ららら♪クラシック「ヴォルフ・フェラーリの“マドンナの宝石”」 2015.03.07


あのクラシックの名曲をあなたのものに。
人生を豊かにしてくれる一曲を一緒に見つけませんか?「ららら♪クラシック」今回は…。

(「マドンナの宝石」間奏曲)感傷的な甘〜い旋律が大人気。
実はこの曲オペラの中の一曲なんです。
作曲したのはドイツ人とイタリア人との間に生まれた…彼は祖国イタリアでの成功を夢みていました。
その願いはかなったのか…?スタジオでは心を揺さぶる旋律の魅力を美濃さんが解き明かします。
ゲストの森口博子さんは…。
今日は野望を胸に秘め名旋律を生み出した男の熱き思いに迫ります。
「ららら♪クラシック」今日はヴォルフ・フェラーリの「マドンナの宝石」をご紹介します。
皆さんもどこかで耳にした事がある名曲では…。
甘いメロディーですね。
それでは今日のお客様歌手の森口博子さんです。
(一同)よろしくお願いします。
森口さん最多出場とか。
ありがとうございます。
森口さんこのメロディーはお聴き覚えはありますか?タイトルを聞いた時は何の曲だろうって思ったんですけど今冒頭で流れてターララーラーで聴いた事あるっていうふうにやっとタイトルと曲が結び付きました。
この曲は「マドンナの宝石」というオペラの中の一曲なんですがこのオペラはどんなオペラだと思います?「マドンナ」「宝石」で…じゃあ割とストレートなお姫様物語みたいな感じですか?うん。
でも2つが一つになる事によって何かドラマがあるのかなっていう感じがしますね。
それでは「マドンナの宝石」はどんなオペラだったんでしょうか。
最初のキーワードをご覧下さい。

(「マドンナの宝石」間奏曲)「マドンナの宝石」はロマンチックでとってもムーディー。
ポピュラー音楽でもおなじみですよね。
実はこの曲男と女の愛憎劇を描いたオペラの中の一曲だって知ってましたか?早速オペラのあらすじを見てみましょう。
舞台はイタリア南部の街…鍛冶屋の男ジェナロは奔放で情熱的な義理の妹マリエラに思いを寄せていました。
しかし彼女が心惹かれていたのは…聖母祭りの日ラファエレはマリエラにこう言い寄ります。
それを聞いたジェナロは……と彼女を引き離します。
第2幕ではマドンナの宝石を盗み出してしまったジェナロがマリエラに宝石を渡します。
するとその妖しい美しさに魅せられた彼女は兄と恋人の区別がつかなくなりジェナロに体を許してしまいます。
そして第3幕。
マリエラにふられたジェナロは恋に破れた絶望と罪の深さを思い知り短剣で自らの命を絶ちます。
そんな物語だったんですね。
このオペラでは第1幕と第2幕とをつなぐ「間奏曲」が演奏されます。
それが今日の一曲…それにしてもこんなに美しい旋律がオペラの中でどんな役割を担っているんでしょうか。
次の場面だけではなくてオペラ全体の中でとても印象的なシーンとして見ている者聴いている者の耳に残るようなイメージに残るようなそんなものとして書かれる重要な役割があります。
だからこそヴォルフ・フェラーリというのは間奏曲に…間奏曲ひいては…そういうふうに思って書いたんではないかなと思っています。
男と女の愛憎劇の中で甘く切ない恋心を浮かび上がらせた間奏曲。
その名旋律がオペラにより一層の輝きを与えているのです。
いかがでしたか?ちょっと裏切られましたね。
しかも盗んだ宝石で心乱れてまた体まで許してしまうっていう何がそんなふうにスイッチが変わっちゃったのか興味深いですね。
でもやっぱり悲劇なんですね。
だからこそお客さまも一緒になって興奮して見てしまう。
でも今日のねこの取り上げる間奏曲なんですけど森口さんもお仕事で例えばコンサートとかで間奏曲のような部分というかつなぎみたいな事に思いをはせるなんて事は?ありますね。
こだわりますね。
やっぱりその前後の流れを大事にしたりとかさっきVTRでもあったみたいに次の曲を生かすために殺さないようなつなぎの曲を選んだり。
それをバンマスに作ってって言ったんですよ。
ありものではなくて。
そしたらすごくもうきれいな心洗われる曲が出来上がってあまりにもすてきだったので翌年それに私が詞をつけて発表しました。
つなぎからメインの曲に昇格する。
そうですね。
それぐらいドラマチックだったのでだからこそ次の曲もすごくすてきにバトンを渡してもらったんですけどやっぱつなぎってほんとに大事だなって思います。
美濃さんは作曲する時にそういう事考えます?というかねつなぎってほんと重要なんですよね。
その人の生き方が出るような実は…。
ほんとに?ほんとはAと例えばBという2つのメロディーをつなぐ部分って手を抜こうとすれば抜ける部分なんですよね。
つながってけばいいわけなんで…ブリッジというか。
そこに何かどれだけの思いとか個性とか生き方みたいなものが…。
なるほどね。
どうでしょう?僕もねそれは感じます。
腕が出ます。
要するに本編のストーリーとは関係のない部分なのでそのつなぎの部分というのはトーンをそろえたりきれいにつなぐだけでいいんですけどやっぱりうまい人はすごくうまいんですよね。
逆にそういうところをガツッとちゃんと書いとかないと駄目だなというのは思いますね。
エルマンノ・ヴォルフ・フェラーリはイタリアのベネチア出身。
ドイツ人の父親とイタリア人の母親との間に生まれ幼い頃からピアノを学び音楽を愛好しました。
一方で画家だった父親の才能も受け継いでいた彼は16歳の時父親に勧められるまま…しかし音楽の道を諦めきれなかったヴォルフ・フェラーリは…本格的に作曲法を学んだのです。
彼が専念したのはオペラ。
とりわけ力を注いだのが明快で親しみやすい喜劇でした。
若きヴォルフ・フェラーリの作品は第2の故郷ドイツでは成功しましたが出身国のイタリアでは全く評価が得られませんでした。
「是が非でも」…ヴォルフ・フェラーリはイタリア人が好む新しいオペラを目指して自らの作風を変えていきます。
まずはそれまで書いていた喜劇に代わって初めての悲劇に挑戦。
またイタリアの庶民の暮らしをリアルに描く物語を自ら創作。
更に印象的な間奏曲など人気のオペラによく見られた特徴をいくつも取り入れたヴォルフ・フェラーリ。
こうして生まれたのが…満を持して書き上げたこのオペラはドイツでの初演は大成功。
ドイツ国内はもとよりヨーロッパやアメリカでも上演され彼の名を世界に知らしめました。
しかし彼がこだわっていた…なぜイタリアで認められなかったのか。
その理由は彼の作曲技法にあったと言われています。
ヴォルフ・フェラーリの場合には台本のセリフのやり取りだとか……というふうに私は思っています。
しかしオペラは歌が全てではありません。
この間奏曲は異なる評価を得る事になります。
彼がイタリア人であり…祖国での成功を夢みたヴォルフ・フェラーリ。
彼の切なる思いが込められたこの間奏曲はイタリアではもちろん世界中で愛される名曲となったのです。
いかがですか?やっぱり地元で受け入れてほしいっていう気持ちって創作活動の中ではありますよね。
地元で認められたい。
どっちの国でも成功したいですよね。
友達も親戚もいっぱいいるでしょうしねイタリアでは。
場所によってというか土地柄によってコンサートなどでも反応が違うみたいな経験はあります?ありますね。
すごく最初から温度が高くてその熱量がワーッて伝わってくる所ともう出て行った瞬間にお客様も緊張されてて「楽しんでくれてるのかな?」ってドキッとしちゃうような時とかそういう時に私は参加型にするんですよ。
「私のコンサートを初めて見に来て下さった方?」と言うとパーッ!と。
「2回目の方?」パーッ!と。
「拍手好きです!もっともっと!」チャンチャンチャン…みたいな感じで。
参加型にするとお客様もちょっと心がほどけていって距離が近くなるっていう事があるのでそこは常にお客様とのエネルギーのやり取りを心掛けてますね。
地元の博多ではやっぱり熱いんですか?熱いですね〜!もう親戚から友達からファンの方々までみんな一丸となって応援してくれますね。
私もドイツでね演奏会した時に「私の曲は日本ではとても癒やしの音楽と言われて親しまれてます」みたいな事をみんなに言ったんですよ。
そしたらドイツの人が…なんかこうお散歩をしてたり外でビールを飲む事で癒やされる。
「自然で癒やされるから音楽には癒やしを求めてない」って言われた時に…ドイツの方は音楽に癒やしではなくて何を求めてるんですか?そうだね。
なんか難しい事考えてるんじゃないですか?だからその話から続けて言うとヴォルフ・フェラーリの曲がドイツで受けてイタリアで受けないっていうその理由がなんかチラリとかいま見える気もしますよね。
そういう部分がやっぱりイタリア人の人たちには少しお堅く映ったのかもしれませんね。
やっぱり土地柄によって受け入れて頂けるものとそうじゃないのって温度差があるのかもしれないですよね。
クラシックにまつわる素朴な疑問にお答えしま〜す!質問に答えて頂くのは東京フィルハーモニー交響楽団ステージマネージャーの…コントラバスみたいな…例えばハープの場合ですと専用のケースに収めて中にあるベルトでしっかり固定して更に楽器の器種によって形が微妙に違いますので必要な所に詰め物をして運んでいます。
例えば…なるほど!楽器の大きさによっていろいろな運び方があるんですね。
番組ではクラシックにまつわる疑問・質問をお待ちしています。
今日の名曲は…イタリアで生まれ育ちドイツで音楽を学んだ作曲家…祖国での成功を夢みた彼はオペラの中でひときわ輝きを放つ間奏曲を書き上げました。
続いてのコーナーでは聴く者の心を揺さぶる名旋律の魅力を美濃さんが解き明かします。
この「マドンナの宝石」間奏曲は登場人物のジェナロとマリエラの揺れ動く恋心がうまく表現されてると言われているんですね。
それをヴォルフ・フェラーリがどういうふうに表現したのかを2つのポイントで見ていきたいと思います。
まず1つ目のポイントはリズムです。
こちらをご覧下さい。
メロディーと伴奏をねこうして分かりやすくちょっと分けて書いているこれは譜面なんですけれども美しく甘い感傷的なメロディーを基本的に4分の2拍子というふうに表現して書かれているんですね。
どんなメロディーかというとこちらです。
1・21・2…。
2拍子を感じるような音楽という事ですね。
このようにメロディーは1・21・2と4分の2拍子になっているんですけれども一方の伴奏部分をもう一度ご覧頂きたいんですけれども。
3連が多いですね。
そうですね。
3つずつ手を取り合った音符たちがいるんですがこれ8分の6拍子といって1小節を6個1・2・3・4・5・6と数えていくという拍子なんですけれどもどんなふうな伴奏かというと…。
…というふうに。
1・2・3・4・5・61・2・3・4・5・6。
右手は4分の2拍子そして左手は8分の6拍子。
複数の異なるリズムが同時に演奏される事を…実際に同時に演奏するとこんなふうになります。
すごいですね。
全然違うリズムなのに違和感なく溶け合う。
なんかまるで男女…ある時はこうくっついてちょっと離れてっていうその揺れ動きがすごい出てますよね。
小節の中で時々出会うんです。
音と音がぶつかるんだけれどまたずれてるところも絶妙にずれていく感じというのがまさに揺れ動く恋心。
ではちょっとね実験です。
もしこの伴奏が8分の6拍子ではなくて4分の2拍子になったらどうなるのか伴奏を単純な和音にして弾いてみたいと思います。
いかがですか?暑苦しいです。
重いです。
ほんとに。
距離がすごく育まれて…でもこうやってリズムで揺れ動く恋心というのをこのヴォルフ・フェラーリさんは見事に描いてるという部分ですね。
さあ続いて…「短調」というのはちょっと悲しい。
全体はこの曲短調で切なく描かれているんですけれどももう一度冒頭部分を弾いてみますね。
この短調の物悲しい感じがずっと続いたあとどのように展開していくかというとこんなふうに展開していきます。
今変化したところ分かりました?メジャーな感じになったところで明るい気持ちになりました。
そうなんです。
ここの…。
パーッと日がさすような明るさ。
会えなかったけど会えそうで「やっぱりあなたが好きよ」みたいに「やっぱり」って感じがします。
長調に転調するのが「やっぱり」なんだ。
なるほど面白いですね。
このあとまたすぐ短調に戻ってしばらく続いているんですけど時々こうやって長調がさし込むというあたりもまさにこの揺れ動く恋心悲しいだけでも切ないだけでもなくて光がさす事でまた悲しみもグッと深まっていくし。
心の揺れがこれにすごく凝縮されててきますね。
身にしみるっていう感じですよね。
しみますね。
この間奏曲は…そしてこのたゆたうような8分の6拍子の伴奏型はナポリの風景を描いているとも言われているので是非このあとねそういう事もイメージしながら聴いて頂きたいと思います。
それではヴォルフ・フェラーリの歌劇「マドンナの宝石」から間奏曲をお聴き下さい。
普通だったら感動してスタンディングオベーションでワーッ!っていきたいところなんですけどこの余韻が残されてるところがこのヴォルフ・フェラーリのさすがなところだなと思います。
揺れ動く男女のくっついたり離れたりの光と影だったりとかそしてこの先は…っていうちゃんとこうつなぎ?ほんとつなぎですね。
まさに自然に今出てきたんですけどつながる感じがもう絶妙で感動しました。
よく出来てますね。
小説書いててもそうなんですけど自分で書いてて「あっ!これはピチッとはまったな」っていう時あるじゃないですか。
だからヴォルフさんもこれ書いてて「あっ!これははまった。
Dialogue:0,0:28:202015/03/07(土) 21:30〜22:00
NHKEテレ1大阪
ららら♪クラシック「ヴォルフ・フェラーリの“マドンナの宝石”」[字]

世界中で愛される名旋律を書き上げたヴォルフ・フェラーリは、ドイツ人とイタリア人との間に生まれた作曲家。祖国イタリアでの成功を夢見ていた彼の願いはかなったのか…。

詳細情報
番組内容
「マドンナの宝石」はロマンチックでムーディーなポピュラー音楽でもなじみの曲だが、実は男女の愛憎劇を描くオペラの中の間奏曲。登場人物の甘く切ない恋心を浮かび上がらせたその名旋律は、オペラにより一層の輝きを与えた。作曲者は、イタリア人とドイツ人との間に生まれたヴォルフ・フェラーリ。祖国イタリアでの成功を夢見た彼は、イタリア人が好む新しいオペラを目指して自らの作風を変えていった。その夢はかなったのか…。
出演者
【ゲスト】歌手…森口博子,【司会】石田衣良,加羽沢美濃,【出演】指揮…円光寺雅彦,管弦楽…東京フィルハーモニー交響楽団,【語り】服部伴蔵門

ジャンル :
音楽 – クラシック・オペラ
趣味/教育 – 音楽・美術・工芸
劇場/公演 – ダンス・バレエ

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音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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