突然ですがここで「ダーウィンNEWS」です。
2010年に放送した「ダーウィンNEWS」。
まずはスペインサラゴサで撮影された衝撃の映像をご覧下さい。
屋根のハトが川へ降りてきました。
浅瀬で水を飲んでいるんですね。
あれ?背後に大きな魚が来ましたよ。
うわ!なんとハトが巨大な魚にのみ込まれてしまいました。
魚が鳥を食べちゃうなんて驚きの大スクープです!ハトをのみ込んだのは…最大で3メートルにもなるヨーロッパ最大級の淡水魚です。
この放送から丸4年。
更に衝撃の展開がありました。
なんとスペインだけでなくフランスやイタリアでもオオナマズによる「ハト狩り」が目撃されるようになったんです。
さらにさらに!あっ!人間が襲われる事件まで発生しています。
一体ヨーロッパの川で何が起きているのか。
スペインフランスイタリア3か国にまたがる事件の真相に迫ります。
(テーマ音楽)まず取材班がやってきたのはスペイン。
オオナマズのハト狩りが目撃されたサラゴサから200キロ下流です。
この辺りにはヨーロッパオオナマズがたくさんいるうえ透明度が高く観察にうってつけです。
早速潜ってみましょう。
岸の近くには草がうっそうと生い茂っています。
夜行性のオオナマズは日中こうした薄暗い草の陰などに潜んでいるといいます。
カメラマンが何か見つけたようです。
いたいた!ヨーロッパオオナマズです。
オオナマズは群れを作らず1匹でいることがほとんどです。
体のわりに小さな目。
ハトをのみ込むどう猛さとは裏腹にかわいらしい顔つきですね。
ところが口の中を見ると鋭いトゲのようなものが無数に並んでいます。
これが歯です。
思い出して下さい。
冒頭で紹介した女性の足首の傷。
この歯のせいだったんですね。
このオオナマズはおよそ2メートル。
大きいですねぇ。
でもまだまだ大きくなるんです。
日本の一般的なナマズは最大60センチほど。
日本最大級の淡水魚ビワコオオナマズは1メートル20センチに達します。
これと比べるとヨーロッパオオナマズは桁違い。
最大で全長3メートル体重は200キロになるといいます。
夕暮れ。
ヨーロッパオオナマズが活動を始める時間が近づいてきました。
夜の川に潜ります。
おっ早速現れました。
2匹います。
どちらも大きさは1メートルほど。
やや小ぶりです。
昼間とはうって変わって暗闇の中を活発に泳ぎ回っています。
岩の間を縫うように泳いでいきます。
ちょっと追跡してみましょう。
ひげを前方に突き出してしきりに動かしています。
「手探り」ならぬ「ひげ探り」で獲物を探しているんです。
もう一つ獲物を探す時に重要なのが味です。
人間の場合味を感じるのは舌にある味蕾という器官です。
その数はおよそ6,000。
ナマズの場合この味蕾が体じゅうにあってその数はなんと20万と言われています。
つまりナマズは人間よりも敏感な味覚を持った「泳ぐ舌」なんです。
魚がいます。
そこに近づいていくオオナマズ。
水中に漂う魚のかすかな味を頼りに追跡しているんです。
あっ逃げられた。
また失敗。
今度は待ち伏せ。
近づいてきましたが…逃げられてしまいました。
狩りの成功率はそう高くはないようですねぇ。
水族館で撮影された貴重な映像でヨーロッパオオナマズの狩りを見てみましょう。
狙っているのは30センチほどのコイ。
コイが逃げようとすると…あっ食べられた!巨大な口を素早く開けコイを一瞬で吸い込んでいます。
この驚異的な吸引力こそオオナマズの武器。
この迫力!狙われた獲物はなすすべがありません。
ヨーロッパオオナマズの水中での狩りの技が分かったところでいよいよハト狩りの技に迫ります。
スペイン北東部にあるサラゴサです。
宮殿や教会など歴史的な建造物が数多く残り世界文化遺産に登録されている美しい街です。
国内のみならず世界中から訪れる大勢の観光客でにぎわっています。
(鐘の音)午前9時。
教会の鐘が鳴り始めました。
(鐘の音)大聖堂などをすみかにしているハトたちが飛び立ちます。
向かった先は教会のそばを流れる川です。
ハトが次々に川に降り始めました。
みんなで水浴び。
気持ちよさそうですね。
その直後。
下流の深みから怪しげな影が現れました。
ヨーロッパオオナマズです。
ここ分かりますか?オオナマズの背中です。
じわじわと近づいていきます。
ハトは全く気付いていないようです。
オオナマズはハトとの距離を縮めていきます。
そして…。
あっ!一瞬で丸のみにしてしまいました。
今度は奥にいるハトにご注目。
頭を川に突っ込んで水を飲んでいます。
すると突然大きな口に引きずり込まれてしまいました。
このハト狩り。
多い時には30分に1回のペースで発生しています。
通行人が気付いたようです。
地元では知る人ぞ知るちょっとした名物になっています。
あっ!ヨーロッパオオナマズによる衝撃のハト狩り。
一体どうやって食べているのか。
そもそもなぜ食べるようになったのか。
私たちはハト狩りの様子を徹底的に分析することにしました。
ハトが川に降りた直後オオナマズが現れました。
やってくるのはいつも下流側からです。
上流から流れてくるハトの味を頼りにしているようです。
ハトが水浴びをしている場所へまっすぐにやってきます。
これ以上進めないという所でじ〜っと待機。
ハトが来ると…襲いかかります。
目と鼻の先にハトがいます。
食いついた!今度は逃げられました。
映像をよく見るとあることに気付きました。
ハトを狙うオオナマズはひげを前に突き出しています。
ひげにハトが触れた瞬間飛びついているようです。
よ〜く見て下さい。
ひげにハトが触れると大きな口を開けて襲いかかります。
たとえ水が濁っていてもこの作戦ならへっちゃらです。
今度の狙いは画面中央の茶色っぽいハト。
逃げる間もなくのみ込まれてしまいました。
浅瀬にいるハトだって…。
決して安全ではありません。
こちらはさらに豪快。
勢い余って水から飛び出さんばかりです。
味を頼りにハトに近づきひげに触れると襲いかかるというオオナマズのハト狩り。
それにしてもハトはあまりにも無防備だと思いませんか?研究者によるとハトはオオナマズが敵だと認識できないんだそうです。
ハトにとって最大の敵はハヤブサなどの猛きんです。
だから空から来る驚異に対してはとっても敏感です。
またキツネやネコなど陸上の肉食動物にも強い警戒心を持っています。
ところが長〜い進化の歴史の中でハトは水中の敵に襲われることがほとんどありませんでした。
だから全くの無防備なんです。
ちょっと待った!そこですよそこ。
えどこですか?あいやいやいや。
今「進化の歴史の中でハトは水中の敵に襲われることがなかった」って言ったじゃないですか。
じゃなんで最近になってナマズがハトを襲うようになったんですかね?ヒゲじい鋭いですね。
でしょ。
えっへん!謎を解く鍵は番組のはじめに紹介したこれです。
うん?どれ?ヨーロッパオオナマズによるハト狩りがスペインフランスイタリアでほぼ同時期に見られるようになったという点です。
は〜あ?こちらはフランスの南部に位置するアルビ。
ここにも多くのハトがいます。
うんスペインの風景と似ておりますな。
そうですよね。
でハトが水浴びをしているとオオナマズが現れました。
ほら襲われた!あホントだ。
全く同じ状況ですなぁ。
はい。
こちらはイタリアのベネチアに程近い運河。
ここでもオオナマズがハトを襲っています。
ほうほうほう。
うわ〜!これも同じ光景だ。
はい。
これら最近オオナマズによるハト狩りが見られるようになった場所にはある共通点があるんです。
共通点…う〜んそれが謎を解く鍵ですかな?はい。
実はヨーロッパオオナマズはもともとこれらの場所にはいませんでした。
ところが1970年代から80年代にかけて釣りの対象や食用にするため人の手によって持ち込まれたんです。
もともとすんでたわけじゃないんですか。
そうなんです。
持ち込まれてから数十年。
特に温暖な南西ヨーロッパでオオナマズたちは爆発的に数を増やしました。
その結果食べ物が不足したんです。
ほうそりゃ困りますなぁ。
はい。
そこで新しい獲物としてハトに目を付けるようになったんですよ。
はあ〜!そういうことだったんですか。
なるほどねぇ。
オオナマズたちも生きるために必死なんですね。
はい。
それにねヒゲじいオオナマズは本来夜行性なのにハトの行動に合わせて昼にも活動するようになったんです。
へえ〜そうだったんだ。
オオナマズのハト狩りにそんな切実な事情があったとは。
オオナマズも「ナマズ食わず」じゃ生きていけませんもんね。
うわハハハハ!それにしてもすごい迫力ですなぁ。
生きるためにハト狩りを編み出したオオナマズたち。
しかしさらに新たな競争が生まれています。
それはハトという獲物の奪い合いです。
こちら数匹のオオナマズが同じ場所でハトを狙っています。
私たちの観察では最も多い時で7匹ものオオナマズが同じ場所に集まってきていました。
大きいオオナマズは小さいものを容赦なく追い払います。
オオナマズたちにとって生きていくための戦いが日々繰り広げられています。
第2章ではさらなるスクープ。
数十匹ものヨーロッパオオナマズが大集結!一体どうして?そして命をつなぐ感動の場面にも遭遇しました。
事件はフランスのとある川で起きました。
1人の女性がヨーロッパオオナマズに襲われたんです。
遊び疲れた2人が岸に上がろうとしていた時。
あっ!足首にはやすりでこすったような傷。
そうオオナマズにかまれたんです。
また別の川では小型のイヌがオオナマズに食べられるという事件もありました。
こうした被害と同時に生態系への影響も懸念され始めています。
フランススペインドイツなどの専門家たちは国際的な研究会を発足。
オオナマズが何を食べているのかどれぐらい繁殖しているのかなど詳しい生態調査に乗り出しました。
オオナマズは望んでここに来たわけではありません。
でも問題が起きていることも事実。
解決の糸口はまだ誰もつかめていません。
スペインフランスイタリアでハト狩りを行うようになったヨーロッパオオナマズ。
さらに不思議な行動が最近観察されるようになりました。
場所はフランス東部の川。
地元カメラマンが撮ったスクープ映像がこちらです。
1メートルから2メートル級のオオナマズたちが50匹もの大群を作って渦巻いています。
名付けて…この川では何度も目撃されています。
これは一体何なのか。
映像を見たサントゥール博士も首をかしげます。
博士は一つの仮説を立てました。
まずはこちらをご覧下さい。
釣り人の針にかかったヨーロッパオオナマズをさらに大きなヨーロッパオオナマズがのみ込もうとしています。
オオナマズは共食いをすることもあると考えられています。
その共食いを避けるために取る行動が「ナマズ竜巻」だというんです。
大群をよ〜く見ると2メートル級のオオナマズに小さめのオオナマズがすり寄っています。
こうして「食べ物ではないよ」と訴えているというんです。
獲物が不足しハト狩りが起きている中で目撃された「ナマズ竜巻」。
それは新天地でオオナマズたちが編み出した苦肉の策なのかもしれません。
春。
オオナマズの恋の季節です。
浅瀬を見ると…。
巨大なオオナマズが2匹一緒に泳いでいます。
やがてもつれ合うように泳ぎ始めた2匹。
動きは次第に激しさを増していきます。
この2匹はカップル。
オスがメスにプロポーズしているんです。
プロポーズから数日後。
浅瀬にいる1匹のオオナマズを見つけました。
近づいても動こうとしません。
明るい日中浅瀬に姿を現すなんてハト狩りの時以外にはなかったことです。
実はこのオオナマズはオス。
メスが産んだ卵を守っているんです。
卵を狙って集まってくる小魚たち。
オスは片ときも離れず水草の上の卵を守り続けます。
産卵からおよそ1週間後。
体長3ミリほどの赤ちゃんが誕生しました。
数日間はおなかの袋の栄養分を吸収して育ちます。
その間泳ぐことのできない赤ちゃんは他の魚たちの格好の獲物です。
ようやく泳げるようになっても小さな赤ちゃんは狙われる立場。
成長すれば無敵のオオナマズも今はとにかく隠れるしかありません。
2週間がたちました。
赤ちゃんはすっかりナマズらしくなっています。
あっ虫を食べました。
生き残るためにはひたすら食べて大きくなるしかありません。
やがて無敵の巨体を手にしたオオナマズは80年も生きるといいます。
この小さなオオナマズはそれまで生きることができるでしょうか。
新天地で命をつなぐためハト狩りという驚きの技を編み出したヨーロッパオオナマズ。
人間に翻弄されるその運命は今後どこへ向かうのでしょう。
強烈な破壊力で敵を倒すボクサーのパンチ。
そんなボクサーも顔負けの生きものが海の中にいるといいます。
間合いを詰めて…パ〜ンチ!その生きものとは…モンハナシャコ。
名付けて「海のKOキング」。
カニを目がけてパンチ!一撃でノックアウトしてしまいました。
今度はハサミを粉砕!驚くべき破壊力です。
この「シャコパンチ」。
水中のあらゆる生きものの中で最も速い動きなんです。
どれほどの威力があるのか?前代未聞の実験を行いました。
元世界王者とパンチ力対決。
モンハナシャコの桁外れのパワーが明らかになったんです。
はぁ!?なぜそしてどのように強烈パンチを繰り出すのか?海の最強ボクサーモンハナシャコに迫ります。
(テーマ音楽)インドネシアのバリ島。
赤道の少し南に位置する熱帯の島です。
独特の文化を持ちリゾート地としても人気があります。
この島の周りがモンハナシャコの一大生息地なんです。
早速捜索開始。
沖へ泳ぐと水深10メートルほどの所でサンゴ礁を見つけました。
鮮やかな色の魚たち。
きれいですね。
そのサンゴ礁の下で目を凝らしていると…現れました。
今日の主人公モンハナシャコです。
おすしでおなじみのシャコの仲間です。
それにしても不思議な顔ですね。
特徴的なこの目は自在に角度が変えられ360度を見渡すことができます。
全長は15センチ。
体はウグイス色をしています。
おや?こちらは白っぽいですね。
今度は鮮やかな緑色。
1匹1匹色が違うんです。
それぞれ縄張りを持ちその中で暮らしています。
あっ石の隙間に入りました。
ここはシャコの巣穴。
石の下などに穴を掘りこの中で休んだり食事をしたりします。
出入り口の前にサンゴのかけらを置いていますね。
こうして崩れやすい巣穴の周りを補強しているんです。
我が家を守るためには苦労をいといません。
こんなに大きなサンゴだって運んじゃうんですよ。
おや?カニのような生きものが現れました。
シャコの巣穴に近づいていきます。
シャコが気付いた。
うわ!何が起きたの?シャコが何かで強烈にたたき砕いてしまったんです。
そして巣に引き込んでいます。
実はこれがモンハナシャコの狩り。
こうしてカニなどを襲い食べるんです。
それにしてもあの強烈な一撃。
どのように繰り出したんでしょうか。
詳しく見てみると赤い2本のハンマーのようなものでカニを「パンチ」しています。
これは「捕脚」と呼ばれるパンチ専用の脚。
シャコには8対の脚がありますが前から2番目の脚が巨大化し狩り専門に使われます。
獲物を捕らえる脚なので「捕脚」です。
ではここでパンチの破壊力をとくとご覧に入れましょう。
ハサミに狙いを定めてパンチ!簡単にへし折ってしまいました。
こちらでもカニをパンチ。
あまりの衝撃に周りのサンゴが崩れています。
襲うのはカニだけではありません。
ヤドカリの硬い貝殻も破壊。
岩に張り付く貝に連続パンチ!こうして殻を割り貝を食べるんです。
いや〜強烈。
一体どれほどの威力があるんでしょうね。
それを調べている人がいます。
アメリカの大学でシャコのパンチのメカニズムを研究する加賀谷勝史さんです。
こちらは加賀谷さん特製シャコのパンチ力測定器。
この部分をシャコがたたくと力が計測されます。
測定器をシャコの入った水槽に入れ顔の前に近づけると…。
(たたく音)見事なパンチを打ち込みました。
結果は…?175ニュートン。
これは17.8キロの重さに匹敵する力です。
この力がどれほどすごいのか人間のパンチ力と比較してみることにしました。
訪ねたのはこの方。
ボクシング元世界チャンピオン内藤大助さんです。
人類対シャコ。
前代未聞の対決です。
体の大きさが全然違うためシャコの体重が内藤さんと同じになるように換算してパンチ力を競います。
王者内藤まずは敵の力量を確認です。
内藤さん勝てそうですか?測定器はサンドバッグに取り付けます。
さあ人類代表として負けられない一戦です。
はい行きます。
これは強烈!記録は116キロ。
どうかな?手応え十分の内藤選手。
シャコに勝てたか?バン…はぁ!?なんという結果でしょう!シャコの記録は18.7トン。
まさに桁違いです。
あちゃ〜。
驚異的な威力の秘密はパンチのスピードです。
パンチの動き始めから打撃まではわずか0.004秒。
この間に時速80キロにも達するんです。
これは銃弾が発射される時の加速度に匹敵します。
あまりに速い動きは奇妙な現象を引き起こします。
泡が見えますよね。
捕脚の動きで水圧が変わり周りの水が沸騰してしまうんです。
スピードを生み出す鍵は捕脚を覆う殻の部分にあるといいます。
パンチの前筋肉を縮ませることでこことここの部分をしならせ弓のように力を蓄えます。
そして筋肉を緩めると殻が元の形に一気に戻り脚の先を高速で押し出すんです。
特に水中水の抵抗がある中で最速の動きをする動物です。
シャコのパンチのすごさ分かって頂けましたでしょうか。
はい。
もちろん分かりましたぞ。
さすがのヒゲじいも納得ですね。
フフフン。
でもちょっと待った。
え?硬い物をあんなにたたいて脚を傷めちゃったりしないんですかね。
あそう思いますよね。
でも大丈夫です。
パンチをする部分は硬〜いカルシウムが何層にも重なっていてとっても丈夫なんです。
あ〜そうなんですか。
こんなこともありました。
貝をたたこうとしたら…。
あらら石をたたいちゃった。
そうなんです。
これでも捕脚はびくともしません。
へ〜!ちなみに金属をパンチするとこんな音がします。
(たたく音)アッハハ!ホントに硬そうだ。
これぞまさに鉄拳ですな。
そうでしょう?しかも捕脚はただ頑丈なだけじゃありません。
万が一傷ついてしまっても大丈夫なんです。
大丈夫ってどうして?こちらはシャコが脱皮する様子です。
シャコは数か月ごとに脱皮をするんですがその時に傷ついていた捕脚も元どおりになるんです。
へ〜!さすがシャコさん。
まさに最強のボクサーですな。
いやこれ「シャコー辞令」じゃないですよ。
なんちゃってね。
第2章はシャコ対シャコの戦い。
驚きのワザを繰り出します。
更に手ごわい天敵たちも登場。
シャコはどうやって立ち向かうんでしょうか?日本の海で漁師さんたちがとっているのは「シャコ」という名前のシャコ。
おすしでおなじみのこのシャコもパンチをするんでしょうか。
あっ!アサリをパンチ。
モンハナシャコほど威力はありませんが殻を割ることもできるんです。
そしてモンハナシャコにはないワザも持っています。
捕脚がギザギザしていますよね。
これでエビなどを挟んで捕らえることもできるんです。
今回の撮影の舞台バリの海には更に強烈なシャコがいます。
海底からのぞく怪しい目。
トラフシャコです。
砂地に堀った縦穴から顔だけを出しています。
トラフシャコが穴の外に出ることはほとんどありません。
魚を使っておびき出すとうわ!大きい。
全長は30センチもあります。
そしてトゲトゲした巨大な捕脚。
大きな魚を穴に引き込んじゃいました。
トラフシャコが狩りをするのは主に夜です。
顔だけを出し獲物が通りかかるのをじっと待ちます。
おっと!魚が消えた。
捕脚で挟みすぐに穴に引き込んだんです。
今度は…あっ!空振りです。
すんでのところでかわされてしまいました。
カマで挟んだりパンチをしたりシャコって本当に名ハンターぞろいなんですね。
インドネシアバリ島の海です。
強烈なパンチを武器に硬い殻を持つカニなどをしとめて食べるモンハナシャコ。
パワーだけでなくボクサー顔負けのテクニックも持っています。
まずは目にも留まらぬ速攻。
スローで見ると…。
ハサミで攻撃してくるカニを絶妙な間合いでかわしカウンターパンチを食らわせました。
今度は壁際に追い込んでパンチのラッシュ。
スローで見ると…。
脚でカニを抱え込み至近距離から連打しています。
こちらは岩を登るカニ。
おっと!シャコがぐるりと回転。
そしてあおむけでパンチを繰り出しました。
今度はカニをはじき飛ばして…。
逃げる相手に泳いで迫りそのままパンチ。
名付けてフライングアタック!シャコの巣の前にひときわ大きなカニが現れました。
どのように攻略するんでしょうか。
(試合開始のゴング)早速攻撃開始。
お〜っとカニもハサミで反撃。
シャコは間合いを取ってハサミの攻撃を防ぎます。
さあこの後どうする?再びカニの懐に潜り込んで一撃。
そして一気に捕らえた!あ〜っと!逃げられた。
まだまだカニも気合い十分だ。
今度は捕獲成功。
一体何が起きたのか?あ〜っと!抱え込みながらパンチをしていました。
見事な決めワザです。
(試合終了のゴング)いや〜本当にさまざまなテクニックを駆使して狩りをしているんですね。
海のボクシング。
最高峰の戦いはモンハナシャコ同士の決戦です。
あっとびっくり!別のシャコと鉢合わせ。
にらみ合いが始まりました。
ケンカ勃発!こちらでもにらみ合い。
シャコ同士のケンカは頻繁に起こります。
なぜこれほど争うのか。
試しにシャコに鏡を見せてみました。
鏡をにらんで威嚇。
鏡に映った自分を縄張りの侵入者と勘違いしているようです。
シャコは縄張り意識がとても強いんです。
あ〜!鏡もバリバリです。
今度は本物のシャコ対シャコ。
お〜っと!顔面にクリーンヒット。
これはかなりのダメージか?パンチの威力を誰よりもよく知るのはシャコ自身。
そのため防御のワザも心得ています。
体を反転して尻尾を立てましたね。
軟らかい尻尾でパンチを受け止め顔や胴体を守るんです。
右のシャコにご注目。
尻尾でガードしました。
尻尾を立ててガードする右のシャコに対し左のシャコはガードの上から一撃!あれ?捕脚の形がいつもと違います。
先端がとがり相手に刺さっています。
とがった部分はふだんは折り畳まれています。
必要な時だけ開いて出すんです。
普通のパンチが効かない相手に使う奥の手です。
こちらの戦いでもトゲ攻撃。
スローでよ〜く見ると…ほらトゲを相手の体に突き立てました。
いや〜まさに頂上決戦。
一瞬の戦いの中にさまざまなワザが秘められているんですね。
驚くべき身体能力を持つモンハナシャコ。
海底近くをス〜イスイ。
泳ぎの達人でもあります。
水中を飛ぶように泳いでいます。
顔の両側にある黄色い部分を横に広げています。
これは触角の一部。
泳ぐ時にバランスを取るため翼のような形になったんです。
そして泳ぎの推進力を生み出すのはこちらです。
おなかの下に並ぶヒレのようなもの。
「腹肢」といいます。
たくさんの腹肢で水をかくことで力強く前に進めるんです。
こうして巣の周りだけでなく泳ぎ回っても獲物を探すことができます。
しかし巣の外で出会うのは獲物ばかりではありません。
天敵たちもまたシャコの隙を狙っているんです。
タコが現れました。
シャコが大好物です。
両者の距離はわずか数十センチ。
タコは既にシャコに気付いています。
シャコも気付きました。
とにかくここは逃げるが勝ち!何とか逃げきりました。
しかし動きの速い相手には逃げ足だけでは通用しません。
こちらは大型の肉食魚ハタです。
岩陰に隠れるシャコに近づいてきました。
おっと!シャコが飛びかかった。
素早い動きで威嚇します。
シャコは大丈夫か?お〜無事です。
抜群の身のこなしで敢然と立ち向かったシャコ。
ハタはシャコの気迫に押されたのか諦めて退散です。
一難去ってまた一難。
手ごわい天敵が現れました。
ゴマモンガラです。
おどけたような顔に似合わずとにかく凶暴な魚なんです。
以前の放送では主人公として登場。
人間にまで襲いかかっていました。
こちらではなんとトゲのあるウニを食べています。
恐るべしゴマモンガラ!あっ!気付かれてしまいました。
危ない!何とか瞬発力でかわしました。
しかしゴマモンガラは簡単には諦めません。
絶体絶命のピンチ。
もう逃げ場がありません。
背後から襲われないよう注意して…おっと!飛びかかった。
パンチを繰り出しています。
さすがはモンハナシャコ。
いざというとき頼るのはやはりパンチなんですね。
パンチと共に生きるモンハナシャコ。
しかしそのワザを封印しなければならない時があります。
巣穴から顔を出したこちらのシャコ。
赤い粒々を抱えていますよね。
これは数万個もの卵の塊。
ふ化するまでメスが抱え守るんです。
でもこの状態ではまともなパンチは打てません。
もし天敵に見つかったら卵もろとも襲われてしまいます。
大きなハタが接近。
陰に隠れて何とかやり過ごしました。
ふ化までは1か月ほど。
メスは何も食べずなるべく動き回らないようにしながら慎重に卵を守ります。
ある日小さなモンハナシャコを見つけました。
まだ人の指先ほどしかない子どもです。
勢いよく巣穴を掘り始めました。
小さなうちはパンチも弱く特に天敵に狙われます。
身を隠す巣穴が何よりも大切です。
小さなシャコの目の前にカニが現れました。
でもなかなかパンチをしません。
巣作りに夢中で気付かないんでしょうか?あらあら石を載せてしまいました。
モンハナシャコの寿命は4年から6年。
これからパンチに磨きをかけていくことでしょう。
強烈なパンチという武器を手に入れ体の硬い獲物を攻略することに成功したモンハナシャコ。
ライバルや天敵と戦い命を守るのもまたパンチです。
拳一つに全てを懸ける。
それがモンハナシャコの生きる道なのです。
2015/03/08(日) 01:46〜02:42
NHK総合1・神戸
ダーウィンが来た!セレクション「まばたき禁止!“超早ワザ”自慢の生きものたち」[字]
これまでの「ダーウィンが来た!」から“超早ワザ”自慢の生きものをセレクト!一瞬でハトを丸飲みにするヨーロッパオオナマズと、強烈パンチで獲物を狩るモンハナシャコ。
詳細情報
番組内容
これまでの「ダーウィンが来た!」から“超早ワザ”自慢の生きものをセレクト!全長3mになるヨーロッパオオナマズ。近年、スペインなどでハトを丸飲みにする狩りが目撃されるようになった。さらにフランスでは人を襲う事件まで!謎の行動、真相とは?また、モンハナシャコは強烈なパンチで獲物を仕留める。硬い殻に覆われたカニや貝も、一撃で粉砕してしまうのだ。元ボクシング世界王者との対決も交え、驚異のパンチを徹底解明!
出演者
【出演】内藤大助,【語り】近田雄一,龍田直樹,豊嶋真千子,首藤奈知子
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 自然・動物・環境
趣味/教育 – 旅・釣り・アウトドア
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