サキどり↑「“被災地モデル”が日本を変える!?」 2015.03.08


東日本大震災から4年。
まだまだ復興は道半ば。
被災地にはさまざまな問題が山積みです。
しかし!そうした問題の解決に向けた取り組みも少しずつ前進しています。
1次産業を盛り上げる新たなビジネス。
超高齢社会に対する画期的な医療への挑戦。
被災地で始まったこうしたチャレンジが今全国に広がり課題解決のきっかけになっています。
「被災地モデル」が日本を変える!?その可能性をサキどります!
(2人)おはようございます。
東日本大震災から間もなく4年となります。
この番組でも復興に向けた取り組み数々ご紹介してきましたね。
そうですね。
壊滅的な被害を受けた水産業。
ITの力を駆使して復活させようという動き。
そしてデザインの力を借りて木工業に新たな光を当てるというようなもう本当に果敢にチャレンジしている皆さんを紹介してまいりました。
こちらをご覧下さい。
こちら岩手宮城福島被災3県で新たに生まれた会社の数を示しています。
震災後平成23年度起業された数がグッと増えているのが分かりますよね。
ちょっと驚きですよね。
だって産業の基盤が大きく傷つきました。
そしてその基盤を支える人も減りました。
まさに逆境という大きな課題ですよね。
果敢にこれまたチャレンジしている人たちが増えている。
心強いです。
そうなんです。
被災地は「課題先進地」とも言われます。
だからこそそこで生まれたビジネスモデルが日本各地の同じような課題を解決できるのではないかと期待されているわけなんですね。
このいわば「被災地モデル」まずは1次産業を元気にするモデルご覧頂きます。
都内に住む八代田千穂さんのお宅。
そこに小包が届きました。
中には冊子が1冊と何やら白い塊も?八代田さんが利用するこのサービス。
料金は月々2,580円。
東北各地のこだわりの食材を特集した冊子とその食材の実物がセットになって毎月届きます。
食材のおいしさはもちろんですが誌面に登場する生産者のこだわりと思いこそが人気の秘密です。
1月号は福島県浪江町で被災した酒蔵の「酒かす」特集です。
震災後一度は途絶えた酒造り。
ふるさとの味を残したいと山形の地で酒蔵の再建を果たした杜氏の思いが数千字にわたってつづられています。
生産者の思いを伝える冊子と一緒に届くこだわりの食材。
この組み合わせが受け利用者は2年間で1,500人にまで増えました。
冊子には酒かすを使ったアイデアレシピの数々も掲載されています。
八代田さんは子供たちが喜びそうなピザを作る事にしました。
食べ物を通して生産者とのつながりを実感できる事が楽しみなんだそうです。
このサービスを提供しているのは岩手県花巻市のNPO法人です。
代表の高橋博之さん。
冊子の編集長を自ら務めています。
岩手県で生まれ育った高橋さんは震災直後からボランティアとして復興に携わってきました。
事業を支えるスタッフもその多くは震災をきっかけに全国から集まったメンバーです。
震災のダメージから立ち直れずにいる東北の農業漁業をなんとか元気づけたい。
メンバーの活動の原点です。
この日高橋さんは宮城県石巻市を訪ねました。
3年前この場所での一人の漁師との出会いがユニークな宅配サービス誕生のきっかけとなりました。
カキ漁師の阿部貴俊さん。
当時は家業を継いだばかりの新米漁師でした。
阿部さんはかつて大手電機メーカーのサラリーマンでした。
震災をきっかけに東京からふるさと石巻に帰ってきました。
船も養殖いかだも流され浜に14軒いた漁師の半数は廃業したと聞いて居ても立ってもいられなくなったのです。
安定した職を捨て漁業の世界に飛び込んだ阿部さんの心意気。
高橋さんは「なんとか力になりたい」と考えました。
「ふるさとの浜を守りたい」と漁師になった阿部さんの思いとその阿部さんが育てたカキ。
これを一緒に届ければ食材の魅力が伝わるこれまでにないサービスになると考えたのです。
高橋さんは今生産者と消費者をつなぐ新しい取り組みを始めています。
毎月異なる食材を紹介する宅配サービスでは生産者との出会いは常に「一期一会」です。
しかし特に気に入った生産者とはつながり続ける事ができるといういわば「ファンクラブ」のような仕組みです。
定期購読の料金とは別に会費を払う事で特定の生産者の食材を引き続き入手できます。
交流の場としてSNSも積極的に活用。
高橋さん自ら動画を撮影して今年のカキの出来栄えを投稿します。
阿部さんのファンは現在60人。
会費は月々1,000円です。
特別な育て方をしたカキなどを年3回発送しています。
食べた人たちから直接届く声に触れ阿部さんは漁師の仕事にやりがいを感じています。
高橋さんたちはこの他生産者と消費者をつなぐさまざまなイベントも企画しています。
定期購読をきっかけに新たな交流を次々に生み出しています。
つくり手と消費者がダイレクトにつながる。
両方にとってうれしいですよね。
そうですよね。
さあ東北の食材を食べようというプロジェクトに関わっておられたのが早見さんです。
(3人)よろしくお願いします。
ご覧になってどうですか?私たち消費者が食材を買う時につくってる生産者の顔が見たいという気持ちがあるんですけど先ほどのお話を伺ってあっ反対に生産者の方はどんな人が食べてるか知りたいんだって思ったのがすごく新鮮でしたね。
この取り組み実は全国に広がりを見せているんです。
こちらご覧下さい。
東北で生まれた仕組みが新潟そして四国神奈川などに広がりを見せていてこれから更に兵庫や加賀能登石川県ですね。
そして北海道十勝にまで更に広がっていくという事なんですね。
何か気になる食材はありますか?うるいとかもちろん外食した時に食べる事はあるんですけどあっお取り寄せもできちゃうんだという感じです。
あと酒かす。
率直な意見を言わせて頂くと酒かすが送られてきたら最初「あれ」ってちょっと思いません?どうするのかしらって?よほど料理上手な人じゃないと分かんないですけどでもそういうのがちゃんとこう載ってるんですよね。
冊子を読んでどうやってつくられたのかどうやったら楽しめるのかそこまで分かるという。
非常にユニークな取り組みなんですけれどもこの取り組みを当初から見守ってこられご自身でも東北の支援に関わってらっしゃる方がいらっしゃるんですね。
藤沢さんどうぞよろしくお願いします。
お願いいたします。
どうぞ。
どうぞどうぞ。
ほんとに意義深くは思うんですけれどもどうしてなんでしょうね?被災地からっていうのは。
今回の編集長のさっき出てきた高橋さんは岩手県の方ですしあと生産者の方は当然東北の方なんですけれどもそれを支えてるスタッフの方やあとビジネスモデルを考えたりですね。
それからデザインですね。
かっこいいデザインですけどこれも全国の方がお手伝いしてるんですね。
やはり復興という事で大勢の方が東北には今入ってますのでその力がこういったビジネスモデルにもつながっていきそしてそれが更に全国にも普及してるという流れになってるんですね。
今利用者数が伸びているという四国を取材しました。
編集部を訪ねました。
事務所は改装中の古民家です。
四国各地にいるスタッフともこうしてパソコンを使ってやり取りをしながら冊子を作っているそうなんです。
今回取り上げるのは香川県丸亀市で作られているアスパラガス。
注目したのは新鮮なアスパラガスのおいしさ。
生でもいけるという事ですぐさまチェック。
こうした取材が記事に生かされるわけなんです。
東京からUターンしふるさとの地域おこしをしていた編集長の真鍋邦大さん。
良い食材があってもその魅力を消費者にうまく伝える事ができていない。
そんなもどかしさを感じていた時高橋さんたちの取り組みを知って参加を決めたんです。
そのおいしいと言っていたアスパラガススタジオにご用意いたしました。
じゃあいただきま〜す。
うん!おいしい!
(笑い)真鍋さん冗談抜きでおいしいです。
高橋さんもおっしゃってましたけれども食の宅配サービス他にもいろんな実は宅配サービスありますよね。
この取り組み何を目指してるかというとさっき映像でもありましたけれども自分たちが膨れ上がる事ではなくてあくまでも生産者と消費者の直接のつながりを増やしたいと思ってるんですね。
なので目指してる先が全く違うっていうところが他との違いですね。
なるほど。
ビジネスモデルを発案しました高橋さんと中継がつながっています。
高橋さんおはようございます。
は〜い高橋です。
どうもよろしくお願いします。
お願いいたします。
よろしくお願いします。
取り上げられる方はどんなふうに選んでらっしゃるんですか?そうですねひと言で言うと僕がほれ込んだ人で。
で結局選んでる人を振り返ってみるとやっぱりこだわりの生産をしていて。
やっぱり自分たちのしてる活動の価値だったり意義を今の流通に乗せるとどうしても伝わらないので自分の言葉で直接伝えたいという生産者が結果として一緒にやらせて頂いてるって感じですね。
ちょうど酒かすの方も頂いてサケの西京焼きにして食べましたけども抜群のおいしさでした。
でしょう?おいしいんですよ。
質問があるんですけど今1,500人の読者がいると思うんですけどもどんな方がいらっしゃるんでしょうか?単に消費をする事に飽き足らないというかどうせ消費するんだったら価値のあるものを消費してそれで世の中が良くなる事にお金を遣いたいっていう価値を消費したがってるっていう人たちがやっぱり購読者になってるなとは思います。
そうしますとやはり読者利用者の方どんどんもっと増やしていきたいですか?当初はねすごく増やしたい欲求に駆られたんですけどただ途中でですねやっぱり食の宅配サービスではあるんですが内実は僕はコミュニティーサービスだと思っていて。
生産者さんとそれから1,500人の読者と編集部と今ぎりぎり顔が見える関係なんですね。
だからこそコミュニケーションもSNSで生まれるし自発的なイベントやツアーも起きていってですね継続してるんですね。
これが仮に1万人の会員になったらコミュニケーションとかですねイベントツアーというのは自発的に生まれなくなっちゃうと思うんですよ。
そうなってはいけないので1,500人という上限を定めて逆にこの1,500人とかのモデルを横にこう…いろんなところに同じように広がっていけばいいんじゃないのかなというふうに考えました。
そうすると高橋さんこれからの目標を最後に伺いますがどういう形になってくるんですか?そうですね3年間で一応100の「食べる通信」が全国に広がる事を目標にしてるんですけれども。
自分の食べる物をつくってる人の顔を知ってるというのがですね当たり前の状態になっていればいいなというふうに思ってます。
笑顔でまたおいしいものをつなぎ合わせて下さい。
お願いします。
はい分かりました。
高橋さんありがとうございました。
こちらこそありがとうございました。
続いての「被災地モデル」は医療についてです。
こちらをご覧下さい。
宮城県石巻市の病床数を示したものなんです。
震災前1,973床あったんですけれども震災後病院が被害を受けた事で400近くも減ってしまったんですね。
これ大問題ですよね。
はいそうなんですよね。
そこで始まったのが患者さんのご自宅で診察をする在宅医療なんですね。
しかもただの在宅医療じゃないんです。
新たな仕組みの在宅医療を進めている宮城県石巻市です。
ここは訪問看護師の拠点です。
皆さんの仕事を支える強い味方になっているのがこちら。
医師や薬剤師などが患者を訪問する度に記録した情報を全て見る事ができるシステムです。
在宅医療にはさまざまな分野の専門家が関わります。
月に数回診療を行う医師。
その診療の合間に検温や点滴を行う看護師。
介護を担当するケアマネージャー。
そして薬剤師。
しかし病院とは異なり在宅医療では拠点も行動スケジュールもばらばら。
それぞれが得た患者の情報を共有するのが大変でした。
そこで登場したのがこのシステム。
診療の結果や血圧などのデータ投与する薬の情報などをインターネット上で一括管理。
全員で共有する事ができます。
看護師は患者を訪問する前に情報を確認。
すると患者の咳が止まらないため新しい薬を処方したという医師からの報告が。
看護師は医師からの報告をもとに咳に注意して患者に接します。
システムを使って情報を共有する事でよりきめ細かい対応が可能になったのです。
訪問から戻った看護師は患者の症状が改善していた事をシステムに入力。
この情報は連携しているクリニックで医師がチェックします。
震災前から在宅医療を行っていたこの医師はシステム導入によって負担が軽くなったと実感しています。
石巻で在宅医療の新たなモデル作りを進める仕掛け人。
大手電機メーカーと共同で患者に関する情報共有を助けるこのシステムを開発しました。
震災後何か役に立ちたいと東京から石巻の知り合いを訪ねた武藤さん。
地域の総合病院が津波にのまれ閉鎖を余儀なくされる事態を目の当たりにしました。
行き場を失った入院患者たちを支えるにはどうすればいいか。
武藤さんはこの地で在宅医療に取り組む事を決意しました。
震災による患者の増加と医師の絶対的な不足。
逆境を乗り越えるために武藤さんが考えたのがIT技術の大胆な導入でした。
どこの先生?新しいシステムによって事務連絡にかかる時間が大幅に短縮。
それにより効率も医療の質も高める事ができます。
こうして200人近くの在宅の患者を24時間体制で見守る事ができるようになったのです。
既に東京や大阪など全国80以上の事業所がシステムを導入しました。
武藤さんは被災地の厳しい環境で作り上げたこの仕組みが日本中で役に立つ日が来ると考えています。
何かこうでもチームでチーム体制で診てもらえるっていうのは家族のメンバーとしてはすごく安心ですよね。
それも24時間ですものね対応が。
24時間って言ってましたね。
でもこれは実際全国的な課題なんですよね?いずれ大都市部でもという…。
はい。
今65歳以上の高齢化率が全国で25%ですけれどもあと20年後にはこれが33%3人に1人が高齢者になるんですね。
ただこの東北の被災沿岸というのは今33%あるいはその近くになってる所が非常に多くてですね。
そういう意味では日本の都市部の20年後の姿がここにあると。
20年後っていうと3人に1人に私入りますね。
僕はもう10年後に入りますね。
あっそうですか。
サキどりしてます。
ひと事ではないんだなと思います。
今回その「被災地モデル」として1次産業医療など見てきましたけれどもどんな業界でもこの「被災地モデル」うまくいくんでしょうか?全てがうまくいくか分かりませんけれどもただやはり今東北にはたくさんの人が集まっていて先ほどの高橋さんなんかよく言うのは今は彼も何ていうんですかね歴史が好きなんで今は幕末の京都みたいだみたいな言い方をよくするんですけど。
確かにそれぐらい多様な人が今東北には集まってきてるんですよね。
なので東北のいろんな知恵を使って今モデルを作ってる。
ここでできなければですねなかなか他の地域でもできないんじゃないかなとこんなふうに思ってますね。
まさにテストグラウンドなんですね。
新しいモデルの地域としての東北に先進的な地域東北にもなりつつあるんですね。
何でしょう?やっぱり被災地っていうのは大変な震災と津波があってほんとに多くのものを失われたんですけどでもこういうふうに私たちのロールモデルとなるビジネスがこんなにも立ち上がるってまさにすごいピンチの時にいろいろなチャンスがあったんだなと思いますね改めて。
片山さん「被災地モデル」いわば日本の課題をもうほんとにサキどりして解決するような普通の魅力的なビジネスモデルっていう。
このチャンス紹介できた事はうれしかったですね。
もはや被災地を支援する応援するという一方通行ではない。
もう共に歩んでいるんだなというのを感じました。
信じて突き進む皆さんへの応援歌です。
エンディングナンバーはマライア・キャリーとホイットニー・ヒューストン「WHENYOUBELIEVE」。
大丈夫?今は。
2015/03/08(日) 08:25〜08:57
NHK総合1・神戸
サキどり↑「“被災地モデル”が日本を変える!?」[字]

東日本大震災から4年。被災地で、高齢化や一次産業の衰退などの課題解決に挑む取り組みの中に「全国各地で生かせる」と注目されるケースが登場。その可能性をサキどる。

詳細情報
番組内容
東日本大震災から4年。被災地の課題に挑む取り組みの中には、全国的な課題を解決するモデルとして注目されるケースが出てきている。毎月旬の食材と、その食材にまつわる情報を伝える冊子をセットで宅配するサービス。IT技術を大胆に活用し情報共有をすすめる在宅医療。多くの産業が傷つき、地域社会が疲弊し「日本の20年後の姿」とも言われる被災地の、厳しい環境の中で育った取り組みが、全国で活かされる可能性をサキどる。
出演者
【ゲスト】早見優,一般社団法人RCF復興支援チーム代表…藤沢烈,【キャスター】ジョン・カビラ,片山千恵子

ジャンル :
情報/ワイドショー – その他
ニュース/報道 – 経済・市況
バラエティ – その他

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
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