石松恒
2015年3月9日07時14分
「安全保障法制の与党協議」。最近、ニュースでよく出る言葉ですが、なぜいま、どんな目的で話し合っているのでしょうか。日本の安全保障をめぐる歩みはどう変わってきたのか。安倍政権がどんな考えで政策を見直そうとしているのか。まずはこの二つからおさらいし、複雑なテーマを読みときます。
■日本の歩みは?
利害がぶつかる国同士が戦争を避けて、いかに平和を保つか。それが安全保障という考え方だ。
70年前の敗戦から再生をめざした日本。その安全保障政策は、戦争の放棄と平和主義を掲げた憲法と、日米安保条約のもと、まずは経済を優先することから出発した。軍事にはできるだけお金をかけず米国に頼り、自衛隊の活動も日本の国土を守ることに徹する「専守防衛」を掲げた。
この原則が揺らぎ始めたのは1980年代末ごろから。米国とソ連が争った冷戦が終わり、中東などで戦争や地域の紛争が相次いで起きた。米国などから日本に対して、お金による貢献だけでなく自衛隊の派遣を求める声が強まった。国連からも、内戦からの再建をめざす途上国などの支援に日本も協力するようお願いが来るようになった。
このため政府は、湾岸戦争後、海にまかれた機雷を取り除いたり、国連平和維持活動(PKO)に加わったりするため、自衛隊の海外派遣を始めた。
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