大きな地震に見舞われている
アジアと日本の若者たち24人を引き連れて最も激しい揺れに襲われた街チェンライを訪ねた
地震の傷痕がまだ残る現場から何かを学ぶこと…
崖の上の学校は建物こそ無事だが床を支える土が崩れたまま放置されていた
もしまた地震が来たらと思うとぞっとする
日本から参加した若者が建築中の住宅を見て驚いた
構造がもろければ同じことの繰り返しではないか
立ち寄った公民館は壊れた壁の修復中だった
ここでも壁芯はなくただレンガを積み上げてコンクリートで固めるだけ
永田は参加者に語りかけていた
ツアーに集ったのは学生や防災行政に携わる者たち
フィリピンのNPOで働くジェーンさんは去年台風による洪水で親戚や友人を失った
よくよくの覚悟で加わったに違いない
一行はタイから東日本大震災の被災地へ
けれど一抹の不安が永田にはあった
だが感情に流されていてはなかなか先に進めない
被災地の実情に触れて防災意識に目覚め自分のような仕事を受け継いでくれる若者が一人でも増えてくれたら…
石巻市立大川小学校では児童74人と教職員10人が津波の犠牲となった
ここで不安が現実になってしまった
フィリピンから参加したあのジェーンさん
洪水に奪われた親戚や友人の思い出があふれてきたのだろう
うん…だけど何でしょうね…う〜ん
悲しみをどう乗り越えていくべきか
・あの日ここには53人の人々が…
その問いに正解はない
けれど永田は信じていた
痛みを知る者はきっと強くなれるはずだと
南三陸地方にはきりこと呼ばれる神棚飾りの伝統がある
一行は地元の工芸作家が手がけているきりこ作りのワークショップを体験した
縁起物などを切り抜く紙細工
工芸作家の呼びかけで震災前は各家庭や店の軒先に自作のきりこが飾られるようになっていた
今津波で流された跡地にはそれぞれの家にあったきりこのモニュメントが復元されている
そこに人々の暮らしがあったことを伝えていくために
若者たちに交じって永田も作品作り
地域に根ざす文化はきっと心の痛みを和らげる力になる
よみがえる洪水の記憶に立ちすくんでしまったジェーンさん
一心不乱だった
防災プロデューサー永田宏和はアジア各国の若者たちと共にきりこ作りに挑戦した
やっぱりテーマはカエルらしい
ありがとうありがとうすごい
思いを詰め込んだ作品が続々と仕上がっていった
そしてジェーンさんのきりこ
サンキュー
防災プロデューサーの使命は災害のダメージを軽くすることだけではない
悲しみと向き合うすべも視野に入れる
それが永田の防災だ
日本のカエルは自分のあとに続いてくれる若者たちの出現を楽しみにしている
種をまきつつまいて去るんだけどもちゃんと何かがつながっていてまた協同していくっていうかこの人同士をつなげていくっていうハブみたいな役割を僕は担っていきたいなと…
次回の『情熱大陸』はハリウッドを知る…
惜しくも逃した…
2015/03/08(日) 23:00〜23:30
MBS毎日放送
情熱大陸[字]【永田宏和/20万人絶賛!防災法をゲームで伝える、防災伝道師】
防災プロデューサー/永田宏和▽東日本大震災から4年、阪神・淡路大震災から20年が経過した今、独特の新たな発想で防災教育を変える、世界注目の防災伝道師
詳細情報
番組内容
永田は「イザ!カエルキャラバン!」というユニークな防災イベントの考案者だ。地域の訓練プログラムとおもちゃ交換会を組み合わせたこのイベントは、子どもが遊びの延長で防災の知識を身につけることができ、2005年の開始以来20万人以上の親子が参加、世界13か国に拡がった。台風や津波、地震で被災したアジア諸国の若者たちと共にタイと日本の被災地を訪れ、復興支援や防災教育のあり方を伝えようと奔走する永田を追う。
出演者
【プロフィール】
永田宏和
防災プロデューサー。1968年兵庫県生まれ。
ゼネコンを退社後、街づくりに携わる。阪神・淡路大震災10年後に神戸市から新しい防災教育の開発を依頼され「イザ!カエルキャラバン!」を考案。現在までに20万人以上の親子が参加する国内有数の防災プロジェクトとなり、世界13か国に拡がった。今年受験を控えた女の子の勉強の進み具合を心配し、出張先のタイの寺で合格祈願するパパでもある。
制作
【製作著作】MBS(毎日放送)
【制作協力】ASIANEWS
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