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 1万8千人を超える死者・行方不明者を出した東日本大震災で大きな被害が出た42自治体のうち、仙台市と周辺部以外の人口流出が止まらない。住民票の異動や不動産の取得状況をもとに朝日新聞が調べた。人口減が進む日本全体と比べても、その度合いが被災地で強まっている実態が浮き彫りになった。

 岩手、宮城、福島3県の沿岸部と東京電力福島第一原発事故の避難指示区域が設けられた計42市町村の住民票に基づく人口を調べた。震災前の2011年3月1日(または2月末)と今年2月1日(同1月末)を比べると、39市町村で計約9万2千人(6・7%)が減っていた。減少数は震災による死者も含む。

 総務省によると、日本全体の人口はこの間、概算値で0・8%減少。47都道府県によると、人口が減った40道府県の平均は概算値でマイナス1・7%だった。

 特に津波で中心市街地が壊滅した岩手県陸前高田市、大槌町、宮城県南三陸町など6市町は10%超の減少。そのほとんどは住宅再建の時期が見通せない。最大の29%減となった宮城県女川町の担当者は「職が少なく、生活も不便で、転出者が多い」と話す。

 原発周辺にある福島県双葉町や浪江町、富岡町、南相馬市も減少率が10%台だった。いずれも放射線量が高く、長期間帰還できない区域を抱える。