花嫁のれん #45【出演:羽田美智子 矢田亜希子 野際陽子】 2015.03.06


陣内リゾートが開発する旅館の改築の仕事を一度は断った北陸一の名工松村の事情を察した奈緒子はその妻文子をかぐらやへ招いたのでございます
(松村)これは…。
(文子)加賀友禅。
(奈緒子)奥さまの一番のよき思い出はこの金沢の浅野川で見た友禅流し。
(文子)これを友禅流しに見立てて。
(奈緒子)はい。
(文子)ええ。
ええ。
友禅流しに見えます。
もう一度こうして見られるなんて。
(真知子)失礼します。
(奈緒子)どうぞ。
はい。
(松村)どうも。
(松村)奈緒子さんに乾杯だ。
(奈緒子)まあ。
ありがとうございます。
(陣内)どうして?
(志乃)あれが奈緒子。
かぐらやの女将のおもてなしです。
(文子)えっ?主人にそんなお仕事の話があるんですか?
(奈緒子)はい。
先ほどの陣内さまがこの金沢の和風旅館の改築をお願いしてるとかで。
そのことで先日松村さまはかぐらやにおいでくださったんです。
(文子)まあ。
私そんなこと何にも聞いては…。
(松村)断ろうと思ってるんだ。
だからお前には話さなかった。
断る?どうして?あなた以前からもっと北陸の風情を生かした旅館や建物を建てるべきだっておっしゃってたじゃありませんか。
(文子)今度のお仕事がまさにそれなんでしょ?
(松村)まあそうなんだが。
(文子)あなた。
(奈緒子)もしかすると松村さまは奥さまのことを気遣ってらっしゃるのではないですか?
(文子)私のこと?はい。
私も母の介護をしていたので分かります。
ヘルパーさんに付いていただいていても少しでも目を離すと心配で。
外出してもいつも急いで帰ってました。
松村さまもそうではないかと思います。
金沢で仕事をするとなると奥さまは富山のご自宅で離れてお暮らしになることに。
そのことを心配なさってるのではと?そうなんですか?
(文子)あなた。
おっしゃってください。
(松村)私は仕事仕事でこれまでお前には苦労ばかりかけてきた。
申し訳ないと思ってるんだ。
そんなお前が不自由な体になったそんなときこそそばにいてお前の世話をしてやりたいと。
(松村)何を見てもお前を思い出してね。
最初浅野川の見える部屋に通されたときお前が見たらどんなに喜ぶだろうにと。
お前にも見せてやりたいのにと。
友禅を着た他の客を見てもお前も友禅を着てここに来たかっただろうにと。
そんなことばかり思ってしまってね。
居たたまれずに帰ってしまったんだ。
(松村)これからお前に迷惑を掛けた分女房孝行をしようとそう私は決心したんだよ。
何を言ってるんですか?私のためを思ってくださるならもっとご自分のお仕事なさってくださいな。
私はあなたが造る建物が好きなんです。
奥さま。
(松村)しかしお前を一人にしては…。
松村さま。
私も今は母と離れて暮らしています。
正直心配です。
けれど母は私が女将として頑張っているのが一番の心の励みになると言ってくれています。
奥さまも同じお気持ちなんじゃないでしょうか?松村さまが一生懸命頑張ってお仕事されているお姿を見るのが一番の心の支えなのではないでしょうか?
(文子)奈緒子さんの言うとおりですよ。
私はあなたが改築するその旅館にもぜひ泊まってみたい。
これでまた生きる張り合いができました。
奥さま。
(文子)うん。
私はどうやら勘違いをしていたようだ。
陣内さんのその仕事受けさせてもらうことにするよ。
あなた。
えっ?松村さんが引き受けてくれた?はい。
お引き受けになると。
陣内さまにそう伝えてほしいとおっしゃいました。
そうですか。
いや。
それはよかった。
奈緒子さん。
ありがとうございます。
あなたが松村さんと奥さまをもてなしてくれたおかげです。
いえ。
私は特別なことは何もしておりません。
いえ。
あなたのおかげですよ。
あの浅野川の友禅流しに見立てた飾りつけは見事だった。
あなたに任せたのが間違いだったと先日は失礼なことを言ってホントに申し訳ありませんでした。
いや。
あのう。
陣内さま。
これで和風旅館は私が思い描いてたような北陸の風情のある旅館になりますよ。
そうなれば成功にまた一歩近づきます。
陣内さま。
誤解しないでください。
もちろん陣内さまには今度の和風旅館の再建には成功していただきたいと思っております。
ですが今回のこととは関係がありません。
というと?これはかぐらやのお客さまへのおもてなしです。
松村さまと奥さまのよき思い出を大切にしてさしあげたかったからなんです。
その結果が陣内さまのお仕事につながったんです。
お客さまへのおもてなしは決して手段ではありません。

(辰夫)おっ。
ああ。
(辰夫)奈緒子さんの方はうまくいったようやな。
松村さまご夫妻も大変喜ばれてホントによかったです。
さすが奈緒子さんや。
私も感心しました。
(辰夫)あっ。
(辰夫)お前がほんなこと言うやなんて春先に大雪でも降るんと違うか?また。
ほれでこっちは落ち着いたが残るは?後は塾生の人たちがどう出るかやね。
これで奈緒子さんが人の上に立てる器かどうかが分かります。
(辰夫)うーん。
これからが見ものや。
(真知子)さすが奈緒子さんよね。
やっぱりあの大女将が女将として認めただけのことはあるな。
(香)そうね。
奈緒子さんのおもてなし心に響いたなぁ。
あの加賀友禅の友禅流し。
(佑美)お客さまも一生の思い出になったよね。
(真知子)一番大事なのは相手を思う心。
奈緒子さんいつもそう言ってるもんね。
(真知子)奈緒子さんってさ私たちのこといつも大事に思ってくれてるよね。
私が一度大女将に追い出されて能登へ帰ったときも能登までわざわざ来てくれて。
《これは…》《花嫁のれんは覚悟ののれん》《覚悟ののれん?》《かぐらやの女将としてこれから一生やり抜いていく覚悟》《女将になるということはそれぐらいの気持ちが必要なの》あのとき花嫁のれんを私に見せてくれなかったら私もう一度女将を目指していたかどうか分からないもん。
(香)私だって母がかぐらやに来て私を連れ戻そうとしたとき初めて反抗して。
(香)そのとき奈緒子さんが母と娘の私の心をもう一度つなげてくれた。
(知寿子)《もう何も心配いりませんよ》《私はもう二度とお母さんの言いなりにはなりません!》《東京へは一人で帰ってください!》《私は私の意思でかぐらやに残って女将修業続けます!》《香さんが生けてくれたんです》
(知寿子)《香が?このカーネーションを?》
(香)そしてまた一つ母にいい思い出をつくってくれた。
(佑美)私もある。
(佑美)スカウトの件で私がここを辞めようって思ったとき。
《今日一日考えたんですけど私やっぱり…》《辞めるなんて言わないでね。
佑美さん》《自分たちがどうすべきなのかもう一度みんなで考えてみてほしいの》奈緒子さんってさ塾生の私たちにもいつも精いっぱいのもてなしをしてくれてたんだ。
(香)そうね。
(佑美)うん。
私やっぱり奈緒子さんの下で女将修業を続けたい。
私もよ。
(佑美)私も。
(房子)まあね今回の奈緒子さんのしたことはよかったとは思いますよ。
お客さまもあんなにお喜びになって。
さすがではございます。
ですがお嬢にとってやはり大女将が女将塾の責任者になる方が得は得。
(綾)房子さん。
(房子)大女将もその件について何もおっしゃってないからご自分でやられるおつもりなんじゃないですかね。
(房子)奈緒子さんがいかに頑張ろうとも村田さまや菊さん。
それに大女将が決めようとされてることをまさかひっくり返すってわけにはまいりませんでしょう。
私ちょっと。
(房子)どうなさいました?
(房子)お嬢?綾です。
いいですか?綾さん?どうぞ。
私奈緒子さんの女将としての本当の力を何も分かってなかったようです。
えっ?
(綾)今回の松村さまへのおもてなしを見てそれが分かりました。
さすがです。
奈緒子さんこそかぐらやの女将の器です。
それじゃあ綾さんも?はい。
奈緒子さんに女将塾の責任者を続けてもらいたいと心から思っています。
綾さん。
(香)よかった。
私たち今ちょうどそのこと話してたの。
どうしていこうかって。
(佑美)綾さんがそう言ってくれたらこれで私たちの意見は女将塾の塾生全員の意見として伝えることができる。
(真知子・香)うん。
そして翌日
(房子のあくび)
(房子)ああ。
おはよう。
(一同)おはようございます。
(房子)あれ?真知子さんは?
(香)真知子でしたらちょっと用事があって。
用事?用事って?
(綾)房子さん。
(房子)はい。
(綾)私けさささ身のあえ物作ったんですけど味見していただけますか?
(房子)はい。
お嬢。
はいはい。
はいどうぞ。
(房子)うん。
もうちょっとお塩足した方がいいかな?
(綾)あっはい。
あのう。
陣内さま。
少しお邪魔してもよろしいでしょうか?・
(陣内)はい。
どうぞ。
失礼いたします。
申し訳ありません。
朝食前にお伺いしてしまって。
ああ。
いいですよ。
朝から仕事始めてましたから。
それより何ですか?はい。
それが陣内さまにお願いがありまして。
お願い?はい。
どうか陣内さまのお力で奈緒子さんが女将塾の責任者を続けられるようにしていただけませんか?塾生たちのみんなでゆうべ話し合ったんです。
私たち奈緒子さんの下で修業を続けて女将になりたいんです。
私たちは奈緒子さんのようにお客さまの心を思いやることのできる女将になりたいんです。
どうか私たちのためにもお力をお貸しください。
このとおりです。
分かりました。
えっ?私から大女将に話してみましょう。
陣内さま。
・おはよう。
(一同)おはようございます。
ああ。
いい天気や。
もう春やね。
(辰夫)ほうやね。
(宗佑)おはよう。
(辰夫)おお。
おはよう。
(一同)おはよう。
(宗佑)よいしょ。
どうや?店の方は順調か?
(宗佑)うん。
まあ常連さんもついてきてくれてまあまあってとこかな?
(辰夫)ほれはよかったやないか。
ありがたいことや。
(宗佑)まあね。
ああそうだ。
それはいいんだけどさ母さんさ。
うん?
(宗佑)あのことどうなってんの?あのことて?
(宗佑)だから女将塾の責任者のことや。
ああー。
どうなるんやろね?
(宗佑)いや。
「どうなるんやろね?」ってそんな人ごとみたいな。
母さんが決めんでしょ?だって。
いや。
私は村田さまや菊さんの提案を受けただけやさかい。
(宗佑)けど母さんがどうするか任されてんだから母さんがこうだって言えばそれで決まっちゃうことなんじゃないの?そういうわけにもいかんわいね。
何で?うん?いやぁ。
ほれはみんなの気持ちも大事にせんとね。
みんな?ほうや。
みんな。
(宗佑)えっ?はい。
お味噌汁できました。
幸ちゃんお願い。
いい?
(幸)いいよ。
はい。
お願いします。
じゃあこっちもらうね。
(宗佑)奈緒子。
奈緒子。
奈緒子。
うん?
(宗佑)母さん。
また何かあるみたいだぞあれ。
そうね。
いやいや。
「そうね」ってお前まで人ごとみたいにそれ。
だから言ったでしょ。
(宗佑)えっ?いつも一つ先のこと考えてらっしゃるって。
(宗佑)ああ。
塾生たちみんなが奈緒子の下で修業を続けたいと?
(陣内)はい。
全員がほう思うとるんやったらむげにもできませんね。
ほやけどほうなったら村田さまと菊さんを説得せんと。
それは私にお任せください。
陣内さまに?はい。
私も今度のことでは奈緒子さんのこと見直しているんです。
いえ。
見直すというよりはさすが大女将が認められた女将だと教えられました。
私はかぐらやのおもてなしで松村さんに何とか仕事を引き受けてもらえないだろうかとそんなことを考えてここにお連れしたんです。
ですが奈緒子さんにはっきりと言われました。
おもてなしは手段ではないと。
《お客さまへのおもてなしは決して手段ではありません》目が覚める思いでした。
ほしたら陣内さまも女将塾の責任者は奈緒子に続けてもらいたいと?はい。
そう思っています。
ほれではますますむげにできませんね。
私も考え直さんと。
大女将。
あっ。
大女将は最初からこうなることが分かっていて。
だから私が松村さんの部屋付きを大女将にお願いしたのにもかかわらず奈緒子さんに任せられたんじゃないんですか?さあどうでしょう?ほこまではさすがに。
あっ。
ほんでも奈緒子のもてなしを陣内さまに見ていただきたいとは思うとりました。
陣内さまはもうお分かりやと思いますが奈緒子のもてなしは相手の懐に飛び込んでいくもてなしです。
相手の懐へ飛び込むもてなし。
はい。
まあ一言で言いますと向こう見ず。
世話好きでおせっかいとも言えますがね。
でもどういうわけかいつの間にか相手の心を開かせてしまうんですよ。
きっとおもてなしの神様に愛されとるんでしょうね。
(文子)ありがとう。
(文子)大女将。
おかげでまた友禅流しを見ることができたしそれにまあこんな若い塾生さんたちに丁寧にお世話を焼いていただいて。
よき思い出ができました。
ありがとうございます。
「よき思い出は心の宝」その宝をつくっていただくことこそおもてなしの心でございます。
松村さま。
またどうぞお二人でお出掛けくださいませ。
お待ちいたしております。
(文子)ありがとうございます。
ありがとう。
かぐらやへこうして女房と来られて本当によかった。
そう言っていただいてこちらこそ本当にありがとうございます。
(松村)ああいえ。
(陣内)松村さん。
(松村)おお。
これは陣内さん。
奈緒子さんから聞きました。
この金沢の和風旅館の改築の件よろしくお願いいたします。
(松村)いや。
こちらこそ。
(松村)それじゃあ。
皆さん。
私たちはこれで。
(一同)ありがとうございました。
どうぞお気を付けて。
お車までお見送りします。
(松村)ああどうも。
動かしますね。
(文子)はい。
(松村)それじゃどうも。
失礼いたします。
真知子さん。
ちょっとこちらへ一緒に。
はい。
皆さん。
皆さんに報告があります。
女将塾のことです。
女将塾は奈緒子さんを責任者として続けることになりました。
やった!
(佑美)やった!よかったね。
(房子)大女将。
うん?
(房子)よろしいんですか?よろしいも何も。
みんなほう望んどるんや。
仕方ありません。
2015/03/06(金) 13:30〜14:00
関西テレビ1
花嫁のれん #45[字][デ]【出演:羽田美智子 矢田亜希子 野際陽子】

大女将の志乃(野際陽子)を差し置いて女将の奈緒子(羽田美智子)が観光協会パンフレットの表紙を飾ってしまい険悪ムードの二人。そんな中「かぐらや」のHPに悪評が…。

詳細情報
番組内容
 奈緒子(羽田美智子)は心を込め、松村(金内喜久夫)と妻の文子(本山可久子)をもてなす。真知子(矢田亜希子)ら塾生に加え、陣内(須賀貴匡)も奈緒子の気遣いの一つひとつに驚き、圧倒される。
 松村と文子は奈緒子の心遣いで夫婦の絆を一層深め、「かぐらや」を後にする。
番組内容2
松村は陣内の仕事についても前向きな返事をし、陣内を喜ばせる。陣内は奈緒子におもてなしで松村をその気にさせてくれたことの感謝を告げるが、おもてなしは手段ではないとの奈緒子の一言に目が覚める。
 改めて奈緒子の人柄や女将という仕事への向き合い方を見た真知子は、このまま奈緒子に『金沢女将塾』の責任者を続けて欲しいとの思いを強くして…。
出演者
神楽奈緒子:羽田美智子
神楽志乃:野際陽子
片瀬真知子:矢田亜希子

宮崎 綾:原田佳奈
白山 香:広澤 草
石野佑美:川村ゆきえ
神楽翔太:草川拓弥
神楽 幸:木村真那月
 ・
神楽宗佑:津田寛治
小島房子:沢田雅美
神楽辰夫:山本 圭 ほか
スタッフ
原作・脚本:小松江里子
演出:新村良二
プロデュース:市野直親(東海テレビ)
伊藤一尋(テレパック)
沼田通嗣(テレパック)
東田陽介(テレパック)
音楽:富貴晴美
主題歌:東方神起「サクラミチ」(avextrax)
エンディングテーマ:東京カランコロン「夢かウツツか」(avex trax)
制作著作:テレパック
制作:東海テレビ
ご案内
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ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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