(最終回)日本!食紀行 2015.03.08


(男性)よしいけ!いけ!いけ!よし!最も古い漁法つかみどり。
「よっこいしょ!」と捕まえられたのは鮭です。
日本人になじみの深い鮭。
捨てるところがない魚とも言われています。
鮭の水揚げ量本州一の岩手県宮古市。
こちらは地元の小学校。
行列の先には鮭と野菜のシチュー。
鮭は給食のメニューとしても人気です。
鮭の町に生きる鮭博士中嶋哲さん83歳。
課題が次から次へとやっぱり出てくるものなんですね1つの事をやってると。
終わりっていうのはないから。
忙しくしてたね。
ハハハ!地域を見つめ荒波も笑顔で乗り切る中嶋さん。
今週の『日本!食紀行』は鮭博士の人生とともに岩手の鮭に学びます。
お酒がかかっとるんです。
ハハハハ…!三陸岩手県。
秋から冬にかけてふるさとに戻る鮭を出迎えます。
昔から地域の生活を支えてきた鮭。
産卵期に牙が生え鼻が大きく曲がる鮭は南部鼻曲り鮭と呼ばれています。
本州一の鮭の水揚げ量を誇る岩手県宮古市。
人口およそ6万人の鮭の町です。
頑張れ!頑張れ!愛称名は「サーモンランド」。
11月にはおよそ3000人が参加するハーフマラソンで盛り上がります。
(男性)宮古で取れた鮭だよ!食べないと後悔しますよ!温まる…。
(男性)そうですね宮古といえばもう鮭で…。
私たちもう鮭で育ってるようなものなんではい。
(男性)はいいらっしゃいませ!ちょっとだけすいませーん!鮭中に入ります。
この町で全国初の鮭の中骨缶詰を開発した人物がいます。
中嶋哲さん。
地元では「鮭博士」と呼ばれる83歳。
あっこりゃうめえ!うめえ。
おお…!えー天才肌のところがね先生はおありなもんですからね。
ちょっと奇人変人のところがあるんですけども。
ハハハ…!中嶋さんは気心知れた仲間たちそして鮭とともにふるさとの未来を見つめています。
師走を迎えた中嶋家。
南部鼻曲り鮭の海鮭だね。
5キロ以上だこりゃ5本全部。
中嶋さんは頭の中も部屋の中も鮭でいっぱいなんです。
(スタッフ)先生ここは元々なんの部屋だったんですか?ここに炉があるんです。
ここはそう私の研究室です。
取り出したのは鮭のじん臓の塩辛。
平安時代から食べられていたというめふんという加工品です。
宮古ではほとんど作る人がいなくなりました。
(中嶋さん)それから…。
(スタッフ)先生香りはいかがですか?
(中嶋さん)香りもいいね。
うーん…これはよく出てました。
自分が作っててなんですけども。
中嶋さんは地元の水産高校に40年勤務。
実習で捨てられる骨がもったいないと全国初の中骨缶詰を開発しました。
昭和62年中嶋さんが56歳の時の事です。
私はねそっちの特許とかなんかは全然ダメなんですよ。
東京へ出て来いと。
蔵を5つも6つも建てんのいいのに岩手県にこもってたら…って声をかけられた事もありましたったけども無頓着だったんですね私。
蔵建ちませんでした…。
中嶋さんが幼い頃から慣れ親しんできたふるさとの川です。
義理堅いです本当にね。
まあ自分の生まれた川のにおいは絶対忘れてないんですから。
このとおり間違いなく帰ってくるって…。
地域は鮭とともにその歴史を歩んできました。
(中嶋さん)今から1200年ぐらい前からみんなで川を守り取った資源はみんなで仲よく分かち合うという事でずーっとこの川を守ってきたわけですけどもね。
江戸時代宮古湾は鮭を江戸方面に出荷するために開港。
住民は明治時代津軽石に岩手県初のふ化場が完成。
現代まで続くふ化場の歴史の始まりです。
ここで生まれた鮭ははるか北部太平洋を巡りおよそ4年後に再びふるさとに帰ってくるのです。
一頃はその…6万トンぐらいこの宮古に鮭が溢れた時代がありまして。
誰も見向きもしないで本当にね鮭に対して申し訳なかったって話でございますもんね。
もう一度ふるさとの鮭に目を向けてほしい。
中嶋さんは退職後も鮭と関わり続けました。
古いロッカーを使い燻製作りにも挑戦。
(スタッフ)そのタンスは…?これは鮭の皮貼ったんですよ。
これはね夏用なんです。
余った皮はタンスやベスト小物へと見事に変身させました。
撮りためた鮭の写真は数知れず。
個展を開いた事もありました。
写真が好きだったんだか鮭が好きだったんだか…。
作品は鮭の写真という。
アハハハハ…!んだね。
やっぱり写真でなくて鮭だったんだかもしれません。
新たな挑戦を始めたのは75歳を過ぎてからの事です。
もう少しうまくいく…気持ちではうまくいくはずなんだけど。
やっぱり腕のほうも年取って…。
ヘヘヘヘ…!
(男性)何十年やってっから。
課題が次から次へとやっぱり出てくるものなんですね1つの事をやってると。
終わりっていうのはないから欲ばかり出てきてね。
最も古い加工法である燻製作り。
長年のノウハウを地域の力にしようと考えたのです。
胸の奥にはふるさとへの誇りと意地がありました。
今は世界のどっからでも色んな…鮭にしても飛んでくる時代でありますんでね。
それに負けないような立派な製品を作ればねまず何も恐れる事ないと思うんですけども。
宝ですよ。
宝本当に。
(男性)博士ですよ。
バカセのほうだもんね。
ハハハハ…!そう思いながら笑いながらやってますんで。
ハハハハ…!中嶋さんそして鮭のふるさと岩手。
優しくて厳しい自然とともに生きる場所です。
あのねこの向こうの堤防をね越えたんですよこれ。
これを越えてですねその…。
この辺までですね。
この辺まで。
ここをこんな丸太が突き破って…。
沢の水を飲みながら命を繋ぎました。
研究データやレシピは流されました。
あれから3年8か月。
(中嶋さん)あ〜やってたな。
萬さんは被災したふ化場を立て直した中心人物です。
教え子です。
場長です。
偉いほうです。
ハハハハ…!
(中嶋さん)まあこちらのほうは一生懸命やってるども大きく見ると北部太平洋の環境も問題だもんね。
ベーリング海オホーツク海…。
3年ぐらい成魚になるまでの間がね。
でも鮭は必ず帰ってきます。
生まれた川にはね。
一生懸命保護してやればな。
11月下旬中嶋さんは地元の川へと向かいました。
一生懸命こんな運動もしたもんですから。
まず鮭が上がってくるにはきれいな水でねば上がってこないという事の関係…。
まあこんなような看板も書いてみまして。
これが津軽石川と同じ古い時代に鮭がたくさん取れた閉伊川ですね。
何匹かはここにいるかと思ったがやっぱり今年は早いのかな?今頃になればそっちこっちにね産卵終わったメスだのオスがいっぱいおるんですけどもね。
これが…獣道作んのが俺しかいねえんだから俺が来ねえ限り出来てねえんだな。
お〜元気いいな。
おお…!
(中嶋さん)あああれはいいペアですね。
あれはいいペアだ。
まず飽きないね大体ね。
応援してやんねばダメだもの。
世界の海に旅立ちふるさとに戻る鮭。
一方中嶋さんは一度もふるさとを離れる事なく人生を送ってきました。
やっぱり自分が生まれたとこが一番いいんでないかなとちっちゃい時から思っておりましてね。
(スタッフ)やっぱり食卓に鮭が上ってないとあれなんですかね中嶋家は。
(久子さん)そうですね。
研究を陰で支えてきた妻久子さん。
くも膜下出血で2度生死の境をさまよいました。
(スタッフ)先生に支えられて?
(久子さん)そうですの。
2人であっちでやって…。
中嶋さんと奥さんいいペアですね。
12月津軽石で鮭の直売所スタート。
(男性)オス2本13キロ。
川鮭が割安で手に入るとあって地域の人たちで賑わいます。
オス4割が6。
(スタッフ)やっぱこの時期は鮭ですか?鮭…ハハハ!地域になじみの深い鮭。
家庭料理の定番といえば頭から骨まで使うアラ汁。
光り輝くいくらは赤いダイヤと呼ばれます。
新巻鮭は保存食としても価値が高い伝統的な鮭料理です。
いただきます。
いただきます。
(女性)美味しいですか?おばあちゃんが作ったはらこは美味しいですか?よかった。
ふるさとの味。
日常の食卓で受け継がれます。
取ってあげる。
いい?冬本番の岩手。
鮭漁最盛期。
身の危険を感じ放卵を始めるメス鮭。
命を繋いでいく事に必死です。
震災後の漁師もまた今を必死に生きています。
この仕事上みんながそれで食ってるんで生活の一部じゃないですか。
この日水揚げされた鮭を買い付けたのは南部鮭加工研究会。
2008年に発足した会の代表は佐々木信男さん。
市役所を早期退職し鮭の冷燻作りに取り組んでいます。
水産高校で中嶋先生何十年もねこれを作ってこられたという事でまあなかなかそれを作る人がねなかなかいないわけですよね。
これこのままにするのもったいねえなと思いましたね。
会のメンバーである伊藤さんそして刈屋さんは元サラリーマン。
定年退職後の第二の人生に鮭の加工を選びました。
あっ…どうも!大した忙しくしてたね。
忙しくしてたね。
ハハハ!いい天気になってね。
この日中嶋さんが向かったのは冷燻作りをしている川井地区です。
ひととおり輸入のラワン材…。
宮古港は外材が多くてラワンのおがくずが出た事があったんですよ。
そのおがくずで燻製を…ならないんですよ。
中嶋さんが目をつけたのはかつて林業の村と呼ばれた地域。
現在は地場産業は衰退。
人口減少が進んでいます。
車でおよそ1時間。
県内屈指の寒冷地川井地区に到着です。
(スタッフ)先生設計したとこでやるんですよね?そうです。
ハハハハ!ちっちゃいけどね。
以前の燻乾室は震災で被災。
この場所はメンバーにとって第二のスタート地点です。
燻製は燻す温度で種類も様々。
冷燻は25度以下の温度で作られるものです。
長旅で脂肪を落とした体の南部鮭。
脂焼けしない燻製向きの魚だと中嶋さんは考えています。
やっぱりこういう加工法は次に申し伝えねばダメだから大事な仕事なんですよ。
今はやっぱり安心してバトンをタッチした方だから。
いやいやまだまだ。
ハハハ…!燻製向きの南部鮭を使ってもまだ問題はありました。
(スタッフ)温度調整っていうのはやっぱ…。
難しい温度調整を可能にしたのが自然の冷蔵庫ともいえるこの地域の気温でした。
これでねえとダメなんです。
燻材には川井のおがくずを利用。
林業にも光を当てます。
鮭と同じく
(中嶋さん)こんなのを使ってこそ初めての地元の製品なんですよ。
佐々木さん端っこを少しいいですか?
(佐々木さん)あっもう結構硬くなってきましたね。
おおよろしいですか?ああよかったよかった。
先生がこうしてオッケーが…。
(中嶋さん)いやいやいや…。
それをこの近代化の便利な時代になって適当なもののほうに抜かれてしまって…。
これは棚上げになってた事をやり直してるっていうだけの事でね。
冷燻は温度が低い分肉に熱が浸透するまで時間がかかります。
しかしその分長く貯蔵出来る貴重な保存食品となるのです。
一次産業の棚上げに今までなってきたとこだもんね。
(佐々木さん)先生がずっと何十年も訴えてきた事。
やっぱりこの鮭に付加価値を付けていくんだと。
やっぱりそういう事を進めていかなきゃダメだと思いますね。
まあそんなようなのが宮古の人たちにもう少しあればいいがね。
ハハハハハ!加工品としての活路は海に生きる人たちの生活をも支える。
中嶋さんの父漁師でした。
(中嶋さん)この時期になれば北部太平洋から頑張って上がってきた鮭がどだからね。
なんとか美味しく皆さんの口に入れるにはですね恩返しなんでねえすか。
よい製品にして。
2014年12月。
南部鮭の冷燻ファーストクラスの機内食に採用。
宮古の鮭が空へと飛び立ちました。
いいですねやっぱり少し長生きしたかいありますね。
ハハハハ…!海で生きる人たちの生活を支え豊かな食文化を育んできた鮭。
中嶋さんにとって鮭は生きがいそのものです。
アイヌの人たちは神の魚だって言うけども本当にね鮭っていうのはほんに神様のような魚ですよね。
中嶋さんと鮭まだ話の続きがあります。
年越しを前にした中嶋家。
汁が出ないように作るのが私流の…。
夫婦で箱詰めするのは正月用の鮭料理。
お世話になった人たちへの感謝の気持ちです。
今年はねみんな5キロ以上だからまずね上出来だと思いますね。
今年2015年は宮古港開港から400年。
当時江戸では宮古の鮭のうまさが大評判になったとか。
出来れば昔風に帆のついた船で江戸まで届けてみたいですよね。
鮭を通して見つめてきたふるさと。
笑顔の先に懐かしい未来があります。
2015/03/08(日) 06:00〜06:30
ABCテレビ1
[終]日本!食紀行[字]

ほっかほかご飯に、焼きたての鮭!プリプリのイクラ!たまらないですよね。今回は岩手県の美味しい鮭を大特集。御年83歳、鮭研究一筋の鮭博士に隠された秘密とは!?

詳細情報
◇番組内容
赤いダイヤと呼ばれるイクラ。保存食としても価値が高い新巻鮭。“捨てるところがない魚”と言われる鮭は、私たち日本人には馴染みの深い魚です。その鮭に魅せられ、加工品の研究を続けている人物がいます。なんと83歳!鮭の水揚げ量、本州一の岩手県宮古市で生まれ育った「鮭博士」は昭和62年、全国初の「鮭の中骨缶詰」を開発。当時、缶詰は大ヒット商品となりました。
◇番組内容2
「故郷に帰る鮭は義理堅い魚。余すところなく良い製品にするのは鮭への恩返し」そう話す博士の自宅庭には鮭が吊るされ、「研究室」(元茶室)は実験用のフラスコだらけ…。奥さんもちょっと呆れ顔です。自称「鮭バカセ」は、75歳を過ぎてから難しい加工法とされる「冷燻づくり」に挑戦。そこには、先細りが進む地域、そして家族への思いがありました。しかし、脱サラした仲間たちとの新しい船出は予期せぬ展開に…。
◇ナレーション
菊池幸見(IBC岩手放送アナウンサー)
◇音楽
エンディングテーマ曲
Bom Dia ! / 柏木広樹
◇制作
企画:民間放送教育協会
制作著作:IBC岩手放送
◇おしらせ
☆番組HP
 http://www.minkyo.or.jp/

この番組は、朝日放送の『青少年に見てもらいたい番組』に指定されています。

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – ドキュメンタリー全般
趣味/教育 – 生涯教育・資格

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
映像
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz

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