イッピン選「東北のカワイイ 世界へ!〜宮城 鳴子こけし〜」 2015.03.08


きょうのイッピンはこちら!素朴な表情が何とも愛らしい東北生まれの玩具「こけし」です。
実は今女性の間でこけしが大人気。
彼女たちはこけしを愛する女性「こけ女」と呼ばれています。
部屋に飾っているとすごい癒やされますね。
カワイイなぁと思います。
はい。
こちらの女性たちはこけし好きが高じて生産地を訪ね現地の情報を集めた冊子を編集。
魅力を発信しています。
更にこけしをデザインに取り入れたバッジや手拭いまで制作。
独特の愛らしさが女性たちを引きつけてやみません。
所変わってフランスパリ。
日本のポップな雑貨を扱う店でもこけしが!アニメキャラクター風の人形が4年ほど前に登場。
最新のカワイイグッズとして注目されているんです。
でもやっぱり人気なのは…。
(音)キュッキュッ。
古くから作られてきた伝統的なこけしです。
数あるこけしの中で今回紹介するのは宮城県の鳴子こけし。
アートディレクターもそのワザに注目!伝統と現代のセンスがマッチしたものから漆器とコラボレーションした作品まで。
新しい解釈のこけしが続々と生まれています。
きょうはいわば「元祖カワイイ!」今なお人々を魅了する宮城県の鳴子こけしを徹底リサーチします。
宮城県大崎市鳴子温泉。
千年の歴史を持つという古くからの温泉郷です。
鳴子は江戸時代から続くこけしの一大産地。
すごい!温泉地なので温泉の匂いがしますね。
あ〜!すごい!こけしのポスト。
え〜!鳴子こけしは明治時代温泉の土産品として全国に知られるようになったといわれています。
入れてみたいな。
カワイイですね。
フフフ。
町にはこけしの専門店が23軒あります。
その1つをのぞいてみました。
こんにちは。
すみませんちょっと拝見していいですか。
すみません。
こんにちは。
こんにちは。
こけし好きなんですか?ええこけし好きで。
京都からはるばるこけしを買いにやってきたという女性。
30以上も集めているそうです。
鳴子こけしの魅力ってどんなところにあるんですか?ちょっとくびれてるのがセクシー。
確かに。
まっすぐじゃないですもんね。
ちょっとここほんの少しくびれてる。
ここがくびれているのが…。
顔もカワイイというか媚びてない。
切なそうな顔が連れて帰りたくなる。
持って帰ってほしいなみたいな顔に見えますね。
こけしは江戸時代後期東北で生まれた玩具。
木工職人が余った木で子どものために作ったのが始まりといいます。
今でも各地でそれぞれ個性豊かなこけしが作られています。
中でも鳴子はこけし作りに携わる職人が最も多い産地です。
鳴子こけしはほほ笑んだ表情がかわいらしい女の子。
特徴は菊をモチーフにした模様とゆるやかにくびれたウエスト。
そしてもうひとつ…。
首が鳴ったりとかして…。
首が鳴るのも大きな特徴。
子どもをあやすためと言われています。
音の鳴るこけしには鳴子に伝わるある木工のワザが隠されていました。
こけしを作り続けて100年という老舗の工房を訪ねました。
こんにちは。
鳴子に7人いる伝統工芸士のひとりです。
岡崎さんのようなこけし作りの職人は「工人」と呼ばれてきました。
鳴子では頭と胴を別々に分けて作ります。
材料に用いるのはミズキ。
ミズキはよく使われる?肌が白いので鳴子のこけしに似合うんですね。
あぁそうか。
色白な。
ええ。
白い肌の女の子に最適な材料です。
加工に欠かせないのがろくろ。
材を回転させながら先が鍵状に曲がったカンナ棒を当てるとたちまち頭の形が。
丸みは感覚でもうやっていらっしゃるんですか?そうですね感覚だけですね。
長年の感覚で。
「うま」という台に「カンナ棒」を固定。
材に当て丸みを作っていきます。
これね。
「トクサ」という草ね。
艶出るんですね。
自然のものは良いです。
トクサ?トクサ。
本当だ!艶を出すためトクサの茎を使います。
茎の表面に微細な粒がたくさん付着している為ヤスリのように磨き上げることができるのです。
磨く前と後を比べてみると…。
トクサで磨くとこけし独特の艶が出るのが分かります。
あっという間に頭が…。
頭が出来上がりね。
わ〜きれい!胴体のウエスト部分ですね。
う〜ん。
鳴子こけしの特徴である微妙なくびれ。
カンナ棒を左右に振り曲線を削り出します。
たおやかなラインが現れてきました。
一番難しい所ね。
はい。
首をね頭をはめ込むところやります。
溝ギリという道具で胴体に穴を開けます。
一方頭部にはこのような突起が。
穴の入り口は狭く奥を広く削るようにします。
一たび胴体に頭部をはめ込むと抜けることはありません。
「キュキュ」っという音は首の部分がきっちりと密着しこすれて鳴るのです。
しかし…。
そのままだと入んないんですね。
うん入んないから…。
実は突起は穴より大きく作ってあります。
どうやってはめるのでしょうか?ワンチャンスです。
行きますよ。
そうか。
はい。
あ〜すごい。
焦げてる煙が。
へぇ〜すごい!お〜入った。
え〜!これは摩擦熱を利用したワザ。
木は熱を加えると変形しやすくなるという性質があります。
そのため木材同士をこすって熱を発生させることで狭い穴に突起をはめ込むことができたのです。
すごい出来たて。
どうぞ。
回してみてください。
温かいですね。
もう温かいです。
頭が温かい。
(音)キュッキュッキュッ。
おっ!いい音が。
いいですね。
木の性質を知り尽くした工人の知恵です。
仕上げは「絵付け」。
細く入って太く膨らみ細く出ていく特徴的な描き方です。
うん。
カワイイですね。
岡崎さんが絵付けするこけしはどれもが個性的。
いつまでも子どもたちに愛される玩具を作りたい。
そんな思いで一つ一つに命を吹き込んできました。
子どもたちに愛される理由は首を回すと出る音にもありました。
(音)キュッキュッ…。
その秘密を探ります。
生活の中にあるさまざまな音を研究してきた大脇雅直さん。
音の高低や大きさを映像化することができる特殊なカメラを使いこけしの音に近いものを探します。
まずはこけしの音を見てみましょう。
赤は高音を緑は中音青は低音を表しています。
中音域から高音域までバランス良く出ているのが分かります。
次は電話の呼び出し音。
低音域に偏っています。
パトカーのサイレンはどうでしょうか?あれ?これも低音域ですね。
続いてはカスタネット。
こけしと似てバランスが良い事が分かります。
おもちゃの鳴き笛も同じく良いバランス。
皆さんどのおもちゃについても非常に周波数範囲が広いので子どもを喜ばす音を出すためにひと手間かけたこけし作り。
工人の工夫が詰まったイッピンでした。
再びパリ。
東北の伝統工芸の技術を生かしたアート作品の展示会です。
これらの作品は鳴子こけしの工人と日本人デザイナーの競作です。
磁石の反発を利用し首が跳ね上がります。
キスをモチーフにしたキュートな作品。
顔がない全身がストライプで覆われたこけしも人気。
アートディレクターの浅葉克己さんがデザインしました。
浅葉さんのデザインを形にしたのが…この道45年のベテランです。
伝統的なこけしはろくろの回転を利用して多様な線を描いていきます。
その手法を用いたのがストライプの模様。
きっちり2ミリ間隔で黒い線が引かれています。
すご〜い。
これでどれくらいかかったんですか?ふだん作ってる物から見ると5倍ぐらいの時間がかかりますね。
線を2ミリの太さで2ミリの間隔にまた2ミリの線の太さ。
この繰り返しでず〜っともう頭まで。
わ〜!かなり神経を使う作品ですね。
絵付けの様子を見せてもらいました。
下地に白い塗料を塗って艶やかに。
その上に細かい線を引いていきます。
お〜。
そうやって入るんだ。
下書きもせず大胆に真ん中から線を入れ始めました。
きれい。
ちょっと筆に圧をかけて太さを作ってるんですか。
今多分あれですね…。
あとで聞こ。
均一な線を入れていく絵付け。
線一本足りとも書き損じることはできません。
きれいですね。
はい。
うまく出来ましたね。
邪魔でしたね話しかけて。
いえいえ。
ごめんなさいね。
付けてる時はしゃべれないので申し訳なかったですね。
そうですよね。
すみません。
これ1本1本付ける時はそれこそ息を止めてやらないと筆が震えて付けられないんでね。
一本の線を画面左から右に向かって描いていきます。
筆を置く位置は隣の黒い線から4ミリの所。
ここから画面右に向かって少しずつ線を広げていきます。
ちょうど真ん中に来た所で筆を上げると2ミリ幅のストライプになるというわけです。
白と黒をセットとみなすことで均一なストライプを生み出していたんですね。
55本の線全てが入りました。
一応見てみますね。
はい。
測ってみると…。
お見事!どれもがぴったりと2ミリ間隔になっています。
伝統の線引きのワザを生かしたユニークなアートこけしの誕生です。
閑静な住宅街に多くの人が集まる雑貨店があります。
和風の小物が並ぶ一角にこけしをモチーフにした雑貨が。
メモ帳や小物入れポケットティッシュのケースなど若い女性をターゲットにした商品が取りそろえられています。
鳴子のこけしに惚れ込んだ店長がセレクトしたもの。
鳴子では地場産業の漆器とコラボレーション。
ろくろを使って描いた線が美しい…鳴子こけしのキュートな魅力がさまざまなアイテムに取り入れられ始めました。
専門店でも。
ふ〜ん。
あ!面白いのが。
こけし印鑑。
え〜!手のひらサイズのこけしが印鑑に。
観賞用の人形にしておくだけではもったいないとさまざまな商品が作られています。
この工房ではこけしをモチーフにしたアイテムを20種類以上生み出しました。
ちょっといろいろ作った作品があります。
こちらは?こけしの頭のようですが何に使うのでしょうか?これはここペットボトルですよね。
そうですねはい。
あ!蓋に?そうですね。
え〜!この蓋とっても実用的なんです。
ここが大きいんでですねちょっと年配の人は回すのも楽だしペットボトル。
こう手が痛くなっちゃう時とか滑っちゃう時ありますけど確かにこんなに大きくてつかみやすかったら…。
こちらもただのこけしじゃなさそうです。
あ!これは線が…。
これもカワイイですね。
中に埋め込んでますので…。
さて何に使うんでしょうか?手間がかかります。
そうですよね大変ですよね。
普通のこけしを作るのとはまた違うんですね。
お〜!わ〜!すごい!なんとこけしが懐中電灯に!頭がスイッチ。
押すと点灯する仕組みです。
でもどうして懐中電灯なんですか?いざ地震があってですね東北の震災があってその後に東京のデザイナーさんが訪ねてこられてですね…共同で作った作品です。
いいですよね。
懐中電灯とかライトってふだんしまっちゃうじゃないですか。
そうですね。
これだと…ここにもこけし作りのワザが生かされていました。
パーツは上下に分かれた胴体と頭の部分。
まずは下の部分から最初作っていきます。
ここですね。
そうですね。
ちょっと見ててください。
はい。
ろくろと溝ギリを使ってライトが入る大きさの穴を開けていきます。
こう入りますね。
はい。
すごい!ライトが下の部分に入りますね。
こうなってます。
丸みを帯びた頭がスイッチに。
2つに分かれた胴体を合わせて削りだします。
こけしのフォルムに近づいてきました。
これで出来上がりです。
これとこれが合うわけですね。
胴体の…。
あとは頭が付くんですけども軸になる部分スイッチになる部分これが来てここに頭が付きます。
これで出来上がりになります。
これで全体の…。
そうですね。
形になります。
ライト付きます。
付きましたね。
結構手間かかります。
いや〜本当ですね。
やってみてすごく面白いんですね出来上がってみると。
だからそういう何というかなろくろの技術を生かしてこれからもいろんなものを作っていってみたいなぁとは思ってますはい。
伝統的なこけし作りの技術を応用し実用的でカワイイアイテムの誕生です!今回鳴子こけしを見させていただいて伝統を守りながらもずっと受け継がれているその技術と新しいこけしの形にすごく感動して本当にこけしって魅力的なんだなって心から今回感じました。
子どもを楽しませるため東北の工人たちが作り続けてきたこけし。
姿形は変わっても世界中で人々を和ませるカワイイイッピンです。
2015/03/08(日) 04:30〜04:59
NHK総合1・神戸
イッピン選「東北のカワイイ 世界へ!〜宮城 鳴子こけし〜」[字]

いま女性たちの間で注目を集めるキャラクターがこけし。パリでも最新「カワイイ」として人気だ。安めぐみが、一大産地として知られる宮城県鳴子温泉に向かい、魅力を発見。

詳細情報
番組内容
今回は、宮城の「鳴子こけし」。いま女性たちの間で熱い注目を集めるキャラクターがこけし。パリでも最新の「カワイイ」として人気だ。そんなこけしをリサーチするため、一大産地として知られる宮城県鳴子温泉に向かったのは、安めぐみ。ストライプ模様を身にまとい、「キュッキュ」と音を出す不思議なこけしと出会う。さらに斬新なデザインで、さまざまなグッズに変身したこけしも登場!人々を癒やす伝統玩具の魅力を発見していく
出演者
【リポーター】安めぐみ,【語り】平野義和

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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