日本には…卒業写真。
卒業写真みんなで撮りましょう。
撮りましょう。
はい。
(シャッター音)歴史の大海原を旅するキャプテン歴史アイドルの小日向えり。
世界中のさまざまなゲストと一緒にいざ船出しよう!
私の歴史の部屋にはこれまでさまざまなルーツを持った人々が訪れその国の歴史を紹介してくれました。
それも今回が最後。
一体どなたがお見えになるのでしょう?
(小日向)いらっしゃ〜いどうぞ。
(フランクル)こんにちは。
こんにちは〜。
ようこそお越し下さいました。
小日向えりです。
ピーター・フランクルです。
数学者で大道芸人の…ハンガリー出身のユダヤ人であるピーターさんは偏見から逃れるためフランスに亡命しその後来日。
日本を永住の地と定めました。
喜んでくれるかどうか分かりませんが今日のお土産はこれです。
「相対性理論」ですか。
はいそうです。
ちょっと難しそうですね。
まあ確かに難しいですけれども。
簡単にいえば…同じ考え方でいくとやっぱり…その人の立場や考え方によっては違う歴史があるんです。
世界史にも相対性理論が当てはまるかもしれないんですね。
言うまでもなくナビゲーターは…。
やっぱり。
私はアインシュタイン。
相対性理論の研究で科学の世界に革命をもたらした20世紀を代表する物理学者だ。
私の生涯は民族や国の対立に翻弄されてきた。
ドイツ生まれのユダヤ人である私はヒトラー政権の迫害から逃れるためにアメリカに亡命した。
私はヒトラー政権に対抗するために一度は核兵器の開発に賛同した。
しかし日本に原子爆弾が投下されるとその被害に衝撃を受けた。
そこで戦後は平和運動に力を注ぎ新しい世界の在り方を提唱したのだ。
今回は私の経験や体験をヒントにさまざまな出会いや衝突を繰り返してきた人類の歴史をもう一度たどってみる事にしよう。
ピーターさんにとってアインシュタインってどういう存在ですか?小学生の時本を読みました。
次に父にいろんな話を聞きましてアインシュタインが私たちと同じユダヤ人である事を知ってすごく誇りに思っていました。
そうなんですか。
早速アインシュタインと一緒に歴史を振り返ってみましょう。
世界の歴史の中で人類はさまざまな対立を繰り返してきた。
私もその歴史の渦に巻き込まれていった。
私たちユダヤ人は国を持たない民族として世界各地で暮らしていた。
19世紀後半のヨーロッパではその土地に同化して学問思想音楽など多方面で活躍していた。
そこに登場したのがヒトラー率いるナチス・ドイツだ。
ナチスは第一次世界大戦に敗れたドイツを立て直すため国民意識をあおった。
純粋なドイツ人という像をつくりユダヤ人などを迫害したのだ。
私も迫害の対象となりアメリカに亡命した。
しかし多くのユダヤ人は強制的に収容所に連行され無残に殺された。
犠牲者は600万人以上に上った。
自分と他者を切り離し異質なものを排除する。
歴史の中でこうした出来事はほかにも見られる。
大航海時代の16世紀には初めてヨーロッパとアメリカ大陸の人々が出会った。
コルテス率いるスペイン軍とアステカ帝国の人々。
それは不幸な出会いであった。
彼らは初めてお互いを見た時宇宙人を見たかのように驚いた。
全く違う世界のものに触れ恐怖すら感じた。
それが悲劇をもたらした。
アステカの人々は最初コルテスを友好的に受け入れた。
しかし祭りを開き熱狂的に踊りだすとスペイン軍は突如アステカの人々を殺し始めた。
アステカの人々にとっての祭りがスペイン軍には反乱の前兆に見えてしまったのだ。
相手の文化を理解できないまま争いが起きやがてアステカは滅んでしまった。
そしてアフリカだ。
ヨーロッパ人は自分たちこそ優れているという思い込みからアフリカの人々を人間として扱わず労働力として売買した。
アフリカの人々の自由と尊厳を奪った差別意識は現代に至るまで争いを生んでいる。
19世紀には帝国主義による植民地支配が広がった。
イギリスはインドやアジア諸国に勢力を伸ばした。
フランスやドイツ日本なども領土拡大を目的に相手の主権を奪って植民地支配を行いその後の対立の元となった。
今ある世界はこうした対立の歴史を経て人々がつくり上げたという事を忘れてはいけない。
ほとんど多くがやっぱりきちんと本当の意味で相手の事を理解してないから起きてしまった衝突なんだなと振り返ってみて思いましたね。
実は私の母は高校1年生の時に強制収容所に入れられて家族と一緒に貨物列車でアウシュビッツに送られてそして…2人とも生き残ったのも奇跡ぐらい。
そんな事を彼らは僕に語ってくれた時には…ところが自分は20代後半3か月間インドに行きました。
インドに着いて周りの人を見るとみんな僕と全く服装も違うし肌の色も違うし宗教も違うし習慣も食べ物も全てが違ったんですよ。
自分は心の中からどっか何か反感が湧いてきました。
「恐いな」とか「近づきたくないな。
インドに来なきゃよかった」という気持ちになりました。
非常に恥ずかしくなったんですよ。
自分たちはこれだけ人種差別によっていじめられた事があったのに僕もほかの人に対して同じ気持ち抱いてるなんてみっともないと思いました。
彼は僕と友達になってくれたんです。
そのおかげで3か月たった頃には…はあなるほど。
意識していなくても差別的な感情が出てきてしまう事があるんですね。
ここからは大国に踏みにじられてきた人々のその後の歴史を見てみよう。
ラテンアメリカ諸国は19世紀シモン・ボリバルらに導かれ独立を成し遂げる。
インドは20世紀に入りイギリスの支配から独立した。
ガンディーはインド人を連帯させ独立への礎を築いた。
アフリカの国々も20世紀後半に次々と独立を果たした。
独立国家となった彼らは自分たちの主権を手にした。
国民として支え合いまとまる事で力を持つ事ができた。
現在の世界の大半はこうした国民国家だ。
そしてもともと国を持たない民族だった私たちユダヤ人も国を持つ事になる。
パレスティナの土地に第二次世界大戦後イスラエルという国を建国したのだ。
迫害を受けてきたユダヤ人にとっては悲願の独立国家であった。
しかしこの建国によって新たな衝突が引き起こされる。
パレスティナにはもともとアラブの人々が暮らしていた。
ユダヤ人と彼らは対立し領土を巡り激しい争いを始めたのだ。
皮肉にも国を追われたユダヤ人が新たな国を持ち自分たちと異質なアラブの人々を追い出そうとしているのだ。
イスラエルに対して私は複雑な感情を抱いた。
ユダヤ人として特別な思いはある。
しかしパレスティナへの攻撃は許されない。
私が願ったのは世界政府の樹立だ。
国同士が平和的に共存するために必要だと考えたのだ。
しかし民族同士の争いは21世紀の現在も続いている。
やっぱり誰もが争いはない方がいいと平和を願ってると思うんですけれどもやっぱりそれぞれ考え方とか思想哲学宗教それぞれ違うものがあって自分のこだわりがあるからやっぱりなかなか衝突がなくなるっていうのは難しいですよね。
そうですね。
イスラエルでもパレスティナでも絶対的というかとにかく「聖書」を文字どおり信じて…2012年の夏イスラエルの友人がやって来ました。
彼はヘブライ大学…イェルサレムにあるとても有名な大学ですけれどもそこの教授なんですがもともと大学のそばに住んでいて歩いて学校まで行ったりしました。
ところが彼はなんと…毎朝乗合自動車で1〜2時間かけて大学まで行くようになりました。
「何でまた?」と彼に聞きましたらイェルサレムの中でも同じユダヤ人でいわゆる原理主義の人たちとっても頭の固い人たちが増えてきまして。
彼みたいにただ単に…う〜ん…分け合うとか共有するっていう事もなかなかできない。
どうやったら解決できるんでしょうね。
難しい問題ですね。
そこでアインシュタインさんにもう一つ話をしてもらいましょう。
人類が繰り返してきた対立と衝突の歴史。
その原因は他者を尊重しないという事にあったといえる。
解決のヒントは相対性。
つまり相手には相手の時間や空間があるという事。
それを理解していた人物が800年前のヨーロッパにいた。
十字軍が聖地イェルサレムを巡ってイスラームの人々と争っていた時代彼はある方法で争いを決着させた。
フリードリヒ2世は地中海のシチリアに生まれた。
当時の地中海地域は異文化の交流が盛んだった。
彼はキリスト教徒であったが幼い頃からイスラームの人々と親しんで育ちその高度な文化に感銘を受けていた。
その彼が神聖ローマ皇帝に任命された時葛藤に直面する。
十字軍を率いてイスラームの人々と戦わなければならなくなったのだ。
戦いを避けたい彼はある行動に出た。
それは…交渉相手は…フリードリヒ2世はアル・カーミルにアラビア語で手紙を書いた。
「イェルサレムを引き渡してほしい。
キリスト教徒たちに対して面目が立たないのだ」。
当然アル・カーミルは難色を示した。
彼もイスラーム教徒たちに配慮しなければならない。
2人はお互いの立場を理解し平和に解決する道を探った。
そして休戦協定を結ぶ事になった。
協定文には次のように記してある。
つまり……という画期的な発想だった。
お互いの立場を理解したからこそ実現したのだ。
更に第8条にはこう記されている。
つまりキリスト教徒がイスラームを攻撃した場合皇帝はイスラーム側に付く事を宣言したのだ。
こうして彼らは平和をもたらしたが当時の世界では評価されず和平は10年しか続かなかった。
今の私たちには彼らから学ぶべき事があるのではないだろうか。
争いを避けるためお互いの考えを理解し結論を粘り強く探る。
そのためには異質な相手の文化や価値観を尊重し合う事が必要だとフリードリヒ2世は教えてくれているのだ。
フリードリヒ2世当時は非難されたという事でしたけれども今見てみたら平和的解決をしたすごい偉大な人ですよね。
すばらしいでしたね。
先生。
今日はルーフバルコニーじゃなくてこちらに…。
(羽田)たまには仲間に入れて下さい。
40回やってみてどうでしたか?はい。
ひと言で言うとすごく視野が広がりましたね。
今まで何十年何百年とかいう単位でしか見えてなかったのが紀元前から見てきたのですごい何千年単位でちょっと見れるようになって。
そのスケールで考えた時に私たちが今生きている現代の国とか社会の仕組み具体的にいうと例えば…私たちの国日本。
あるいは私たちの国中国ってこういう考え方も本当にこの長いタイムスパンからしたら短い期間でしかないんですね。
で今私たちが勉強している世界史というもの学ぼうとしている世界史というのもやっぱり国を単位にしてみんな考えてる訳です。
でもこれは本当にこの100年150年の間に人間が考え出して過去を理解しようと思った時に初めて生まれてきた表現のしかた。
あるいは過去の理解のしかたなんですよね。
そう思うとこれから100年たったり150年たったりあるいは1,000年たった時私たちは同じように世界の過去を見てるだろうかという気がしますね。
そのとおりだと思いますね。
もっと…いつも相手の立場に立って物事を考えたり相手に深い関心興味を持ったりその人たちを理解しようというそういう気持ちを育てないといけないですね。
いろんな国の方に遊びに来てもらって私もお話を聞くとものすごく興味が湧きますし本当に行きたい所がたくさん増えましたね。
私たちの地球その地球の歴史世界史っていうふうに考えてもう一度過去を見直してみるといろんな発見があるんじゃないかなと思いますよ。
これから学んで下さいね。
はい。
2015/03/06(金) 14:20〜14:40
NHKEテレ1大阪
NHK高校講座 世界史「未来につなぐ世界史」[字]
歴史好きな「歴女」の部屋を、世界各国にルーツを持つゲストが訪れ、現代につながる歴史をたどる…祖父母の命を“抹消”されたゲストと考える対立と衝突の世界史そして未来
詳細情報
番組内容
▽アインシュタインが語る世界史における「相対性」原理とは? ▽ユダヤ人として対立と衝突の人類の歴史に巻き込まれたゲストの体験〜無意識に抱いてしまう反感▽フリードリヒ2世は世界の驚異? 世界史に学ぶ異文化共存と平和のヒント▽学習ポイントは「多様化する世界で」「現代の課題」「歴史に学ぶ」。【司会】小日向えり【ゲスト】ピーター・フランクル【講師】羽田正(東京大学教授)【語り】永井一郎
出演者
【講師】東京大学教授…羽田正,【ゲスト】ピーター・フランクル,【出演】小日向えり,【語り】永井一郎
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趣味/教育 – 中学生・高校生
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