森村誠一の棟居刑事 2015.03.07


(棟居弘一良)
私たちは奥多摩周遊サイクリングロードに来ていた
一子ちゃん少し休もうか。
(神林一子)まだまだ大丈夫!
(蔵方隆一郎)ルリちゃん!
(蔵方江梨香)ルリちゃん!
(重松ルリ)はーい!
(ルリ)フフフ…!おお〜待て待て〜!一子ちゃん大丈夫か?もう少し!頑張れ!はい…!はあはあはあ…!よーし!よいしょ!おお〜!あ〜行こう行こう。
(ルリ)こっちこっちこっち〜!一子ちゃん少し休もうか。
え?まだ全然大丈夫なのに…。
嘘つけ。
フラフラだったぞ。
はあはあ…!ひと休みしたら絶対負けないから。
ああこんにちは!
(棟居・一子)こんにちは!峠はもう少しですよ。
(蔵方)ああ!
(江梨香)頑張ろう!
(ルリ)うん!フフ…。
危ない!大丈夫ですか?
(蔵方)ええ…!あっあなた!薬を…!おお…。
うう…。
(江梨香)水…!大丈夫?大丈夫だ。
それより…危ないところをありがとうございました。
いえ。
まあ!私ったらお礼も言わず…。
すみません。
なんだか動転してしまって…。
お嬢さんも大丈夫でした?この2人親子だと思うでしょ?でも夫婦なの。
私たちも親子じゃないよ。
(一子)そうなの?ちょっとすいません。
(蔵方)ああ…。
(ルリ)大丈夫?
(一子)大丈夫ですか?警視庁捜査一課の棟居です。
ただいま奥多摩の倉戸山峠で歩行者をひきそうになった暴走車両を発見しました。
至急ナンバーの照会をお願いします。
はい。
車種はアウディ。
ナンバーは品川330「お」の23‐66です。
うわっ本物の刑事さん!
(ルリ)こんな時ナンバーまで覚えてるなんてかっこいい!フフ…!
2人はその個人資産600億円と言われる日本のホテル王蔵方隆一郎とその妻江梨香夫人だった

蔵方夫妻には引き留められたが私にはどうしても抜けられない会議があった
(一子)気をつけてください。
悪いねルリちゃん。
その人を頼むよ。
はーい。
お借りします!
(一子)フフフ…。
(ルリ)行こう!
(一子)うん。
こっちだよ!
(一子)元気だなあ〜。
(ルリ)ねえみんな!一子さん連れてきたよ〜!
(蔵方)一子さん…。
どうもようこそお越しくださいました。
お言葉に甘えてしまって。
(蔵方)いえいえ!ここのステーキは天下一品でねえぜひ召し上がって頂きたくて。
私お肉大好きなんです。
(蔵方)ああそれはよかった!まあどうぞ。
まだ食事には時間があるので何か飲み物でもどうぞ。
(江梨香)あなたその前に皆さんを。
(蔵方)おおそうだった。
すいません。
こちらは夕食を一緒にする事になっている仲間たちでモデルの百瀬真帆君。
よろしく。
会長の危ないところを助けてくれたんですって?もう一歩遅かったら私たちあちらへ行っちゃってたところ。
一子さんめっちゃかっこよかったよ!いや私なんか…。
真帆君の婚約者でプロゴルファーの美川光弘君。
よろしく。
一子さんその暴走車ってどんな奴が運転してたんですか?ああドライバーの顔はよく見えなかったんですけど黒のアウディでした。
(重松初音)それなんだか普通の車じゃなさそうよね。
そしてピアニストの重松初音君。
私のママママ。
ママママ…?パパはもう死んじゃったけど私はパパの連れ子だったの。
だから継ママ。
(一子)ああそれで継ママ…。
でも本当の親子より仲良しなのよね?ねー!私たちみんな仲良し!私たち奇妙な取り合わせだとお思いでしょ?実はねみんな3年前の七夕の日に偶然このプールで出会ったメンバーでしてね。
それが妙に馬が合うもんでこうしてここで毎年会う事に…。
へえ〜。
七夕会って名前つけたんだよね?隆ちゃん!そうだよな。
ハハハ…!隆ちゃん!?ええ私がそう呼ばせてるんですよ。
会長だとかじじだとか呼ばれるよりずっと若々しいもんな?ハハ…!2人は大恋愛結婚なんだよ。
(一子)ヘえ〜!そうなの〜?5年前の事ですがねおかげで私は体中花だらけになった。
私お花屋さんで働いてたんです。
仕入れたお花をお店に運んでいたらそこへたまたまこの人が通りかかって…。
(江梨香)ああっ!
(蔵方)おおっ…!ああ〜ごめんごめん!ごめんなさい!
(江梨香)ごめんなさい!すいません…!いやいやいや驚いた。
あっ服が汚れちゃった…!お恥ずかしいですがそれが私たちのなれそめでした。
いいですねえ!アハハハハ!フフフ…。
(蔵方)まあそういうわけ。
ハハハハ…。
おーい。
一子さんに飲み物を!しかし会長。
いいんですか?そんなに落ち着いていて。
その車無謀運転とも思えないでしょう?殺そうとしたんだよ!犯人は絶対に隆ちゃんか江梨香おばちゃんを狙ったんだよ!ルリちゃん。
まだわからないのに犯人だなんて…。
でも車は突然突っ込んできたんでしょ?おまけに逃走したなんてただの暴走車とは思えないよね。
もしかしたらルリちゃんを狙ったかもしれないし…。
えっ?私を?どうして?わかる人にはわかると思うけど?ちょっと真帆さん。
それどういう意味かしら?やだ〜。
私は初音さんの事を言ったつもりはないけど…。
まあまあまあまあまあ…。
真帆お客様の前だよ。
(江梨香)そうそう。
ねえあなた。
ん?今夜いつものあれ一子さんにも見て頂いたら?ああ…そうだな。
初音君頼むよ。
ええ。
はい。
(黒瀬七波)どうぞ。
あっありがとうございます。
(江梨香)うちの秘書の黒瀬七波さん。
ああ…!はじめまして…。
ちょっと変わってるの。
根はいい人なんですけどね。
(一子)いただきます。
(蔵方)どうぞ。

(ピアノ)
(ピアノ)
(ルリ)継ママけっこういけるでしょ?
(一子)うん。
本当素敵!
(ルリ)フフフ…。
本当のママは私を産んだ時死んじゃったの。
パパと継ママは私が3つの時再婚したんだけどすぐそのあとでパパも病気で死んじゃったの。
ルリちゃん強いのね。
そんな明るくいられるなんて。
うん!私には隆ちゃんがいるからね。
ハハハハ。
私隆ちゃん大好きなんだ。

(ピアノ)ルリちゃんそろそろ始めるわよ。
オッケー!よーしやるか〜!
(ピアノ)さあ〜皆様!お待ちかねの毎年恒例当ホテルのオーナー蔵方隆一郎のダイビングです!盛大な拍手でお迎えください!
(拍手)じゃああなた。
お薬用意しておきますから。
頼むよ。
ハハ〜!
(真帆)会長しっかりね!
(拍手)
(ルリ)いいぞいいぞ隆ちゃん!
(ピアノ)
(ルリ)隆ちゃん!?
(江梨香)あなた!
(真帆)会長!
(江梨香)あなた!!
(美川)会長!隆ちゃん!!隆ちゃーん…!!
(永川刑事)前例のない状況です。
ワイヤレス式のスタンガンで背中を撃たれて…。
電気ショックを起こしたようです。

(永川)普通ならそれでも亡くなる事はないんですが…。
ご主人には…?
(江梨香)心臓の持病がありました。
主治医の先生からはお薬を切らさないように言われていたのでそればかり気をつけていたんですが…。
詳しいお話はのちほど伺います。
ルリちゃんは今はどちらに…?きれいな湖だね。
うん。
隆ちゃん…ここが大好きだったの。
江梨香おばちゃんとの思い出の場所なんだって…。
来る度に…その話してた。
ルリちゃん…そろそろ行こうか。
うん!
(神林武人)あっ棟居…!こっち見てくれ!これだこれ。
植え込みの中にスタンガンの発射装置があった。
ワイヤレス式スタンガン。
ワイヤなしに電極が単体で発射されるものだ。
(永川)自分も実物見るのは初めてですよ。
引き金はリモコンで作動する仕掛けになってる。
犯人はどこかからこれを動かしたんだ。
発射体はガイシャの背中に突き刺さり垂れ下がった導線がプールの水面にアースして電流が流れて蔵方会長はそのショックで心臓まひを起こしたんだ。
しかしこいつは日本じゃ銃刀法で禁止されてます。
ホシはどうやって手に入れたんですかね?
(浜田刑事)闇サイト関連だと思いますが調べてみます。
ご主人がゆうべ飛び込む事を知っていた方は?といっても毎年の事ですから…。
私たち七夕会のことを知っている人なら…。
棟居さん。
ホトケさんの飛び込みを撮っていたカメラを借りてきました。
それ真帆さんとルリちゃんの…。
ちょっと見せてくれ。
何か写ってるかもしれん。
うん…。
別に変わったところは…。
これは奥さん…。
これは何をご覧になっているんでしょうか?さあ…。
私よく覚えてないんですけど…。
しかし奥さん…。
ご主人が撃たれる直前の事ですよ。
すいません私…。
そうだ奥さん…行ってみましょう。
こういう時は同じ場所で同じ格好をしてみたら案外思い出したりするものです。
はい。
私…プールから上がったら主人に飲ませようと思ってお薬を用意してたんです。
思い出しました!あの屋上で何か黒いものが動いた気がしたんです。
おい!あったぞ…!カンさん…。
ん!セッティング出来ました!カンさん!お願いします!わかった!スイッチ押すぞ!作動ボタン…オン!
(永川)決まりですね。
しかしホシはなぜ屋上にリモコンを残していったんでしょう?目的を達したからでしょう。
指紋さえ残さなければアシはつきませんから。
(那須亮輔)ああ〜棟居!いいとこ来た!いいとこ来た!今な奥多摩署からこんな画像を送ってきたんだ!倉戸山事件の画像なんだが近くの山荘に泊まってた客が偶然撮ったものらしい。
今見たところだがすげえな。
三島ここだけアップに出来るか?
(三島刑事)はい。
車は間違いなく蔵方を狙ってる。
ですかね?私にはルリちゃんを狙ってるように見えましたが…。
いずれにせよ車が3人の誰かを狙ってる事は確かです。
ここで失敗してそれでプールで目的を遂げたという事か…。
明日は蔵方の通夜だ。
だが故人の遺志で身内だけでひっそりと自宅でやるらしい。
(チャイム)「はい」
(一子)「あ…!お父さん!?」一子!?お前一子なのか?誰もいませんね。
あ…ごめんなさい。
ちょっと今手が離せなくて。
皆さんお庭だからそっちへ回ってもらえます?なんだ?あいつ…。
カンさん…。
おう。

(ピアノ)
(ピアノ)本日はお暑い中どうもありがとうございます。

(ピアノ)なるほど少ねえな…。
しかしカンさん…。
いくら密葬だとはいえ妙だと思いませんか?ん?本当だ…。
見たところ七夕会の連中が仕切ってるように見えるな。
一子に聞いたんだが…。
ええ。
3年前に偶然出会った関係にしては立ち入りすぎてますよね。
女は喪服姿が一番色っぽいと言うがまさにそのとおりだな。
どうぞ奥様。
こんな時に変な冗談言わないで。
不謹慎ですよ。
あんまり悲しんでいるようには見えないからさ。
それもそのはず莫大な遺産がそっくり転がり込んでくるんだからな。
酔っ払ってるんですか?真帆さんに言いつけるわよ。
逃げるなよ。
一度…ゆっくり話したいものですね。
未亡人。
こういう時はいろんな人間がいろんな事を言ってきます。
お察しします。
棟居さん…。
今の美川さんとはなんのお話を?なんでもありません。
彼ただジョークが好きなだけなんです。
お気遣いくださってありがとう。
棟居さんって…お優しいんですね。
(美川)初音さん。
お疲れさまでした。
ありがとう。
いいんですか?フィアンセだいぶ浮気性みたいだけど。
いいの。
あいつとはもう他人だから。
え…?私はもうフリーよ。
刑事さん一子ちゃんのお父さんなんですってね。
もう10年も独身だって。
若い女はお嫌い?いやいや…いやいや…。
(江梨香)ルリちゃんありがとう。
伏せろ!伏せろ!伏せろ!カンさん!クロスボウの矢か…。
どうだ?奥多摩のプールと似てますね。
違うのは今度はリモコンではなくホシが直接クロスボウを撃ってる事です。
七夕会について調べてみましたがやはり裏がありました。
裏?蔵方隆一郎江梨香夫人秘書の黒瀬七波ピアニストの重松初音義理の娘の重松ルリモデルの百瀬真帆そのフィアンセの美川光弘。
このうち重松初音と死別した夫重松高志と百瀬真帆は蔵方隆一郎が生前認知した実の子である事がわかりました。
なんだって!?つまり3年前から毎年会っていたという七夕会は蔵方夫妻と実の子と孫たちの家族会だったんです。
これが百瀬真帆とルリちゃんの戸籍謄本です。
すると…おい蔵方隆一郎の600億の遺産はもし遺言書がないとしたら未亡人の江梨香夫人が半分の300億残りの300億を娘の百瀬真帆と孫娘のルリちゃんで分ける事になるのか。
着いたわ降りて。
何?言いたい事があるならはっきり言ったら?君は俺から離れられないって事さ。
黙ってたけど先週の土曜日に区役所へ出してきた。
これはそのコピー。
何これ…。
(美川)ちゃんと君の署名捺印もある。
正式な婚姻届だよ。
だってあの時私酔ってたから…。
役所がちゃんと受理したんだ。
俺たちはもう法的にも正式な夫婦だって事。
そんな…だって…。
やめてよ!事務所へ行くんだろ。
戻ったらゆっくり話をしよう。
(ため息)
(チャイム)
(チャイム)光弘入るよ。
何よいるじゃない。
光弘?どこなの?光弘!
(真帆)あっ…キャーッ!
(パトカーのサイレン)婚姻届のコピーだ。
えっ?驚いたな…。
百瀬真帆とこの男3日前に入籍してる。
見てください。
2つの小さな痣のような痕があります。
これは恐らくスタンガンです。
スタンガン…またか?今度はワイヤレスではなくごく普通のスタンガンです。
犯人はまずスタンガンで美川を気絶させそれから頭を殴りつけて殺した。
コピーは当然美川の手から落ちたはずです。
犯人はそれを拾ってまた握らせた。
なんのために?あっ…疑いを百瀬真帆に向けるためか?カンさん。
どうした?これ。
どうした?あっ…バラの造花じゃねえか…。
おいこれは…。
江梨香夫人が通夜の時に胸につけていた造花です。
それじゃああんた事務所で打ち合わせを済ませたあとまた戻ってきて合鍵で入った。
戸籍の事があったからね。
私話し合いで片付くんならその方がいいと思って。
そんな嫌な男になんでサイン済みの婚姻届なんか渡したの?酔ってたのよ。
私って酔っ払うと昔っから全てがアバウトになっちゃって…。
美川はそれを知ってて酔わせたのよ。
彼と結婚したくない一番の理由はなんですか?そりゃあ遺産よ。
遺言書はないみたいだからパパの遺産600億として半分が江梨香夫人。
残りの300億を私とルリちゃんとで半分こ。
つまり150億。
それが結婚したらどうなると思う?あいつ金遣い荒いからさ…。
だが美川光弘は死んだ。
そう。
その点はよかったんだけど…。
やだ…まさか刑事さん私の事疑ってるんじゃないでしょうね?たった3日の間に2つの殺人と2つの殺人未遂だ。
ホシも動機もわかんねえがとっても偶然とは思えない。
(三島)係長。
ん?弔問客の一人が写真を撮っていました。
見てください。
(浜田)江梨香夫人ですがこれで見るとこのとおり白バラの造花をつけています。
ですがあのクロスボウ騒ぎのあとはこのとおり造花はなくなってます。
それを犯人が利用したという事か?しかし係長ホシが美川を殺した動機はなんでしょうね?百瀬真帆を殺すんならまだわかりますが美川を殺したってなんの得にもなりませんよ。
待ってください。
これは…?
(浜田)拡大します。
一子やルリちゃんが働いてるだけだ。
どうした?いやその後ろです。
この美川の手…。
(浜田)拡大します。
あっ誰かの手握ってるぞ。
本当だ。
この袖…。
だ…誰だ?黒い袖の女。
通夜ですから袖は大体黒ですよ。
カンさん見てください。
重松初音?美川は初音ともデキてたって事か!?ご苦労さまです。
何事もありません。
こちらです。
・すいません。
あっおはよう!
(ルリ)棟居さん私に用なの?いやちょっとママにお話があってね。
棟居さん!?一子…!?一子ちゃん!?お父さん…。
初音さんが今日は中目黒でどうしても外せない慈善リサイタルがあるからって。
泊まったのか?
(一子)うん。
私が頼んだの。
一子さん絵も教えてくれたんだよ。
ねー。
(ルリ)ほら。

(ピアノ)
(ピアノ)
(ピアノ)
(拍手)それで私に何を?単刀直入にお伺いします。
あなたは美川光弘さんとはどういう関係でした?
(初音)ああ…これ?彼誰にでもちょっかい出すのよ。
特に最近は真帆さんとうまくいってなかったみたいだったから。
その事とこれはなんか関係あるんですか?
(初音)遺産が欲しかったんじゃない?もし真帆さんに振られた時の保険。
あっほら私は一応独身でルリちゃんの継ママだから。
はっきり言うねあんた。
念のため伺いますが昨夜の9時はどちらにいらっしゃいました?うちよ。
今日のリサイタルに備えてピアノのレッスン。
最後の仕上げをね。
もしなんだったらゆうべうちに泊まっていた一子さんにでもルリちゃんにでも聞いてみたら?
(江梨香)まあ棟居さん…。
お忙しいところ恐れ入ります。
(江梨香)事件の事で何か新しくわかった事でも?あっどうぞ。
いえそれはまだなんですが…。
実はこの事で…。
この時の白いバラのアクセサリーなんですが…。
(江梨香)ああこれ…いつの間にかなくしてしまったみたいなんです。
あとで七波さんと一緒に見て回ったんですがどこにも…。
はいそれは本当です。
(江梨香)でもそれが何か?いえ参考までに伺っただけです。
もう一つゆうべはどちらに?私はゆうべはとても疲れてしまっていたので8時過ぎに七波さんに寝酒を作って頂いて床につきました。
それも本当です。
時間は8時7分でした。
そのあとあなたは?アリバイ調べね。
私は自分の部屋でお通夜の名簿をチェックしたりお香典を計算したり…。
美川さんが殺された9時20分にはもうベッドに入っていました。
ちょっと待て。
あんたなぜその時間知ってる?美川の殺された時間はまだマスコミだって知らんはずだよ。
・私が言ったのよ。
真帆さん…。
いつこちらへ?ゆうべあれからすぐよ。
だってあんな事があったあと一人じゃ怖くていられないでしょ。
ああ〜棟居!あっご苦労さまです。
お疲れさまです。
(永川)例のワイヤレス式のスタンガン入手経路がわかりました。
というと?
(永川)闇サイトに6月29日15時23分の記録が残ってました。
しかしこの書き込みがネットカフェからなもんで。
しかしネットカフェでも今使用者のIDをチェックするようになったのでは?ええ。
(浦辺刑事)それが川崎の小さな店で色々とルーズでして。
ただ店内の防犯カメラからそれらしい3人に絞る事が出来ました。
(町田)その人物は同じネットカフェから他に普通のスタンガンとクロスボウの購入も交渉しています。
3点セットか…。
間違いねえな。
(浦辺)ですがその3人のうちの誰なのかこれ以上絞りようがないんで参ってます。
おっちょっ…ちょっと待て…。
うちもつかんでる映像があるんですよ。
おい。
(三島)はい。
(三島)昨夜の美川殺しですがマンションの防犯カメラからそれらしい人物を割り出しました。
(永川)こいつだ…この女ですよ!ちょっと代わってくれ。
はい。
カンさん…これ覚えてないですか?この女の襟元。
あっ水玉模様…。
係長これ重松初音のスカーフと同じですよ。
初音?ルリちゃんが気になります。
カンさん行きましょう。
おい一子はどうした?
(中川刑事)一子さんならどうしても外せない講義があるからって。
夕方までには戻るそうです。
ルリちゃんは?ルリちゃんはどこ行った?
(西口刑事)犬の散歩です。
自分らもついてくって言ったんですが「子供じゃないよ」って笑われてしまって…。
ルリちゃん!あっ先輩。
いつもの棟居さんじゃないみたいですね。
知らないのか?あの人は十何年か前に奥さんと5歳の娘さんを殺されてるんだよ。
だからじゃないのか。
どっちだ?ピピ走って!もっと走って!こっちこっち!もっと走って!こっちこっち!
(ルリ)こっちこっち!ピピ走って!もっと走って!ピピ走って!もっと走って!ピピ!ルリちゃん!おいどっち行ったのかわかんないのか?
(西口)すいません。
こっち行った事は確かなんですが。
あっ棟居さん…。
ルリちゃんを捜してるんです。
犬の散歩に出かけたらしいんですけど。
それなら心配いりません。
いつものコースですからすぐ戻ります。
いつものコースというのは?
(犬の吠える声)あら?ピピ?
(吠える声)ピピ!ねえルリちゃんは?どうしたの?カンさん。
ルリー!
(吠える声)ルリちゃん!
(初音)ルリ!おい救急車!はい!
(初音)ルリ!ルリちゃん…ルリちゃん!ルリちゃん!一子ちゃん…。
(一子)ルリちゃん…。
ルリちゃんどうなの?頭と胸を打ってる。
医者の話ではあまり楽観出来ないと…。
ああ…。
一子ちゃん…ルリちゃんは大丈夫だ。
絶対大丈夫だ。
大丈夫だ…。
一子ここを頼んでいいか?もちろん。
お願いします。
この子一子さんの事が大好きなんです。
すみませんが私は今夜中野でリサイタルがありますので…。
こんな時についててあげないんですか?あなた母親ですよ!ああ…申し訳ありません。
私が支援している200人の交通遺児を裏切る事は出来ないんです。
お願いします。
終わり次第すぐに戻りますから。

(三島)係長!ルリちゃんのスマホの映像です。
最後に犬の動画が残されていました。
(ルリ)「こっちこっち!」「ピピ!」
(浜田)品川330「お」の23‐66。
奥多摩でルリちゃんたちを狙った同じ車です。
この時間の彼女たちのアリバイは?それが江梨香夫人百瀬真帆黒瀬七波はっきりしたアリバイのある者は誰もいません。
プラス重松初音だな。
おい初音は違うだろ。
仮にもルリちゃんの母親だぞ。
それに…君たち初音が車で帰ってくるの確認してるだろ。
ルリちゃんを撥ねたあとどっかで車を乗り換えてくる事は出来ます。
仮にルリちゃんにもしもの事があったらルリちゃんの遺産は全て親権を持ってる初音にいきますからね。
しかしカンさんもし初音が犯人だとしてこんなわかりやすいミス犯しますかね?この犯人は周到で陰険です。
事件ごとに色んな手掛かりを残してますがそこには計算された作為を感じます。
初音には水玉のスカーフが真帆には婚姻届が江梨香夫人には白いバラのアクセサリ−があります。
あまりにも証拠を残しすぎてる気が…。
つまり何もないのは黒瀬七波だけって事か…。
うん…遺産の分配がないのも七波だけだな。
動機は遺産以外にあるのかもしれません。

(町田)永川警部!おうどうした?黒い帽子の謎の女が川崎のネットカフェに出入りしていた6月29日15時ですが各自のアリバイがわかりました。
でどうだった?まず江梨香夫人ですがこの日は夫婦揃って品川の音楽会へ行っています。
(町田)百瀬真帆は横浜のホテルでファッションショー。
重松初音は大田区大森の養護ホームへ演奏会に行ってます。
ネットカフェはどこにあんだ?川崎のここになります。
近いなぁ。
品川に横浜に大森…。
その気になればどっからもひとっ飛びだ。
で黒瀬七波のアリバイは?
(浦辺)車で夫妻を音楽ホールへ送り迎えした事は確かなんですが…。
(町田)七波自身は音楽ホールの近くに車を止めて待機したと言っていますがまだ裏は取れていません。
いや限りなくクロに近えなぁ…。
アリバイ関係だけに絞って事件を最初から見てみましょう。
まず6月29日のネットカフェです。
江梨香夫人真帆初音については一応アリバイはありますが途中抜け出した可能性もあるとして三角とします。
七波だけは本人の言葉しかないのでバツとします。
そして第1の事件。
7月7日倉戸山峠で蔵方隆一郎江梨香夫人ルリちゃんの3人が襲われます。
3人を襲った車は誰が運転してたのかわかんねえんだが真帆初音七波の3人にはアリバイがない。
第2の事件。
7月7日プールで蔵方隆一郎がワイヤレス式スタンガンで殺されます。
蔵方が撃たれた時江梨香と初音が現場にいた事は写真が証明してる。
写真を撮っていたルリちゃんと真帆もその場にいた。
はっきりしないのは七波だけだ。
その翌々日の7月9日。
江梨香夫人とルリちゃんがクロスボウで狙われた第3の事件です。
矢が発射された時全員庭にいたと言っているが確証はない。
第4の事件。
同日夜美川光弘が殺されます。
第一発見者は百瀬真帆だがこれも自作自演の可能性がある。
江梨香夫人と七波は自分の部屋にいたと言っているがこれも本人の言葉しかない。
初音もピアノのレッスンをしたと言っているがこれも音だけじゃアリバイとは言えん。
そして第5の事件。
7月10日ルリちゃんが黒い車に撥ねられます。
これは倉戸山峠と同じ車ですが同じ人間が運転していたかどうかはわかりません。
この時間はっきりしたアリバイのある者はいなかった。
なんだよ…こうやって見ると黒瀬七波さんが真っ黒じゃないか。
七波だとするとこれ動機が見えませんね。
遺産問題の他に何か動機が隠されていないか…。
やはり調べてみる必要がありそうですね。
(電話)はい那須だ。
うん…わかった。
ご苦労さんうん。
急展開だぜ。
ルリちゃん撥ねた黒い車が現場近くで発見された。
(サイレン)
(シャッター音)どうですか?車内はきれいに掃除してあるようですね。
(鑑識)指紋も拭き取ってある。
これは?
(鑑識)そこにもう一台の車が止めてあったようです。
もう一台?
(鑑識)はい。
クソ…!ここはルリちゃんを撥ねたすぐ近くだ。
ホシは5分後にはもう逃げてるな。
この花キンミズヒキか?はいそうです。
キンミズヒキです。
メジャーくれ。
はい。
棟居どうした?27センチか…。
恐らくこれは犯人が逃走車に乗り換える時ドアで挟み込んだ高さです。
27センチといえば…車高が低い真帆のスポーツカーではなくずっと車高が高くなる初音の4WDでもありません。
っていう事はお前…。
行きましょうカンさん答えが見つかるかも知れません。
棟居さん…!七波さんにこちらだと伺ったんで。
今埋葬を済ませて神父様には帰って頂いたところです。
よろしいですか?どうぞ。
(江梨香)主人が生前から用意していたんです。
「もういつ死んでもいい歳だから」って。
本当にそうなっちゃった…。
ここには私の両親も眠っているんです。
田舎の小さなお墓に入ってたんですけど「元々東京の人だから帰ってきたいだろう」って主人が言ってくれて…。
父は秋に死んだ。
母は次の年の春に…。
だから秋と春は毎年主人と2人でここへ来てたの。
いい思い出…。
これからは夏にも来なくちゃ!それで…お参りに来てくれたわけじゃないんでしょう?実は車を見せて頂きたくて。
車を?お宅にあったご主人の車とあなたの車は見せて頂きました。
こちらには七波さんの車で来られたとか…。
ええ私の車エンジンの調子が悪かったので七波さんのを借りてきました。
(江梨香)これよ。
七波さんの車。
すみません。
開けて頂けますか?はい。
(解錠音)どうぞ。
カンさん…ありました。
キンミズヒキです。
ああ…。
この車運転していたのあんただね。
あんたの車だ。
これをここへ止めてこっちの車に乗り換えてルリちゃんを襲った。
(ルリ)こっち!とぼけたって駄目だ!お前さんが昨日この車で外出した事はわかってるんだよ!車が乗り捨てられていた空き地にキンミズヒキという雑草が生えています。
この草は高さ27センチのところで切断されていました。
あなたの車のドアと椅子の隙間に同じ花が落ちていた。
調べたらこの花と空き地の花のDNAは一致しました。
どうなんだ?七波この車でルリちゃんを撥ねたのはお前なんだろう!?違う…!何が違うんだ?私は誰も撥ねてない!
(蹴る音)じゃあ誰が撥ねたんだよ!?こうしている今もルリちゃんは生死の境目をさまよっている。
この事を考えた事がありますか?交通事故は嫌いなの。
子供を不幸にするから。
だから私は誰も撥ねない!聞き方を変えましょう。
昨日はどちらに?だからずっと言ってるでしょう。
図書館だって…。
その図書館を調べてみました。
だが図書館の駐車場にあなたの車の記録はなかった。
本当はどこへ行ってたんです?私は本当に撥ねてない…。
交通事故は嫌いなの!では本当の事を言いたまえ。
言いなさい。
本当はどこへ行ってたの?本当は…どこへ?ここからルリちゃんの現場までは10分ってとこか。
問題は七波が誰を見舞っていたかです。
外国みたいだなあ。
(有村たみ子)お待たせしました。
院長の有村です。
何か黒瀬七波さんの事で?では黒瀬七波さんは本当に…。
ええ七波さんは週に1度以上は必ずいらっしゃってますよ。
本当にお母様思いの娘さんで。
お母様思い?母親が入院しているんですか?ええ…。
あっほら!あそこに白い日傘を差した…。
(たみ子)あの日傘も七波さんのプレゼントなんですよ。
もう20年になりますか…。
ひどい交通事故で七波さんのお父様は即死。
幸いお母様は助かったのですが…。
じゃあ黒瀬七波が言ったとおりだったのか…。
七波が言っている事は本当だと思います。
車は駐車場へ置いて母親の部屋で3時間ほど過ごしていたと。
ああ…。
じゃあその3時間の間に誰かが七波の車を使ったんだ。
または本人が使ったかです。
介護士の一人が七波の車が駐車場を出て30分ほどで戻ってくるのを見てるんです。
私は七波本人だと思うんですがね。
母親はなんて言ってる?それが認知症が始まってるようで要領を得ないんですわ。
うーん…。
まあとにかくどっちにしても七波は母親に会ってた。
はあ…うちに帰しておいて正解だったな。
しかし七波はなぜ母親の事を隠していたんでしょう?ん?週に1度以上見舞っている。
どちらかといえば美談です。
それをなぜ…?あの見るからに高そうな施設も気になるよな。
月100万以上って書いてあるぞ。
100万か…。
20年前の交通事故で名前は黒瀬。
被害者の会社員夫は死亡妻は重傷…。
ありました。
ん?おっ!あったか!「豪雨の中のスリップ事故」です。
「被害者の会社員黒瀬一男さん45歳は即死」「妻やよいさん43歳は重傷」「幸い同乗していた長女七波さん7歳だけは奇跡的に無事だった…」カンさん。
ん?加害者の名前…。
「蔵方隆一郎」!?七波の両親を撥ねたのは蔵方隆一郎。
動機はこれだったのか…!
(雷鳴)
(衝突音)
(雷鳴)
(電話)はい蔵方でございます。
黒瀬七波さんにもう少し…。
「お話を伺いたい事が出てきたんですよ」うちの棟居と神林がそちらに向かっております。
ですから…七波さんにそちらで待機頂くようお伝え願えませんでしょうか?夜分に申し訳ありません。
(江梨香)お話は伺いました。
七波さんには2階で待ってもらっています。
こちらです。
(江梨香)隠していたわけじゃないんですがあのクリニックの費用は全額主人が…。
月100万以上も20年間ずっとですか…。
はい。
主人はあの事故は全面的に自分の責任だからって。
七波さんが大学を出るまでの学費とその他の面倒まで見て卒業と同時にうちの住み込みの秘書に。
ご主人に対して黒瀬さんはどんな感情を?さあ?少なくとも恨んでいるような事はないと思いますが…。
なかなか本心を見せてくれない人で…。
こちらです。
(ノック)七波さん…七波さん?
(ノック)七波さん開けるわよ?鍵がかかってます…。
代わりましょうか。
はい。
七波さん!七波!おい開けるんだ。
私合鍵取ってきます。
(ノック)おい七波!七波さん…。
開けるんだ!七波さん!七波!
(解錠音)
(江梨香)開きました。
(雷鳴)・
(エンジン音)しまった!すぐ非常線を張ったんだがな七波の行方はいまだにつかめてない。
ナンバーを手配して主要幹線は押さえてあります。
必ずどこかでつかまるはずです。
それでな奥多摩署から新しい情報が入ってきた。
奥多摩の倉戸山峠の事件ですが周辺の駐車場をしらみ潰しに洗わせたところ現場から1キロばかり南の工事現場の駐車場の防犯カメラにこんな映像が見つかりました。
おい出せ。
はい。
(町田)まず7月7日事件の20分前。
14時10分のカメラです。
あの車はじゃあ無人か?七波だ。
やっぱり七波だったのか。

(浦辺)倉戸山峠で蔵方夫妻とルリちゃんの3人が襲われたのは14時36分でした。
その20分後14時56分に黒い車は帰ってきます。
この黒い車は誰が運転してきたんですか?
(町田)それも七波です。
(町田)前日の夜21時過ぎに七波がここに車を置いて帰っています。

(町田)そして翌日の19時過ぎこの車を引きあげています。
文句のつけようがねえな。
完璧にクロだ。
しかし黒瀬七波はなぜ顔を隠さないんでしょう?あん?この2か所では顔を隠しています。
でも駐車場ではなぜ顔を隠さないんでしょう?それは…。
まさかこんなところにまで監視カメラがあるなんて思わなかったんだな。
だから無防備だったんだよ。
だよ!
(携帯電話)はい。
もしもし?蔵方江梨香です。
お忙しいところすみません。
実はちょっと気になる事が…。
こちらです。
お部屋の掃除をしていたら鍵が1つなくなっている事に気がついたんです。
こちらです。
これはどこの鍵なんですか?麻布のマンションのものなんですが会社の近くという事で以前は主人が書斎として調べものをしたり仮眠を取るのに使っていました。
そこへ七波さんが行っているのではないかと?七波さん主人の使いで書類を取りに行ったりしてましたから。
彼女身寄りはお母さんだけですので他に行くところはないはずなんです。
そこだ。
棟居行ってみよう。
やっぱり来てたんです!
(チャイム)
(ノック)七波さん私よ!入ってみましょう。
はい。
(江梨香)七波さん?えっ…?七波さん!いないの?いないのか…。
この部屋は?変ね…。
いつの間に鍵なんか…。

(物音)真帆さん!何?何かあったの?何って…そっちこそ何しに来たんだ?私は部屋が手狭になっちゃったから半年前からパパの許可取ってここを衣装部屋として借りてるのよ。
衣装部屋?そう。
はあ…。
ねえ下に七波さんの車止まってたけど今日なんなの?
(拳を叩きつける音)クッソ…!
(パトカーのサイレン)
(カメラのシャッター音)なるほどな…。
死んだのはどうやら昨日の夜10時から11時の間らしいな。
という事は追い詰められて観念したんですかね?その見方をしたら一番喜ぶのは真犯人でしょうね。
棟居これが殺しだっていう証拠でもあるのか?いえ…。
カンさん。
ん?どうした?棟居。
見てください。
まあ指紋その他は出なかったがこの2点が犯行に使われたものである事は間違いない。
しかし気になるのはなぜわざわざ発見されやすい場所に置いてあったかです。
自白だよ。
追い詰められて七波は観念したんだ。
親の敵は討った。
全ては終わった。
だから証拠の帽子とスタンガンを残して首を吊ったんだ。
妙ですね…。
親の敵を討つのが目的なら蔵方を殺した時点で目的は果たされているはずですよ。
ルリちゃんを狙ったり美川を殺したりするのはおかしくありませんか?ん…?ちょっと待って…つまり棟居は七波は犯人の罪を着せられた上に殺されたと言っているのか?七波の全てがシロだとは言いません。
倉戸山峠の事件もあの映像がある限りクロでしょうしプールの蔵方殺しもアリバイがありません。
でもルリちゃんを襲ったのだけはどうしても七波だとは思えないんです。
だけどお前ちゃんと証拠の帽子とスタンガン…。
あまりにも証拠が揃いすぎてます。
要するにだ…。
犯人はもう一人隠れていると。
ええ。
おお棟居!まだいたのか。
ええ。
この車を運転しているのが七波だとしたら…ちょっと気になって見直してみたんですが…。
なんか見つけたか?よく見てください。
ん?ちょっと待てよこれ…。
君らが飛び出す前に車スピード落ちてないか?そうなんです。
よくよく見てみると僕らが飛び出す前に車は一瞬ブレーキを踏んで躊躇しているように見えるんです。
うん…。
それどういう事だ?理由はわかりませんがこの時七波には3人をどうにかするつもりはなかったんではないでしょうか?私は本当に撥ねてない…。
交通事故は嫌いなの!棟居!えらい事がわかったぞ〜!カンさんどうしました?七波のおふくろさんのあの施設だがルリちゃんの事件の日に…。
取材を受けてるんだ。
これがどうしたんだよ?時計の横の窓を見てください。
ん?七波です…!え?時計は3時21分。
3時21分…。
ルリちゃんが撥ねられた時間です!じゃあ七波にはルリちゃんの時のアリバイがあったって事か。
(三島)係長!おお。
鑑識の方でこれまでの写真を再分析していたんですが意外な事実が…。
何が出た?これです。
なんだよ?この写真ならもう見てるぞ。
いえ後ろの窓ガラスを見てください。
(三島)拡大します。
ん?七波…!七波にはプールの時もアリバイがあった…。
え…?どういう事だ。
棟居これどういう事だ?考えてきます。
《七波には蔵方の時もアリバイがあった》《わからない…》《ではあの屋上からリモコンを操作したのは誰なのか?》《本ボシは部外者だったのか?》棟居さん…。
ルリちゃんどんなかなと思って。
うん…一生懸命頑張ってます。
どうぞ。
ありがとう。
なんか大変そうですね…。
ごめんなさい…余計な事を。
いいんだ。
本当は急に一子ちゃんの顔が見たくなってね。
お茶入れますね。
これ…。
あっそれここの備え付けでこれは初音さんが同じものを持って来てくださったんです。
だから初音さんので。
一子ちゃん…!おかげでとんでもない思い違いをしていた事に気づいたよ。
ありがとう。
全ての謎が解けました。
(真帆)えっすごい!やったじゃん。
それは犯人がわかったという事かしら?そのために皆さんにお集まり頂きました。
それは…私たちの中に犯人がいるという事ですか?はい。
順を追って説明します。
まず6月29日犯人は川崎のネットカフェに現れ闇サイトを通じて凶器のワイヤレス式スタンガンとクロスボウ普通のスタンガンを手に入れています。
これがその時の犯人です。
そして翌週の7月7日奥多摩の倉戸山峠で黒い車にルリちゃんたち3人が襲われます。
その夜犯人はホテルのプールでリモコンを使ってワイヤレス式スタンガンを発射し蔵方さんを殺害します。
(棟居の声)そのリモコンはホテルの屋上から発見されました。
この時ルリちゃんと真帆さんが撮った写真がこれです。
2日後の7月9日通夜では江梨香夫人とルリちゃんがクロスボウで狙われます。
凶器は離れた茂みの中に残されていました。
この時はリモコンではなく犯人が直に引き金を引いています。
この日複数の弔問客が撮った写真がこれです。
江梨香夫人はこの時胸につけていた白いバラの造花を無くしています。
この造花はのちに意外な形で我々の目に触れる事になります。
その夜次の事件が起こります。
美川光弘さんがスタンガンで襲われ鈍器で殴り殺されるっていう事件です。
この時犯人はこういう格好で出入りしています。
アップにすると…女。
女はこういうスカーフをしていました。
あっ初音さんのだ!やめてよ!こんなスカーフどこにでもあるよ。
これが殺人現場です。
死体の第一発見者は真帆さん。
現場には白いバラの造花が落ちていました。
おっと…今の言い方ちょっと引っかかるけどね。
それよりそっちの白バラの方が気にならない?あら初音さんご自分のスカーフの事は棚に上げてそれ私に言ってるの?まあまあ皆さんお静かに。
その翌日の7月10日ルリちゃんが倉戸山峠と同じ車に襲われます。
この車はのちに近くの空き地に乗り捨てられているのが発見されて逃走用には黒瀬七波の車が使われたとみられています。
なんだ。
だったら七波さんがやったんじゃない。
ところが黒瀬七波にはこの時間のアリバイがあった。
このとおり養護ホームで母親の相手をしていたんだよ。
その間に何者かが彼女の車を使ってこの空き地まで行き黒い車に乗り換えてルリちゃんを襲った。
犯人は黒瀬七波がいつも母親の部屋で何時間も過ごす事を知っていた。
だからわざわざ彼女の車を使って罪を着せようとしてたんです。
そして最後にその黒瀬七波本人の事件です。
あら?あれは自殺じゃなかったの?誰も自殺だとは言っていません。
初音さんは誰から自殺だと?
(真帆)私が言ったのよ。
だって首を吊ってたんだもん。
問題を整理します。
黒瀬七波の自殺が犯人の偽装だとすると黒い帽子とスタンガンは当然犯人が置いたという事になります。
犯人は自分の犯行を彼女に被せようとした。
…という事はこの女とこの女は七波ではない事になります。
一方七波が実際にやった事もわかっています。
倉戸山峠の黒い車これは彼女でした。
そして通夜のクロスボウも彼女がやったと我々は見ています。
しかし結果的にどちらも人に危害は加えていません。
ちなみに黒瀬七波は過去にクロスボウの県大会で3位になった腕前を持っていました。
では残る3つ。
プールで蔵方氏を殺害しこの格好で美川光弘さんを殺し黒い車でルリちゃんを撥ねた犯人は誰か?待って。
プールの時屋上からリモコンで会長を撃ったのは七波さんなんでしょう?だってその写真に写っているとおり私たちにはアリバイがあるんだから。
ところがこの中に七波さんも写っていたのです。
えっ?どこにさ?ここです。
この写真のこの部分を拡大したものがこちらになります。
それじゃあ屋上からリモコンで主人を殺したのは誰なんですか?
(初音)棟居さんは私たちの中に犯人がいるって言いましたよね?いないじゃない。
一体誰が犯人なのよ!?そこが今回の事件の最大のトリックでした。
屋上にはリモコンが残されていました。
このリモコンで実際に試してみるとワイヤレス式スタンガンは確かに発射されました。
しかしここに盲点があったのです。
同じものが秋葉原でいくらでも手に入ります。
犯人は同じリモコンを用意してその1つをあらかじめあの屋上へ捨てておいたのです。
じゃあ犯人はどこから?その前に我々があの屋上になぜ注目したのか思い出してください。
これです。
あの屋上で何か黒いものが動いた気がしたんです。
屋上で何かが動いた…。
江梨香夫人のそのひと言から全ては始まったのです。
フッ…変な言いがかりね。
リモコンのスイッチを入れたのが私だって言うの?この私がどうやったらリモコンなんかいじれるんですか?この時です。
初音さんはピアノを弾いています。
真帆さんはカメラを構えている。
七波さんは拍手をしています。
しかし夫人あなたは…。
この時あなたはリモコンのボタンを押したのです。
疑われないようにするためあなたはさまざまな工作をした。
倉戸山峠では七波さんと示し合わせて3人一緒に襲われているように見せかけ通夜の席ではわざと当たらないよう七波さんにクロスボウを撃たせた。
美川さんの時にはわざと初音さんと同じ水玉のスカーフが見えるようにカメラに映り美川さんに真帆さんの婚姻届をわざと握らせわざわざ自分のバラのアクセサリーを現場に残した。
これは通夜の時にわざと自分で隠しておいたものです。
また黒い車でルリちゃんを撥ねた時は空き地でわざとキンミズヒキを七波さんの車のドアに挟み込んで証拠を残しあとで掃除されないように自分の車が故障した事にして翌日も七波さんの車を借りて墓地へ行った。
念のため調べてみましたがあなたの車のエンジンには何も異常はありませんでした。
もういいわ。
さあ行きましょうか…棟居さん。
ルリちゃんと同じ7歳まで私は幸せな女の子でした。
父は小さいながらも電器部品の町工場を経営し母は自宅で塾を開いて家計を助けていました。
夏休みには毎年親子3人で海に行ったりして…。
お父さんの渡辺進さんはワタシン電工お母さんのミチルさんは青い鳥塾という塾を開いていました。
調べさせて頂きました。
お父さんの工場ワタシン電工は当時絶頂期だったホテル王蔵方隆一郎の地上げにあって倒産に追い込まれていますね。
その1か月後お父さんは多くの負債を残して…。
首吊り自殺。
お母さんは必死に家計を支えるが翌年過労で倒れて帰らぬ人となった。
(江梨香の声)あの時の父と母の姿は私は一生忘れない。
あなたは18歳まで施設で育てられ電器関係の工場を転々としてさんざん苦労した…。
これが蔵方隆一郎殺害の動機なのかね?そこまでわかってるんだったら聞く事ないじゃない。
美川光弘さんを殺したのは?あいつ私のバスケットの中のリモコンを見ちゃったの。
(江梨香の声)黙っててやる代わりに言う事聞けって言い寄ってきたから…。
あなたはルリちゃんにまで手にかけようとした。
あんなに君を慕ってるルリちゃんを…なぜ?どうしようもなかった…。
(江梨香の声)ああするしかなかった…。
私見られちゃったの…。
ルリちゃん…!江梨香おばちゃんリモコンなんかどうして捨てたの?あっこれね…隆ちゃんがいつも使ってたものだから…。
ふ〜ん。
思い出すのがつらいんだね。
(江梨香の声)でもリモコンがもう1つあったという事がいつかあの子の口から漏れる…。
そう思ったら恐ろしくなって…。
でもルリちゃん死ななくてよかった…。
本当に死ななくてよかった…。
黒瀬七波さんはどうやって巻き込んだんですか?七波さんも蔵方の犠牲者だという事は本人の口から聞いていました。
言葉の端々に蔵方に対する恨みがまだ残っている事が感じられたから…親の仇をとろうって持ちかけてみたの。
仇は討ちたい…でも殺したくはない。
わかった。
じゃああなたは2つの事だけ手伝って。
2つの事?そう倉戸山峠とクロスボウ。
あとは全部私がやるから。
でも実際蔵方が死んでからは七波さんすごく悩み始めて…。
(江梨香の声)クロスボウまではなんとかやらせたんだけど…。
(七波)ねえ…。
もう手を引かせて。
邪魔はしない。
絶対誰にも言わないから。
わかった…抜けていいよ。
その代わり絶対に秘密だよ。
(江梨香の声)でも彼女あの様子ではいつか警察へ本当の事を…。
そう思ったらいてもたってもいられなくなって…。
(七波の苦しむ声)そんな顔しないで。
話はおしまい。
私ね大好きだった両親の復讐をするために蔵方と結婚したの。
いつもそばにいていつでも狙えるように…。
それから5年一緒に暮らしてみたらあの人のいいところがいっぱい見えてきてどんどん好きになりそうで怖かった…。
そんな時彼がみんなの前でこう言ったの。
(蔵方)実はね私にはお前たちの他にも色んな女に産ませた子供が何人もいるんだ。
今人を使って捜している。
もう先は短い。
私はどんどん認知するつもりだよ。
(蔵方)七夕会もこれからはにぎやかになるぞ。
(蔵方の笑い声)
(江梨香の声)それを聞いた時もうやるしかないと思った。
私の両親を死に追いやった蔵方はやっぱりひどい男だったんだと思い直して。
どう?あきれたでしょ。
悪魔のような女って私の事よね。
知ってる?悪魔は夜空にかかる虹の上を歩いて帰っていくんですってよ。
強がっているんだね。
えっ?君は今後悔してる。
だからそんな言い方をして無理に悪ぶってみせているんだ。
フッよしてよ。
どこにそんな証拠が…。
江梨香さんもし蔵方さんが今のあなたを見たらどんなふうに感じると思いますか?棟居さんあなたも随分ロマンチストね。
死人に口なし。
死者は語らず消え去るのみよ。
何?2人とも何?さっきの蔵方さんの言葉本気で言ったんだと本当に思ってますか?えっ?蔵方さんの言葉なら今聞く事が出来ます。
フッご冗談を…。
これです。
これは生前蔵方さんがルリちゃんに自分に何かあった時は江梨香おばちゃんに渡してくれと言って渡してあったものだそうです。
ルリちゃんから預かってきました。
「やあ江梨香」「君がこれを見る頃には私はもういないだろう」「それにつけても思い出すのは5年前の事だ」「君は山ほどの花を抱えて私にぶつかってきた」「あれはお芝居だったんだろう?」「君は私に接近するためにわざとあんな小芝居を打った」「いや私だってあの時は本当に運命の人だと思ったさ」「だが用心深い性格でね君の事を調べてみたんだ」「君はワタシン電工の渡辺進さんと青い鳥塾のミチル先生との間に生まれた一人娘だった」「だから私にはすぐにわかったよ」「君は両親の復讐をするために私と結婚するつもりだなとね」だったらなぜ…。
「まあそれでも私は結婚した」「君の事が大好きだったからさ」「江梨香月並みな言い方だが君は世界中で一番素敵な女だ」「仮に君が私に何をしようと私の気持ちは変わらないよ」「思えば私は多くの人を幸せにしたがそれよりも多くの人を不幸にしてきた」「君に罰せられるのなら喜んで受けるよ」「私は君の全てを許す」「だから君にもこれで許してほしい…」「さようなら江梨香」
(泣き声)
(江梨香の泣き声)
(ルリ)うわあ!いい気持ち!
(一子)本当だね!ルリちゃんよくなってよかったね。
(ルリ)うん。
私一子さんや棟居さんとこんなふうに来れるなんて思ってもみなかった。
ルリちゃんあの松の木まで競走しようか?
(ルリ)よし!負けないぞ!手加減しないよ?
(ルリ)わあ!きれい!よし行こうか!
(ルリ)うん!早く!早く!
(一子)負けないぞ〜!
(一子・ルリ)よいしょ。
(一子)用意…。
(ルリ)用意…。
(一子)ドン!
(ルリ)ドン!
(一子)行け行け!
(ルリ)よいしょ…。
(一子)よいしょ!よいしょ!
(一子)気をつけて気をつけて。
2015/03/07(土) 12:00〜13:55
ABCテレビ1
森村誠一の棟居刑事[再][字]

ホテル王は二度死ぬ!?疑惑の男女6人全員に鉄壁のアリバイが…!?棟居刑事の夜の虹

詳細情報
◇番組内容
東山紀之主演の人気シリーズ第7弾!!ホテル王が遠隔操作で殺された!連続殺人の謎に棟居(むねすえ)刑事が迫る!人気子役・本田望結が本シリーズ史上最年少のメインゲストとして登場!
◇出演者
東山紀之、原史奈、貫地谷しほり、竜雷太、原幹恵、三浦理恵子、本田望結、姜暢雄、三津谷葉子、梨本謙次郎、きたろう、森本レオ

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
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