蔵人: Kurabito*>Kuramdo*>Kuráũdo
甲: Káfu
ワ行(転呼したハ行のこと)五段活用動詞の語尾ウ(歴史的仮名遣いフ)が直前の母音との融合を経て不融合に回帰した場合、そのウ(フ)をfuwとする。
このwが形態素の内部に割り込むことは無い。
頻出語でのトレマ(tréma仏)の使用を抑え、入力負担を軽減する。
思う: omofu*>omófuw
買う: kafu*>kafuw
伝う: tutafu*>tutafuw
cf.
食う: kúfu/kúfü
報う: mukúfu/mukúfü
言う: ifu
候ふ: saurafu*
憂ふ: urefu*/urefü*
憂ふる: urefuru*/urefüru*
憂える: urefáyru
伝ふ(下二段): tutafu*/tutafü*
伝ふる: tutafuru*/tutafüru*
伝える: tutafayru
危うい: ajafüi/ajafǘi
v:
ワ行の子音字はv。ラテン語でのvとuとの区別の仕方から。vは子音的なu。
泡: Avá
尾: Vó
絵: Vé
胃: Vi
ワ行から母音が脱落してウになった場合、vではなくuとする。
申す: mavosu*>máusu
j:
ヤ行の子音字はj。
この字が元々は子音としてのiを表す為の文字であることや国際音声記号jから。
湯: Jú
世: Jó
矢: Já
ヤ行から母音が脱落してイになった場合、jではなくiとする。
生憎: ajaniku*>ainiku
来い: kojo*>kói
行く: juku>iku
可愛い: kafajúi>kafaíi/kafaíhi
みたい: míta jág>mítai
するみたい: suru mítai
夢みたい: Jumáy mitai
元い: motófe>/motoje*/>motoi
cf.
してみたい: site mitái
夢: Imay*>Jumáy
上代特殊仮名遣いにおけるエ乙類(ヤ行のエ)はjeとする。
江: Jé
柄: Je
兄: Je*
干支(兄弟): Jeto
枝: Je, Jeda
机: Tukuje
采/賽: Saje*
映える: xajéru
見える: miju*, mijete*>míjete, mijéru
上代特殊仮名遣いでの甲乙がわからない語に於いては、形態素頭のエはア行、それ以外の語中/語末(ハイフン直後を含む)のエ(長音の後部拍を除く)はヤ行とみなす。
上代特殊仮名遣いに於いて、前後の仮名に関係なく形態素頭以外でのエが全てヤ行のエであることや、jeよりeの方が純粋(無標)なエであることから。ア行かヤ行のどちらに音価が統合されたかという問題よりも、文字数の節約と母音字連続の回避とを重要視してこのようにする。
遮る: sakikiru*>saigiru*>sajegíru
才 : Zai*>Zaje*
いいえ: iije
cf.
得る: éru
戎: Ébisu
声: Kóve
前: Máfe
帰依: Kwíhe
姉さん: Néesam
ねえ: née
日本語に於いて「ワ行のウ」と「ア行のウ」が音韻として区別されたという証拠は無いとされるが、二拍以上の塊で見ると、その区別をし得る。万葉集に於いて句中のア行が字余りの発生と深く関わるとされながら、ワ行下二段活用動詞の語尾ウやヤ行上二段活用動詞の語尾イは字余りと関わらないと言う。つまりこのようなウ/イにはある程度の独立性がある。よって、これらのウ/イにvu/jiを使う。また、これらの動詞が口語で一段活用になった場合でも、vu/jiを維持する。
ただし、もし直前の拍と母音融合している例があれば、それにはvu/jiを使わない。
植える: uvu*, uvuru*, uvete*>uvete, uveru
聶う: xuyvu*, xuyvuru*, xuyvete*
老いる: oju*, ojite*>ójite, ojíru
悔いる: kuju*, kujite*>kújite, kujíru
cf.
いい加減: iikagem
美しゅう: utukusíku>utukusíu
形態素頭ではヤ行イの存在の根拠が不足しているので、これをア行のイとし、文語でのヤ行上一段活用の存在を認めない。
射る : íru, íte
w, y:
合拗音字はw。この字がuまたはvを二つ繋げた物であることから。
開拗音字はy。一般的なローマ字でのyに加えて、フランス語でのyやオランダ語のÿ(iとjの合字)から。
会議: Kwáigi
蹴る: kwéru
食事: Syokuzi
兄弟: Kwyágdai
泥鰌(土長): Dodyag
お嬢様: Odyágsama
しょうが無い: Sijag ga nái>syagganái
cf.
しよう: semu*>sem'*>seũ*>/syou*/>sijóu
uとvまたはiとjの融合により、二字が一つの拍となっている場合にもw/yを使う。u+v>w, i+j>y
ただし、uv/ijの直前が母音字の場合を除く。
...右衛門: ...huvemon*>...hwemon*
五右衛門 : Gohwemon
g:
基本的にはガ行の子音字だが、平水韻で以下の韻に分類される漢字の韻尾のウやイは共にgとする。
平水韻:
東/冬/江/董/腫/講/送/宋/絳
陽/庚/青/蒸/養/梗/迵/漾/敬/径
直前の母音字によってウかイかが明確に定まるので混乱は起きない。
「相模・双六・愛宕」など、韻尾をガ行で表した例がある。詳しくは本居宣長の『地名字音転用例』を参照。
「うむの下濁る」と言われる様に、この種の字音の直後では連濁が起きやすかった。
gという字に母音的な音価を持たせている例として、トルコ語のğを参考にした。
青(ショウ): syag*
青(セイ): seg*
情景: Zyagkeg
映像: Egzag
重要: dyugheu
香草: Kagsau
cf.
法曹: Xafusau
北条: Xóudeu
「中・龍」などの字音仮名遣いが「チウ・リウ」のように「イ段+ウ」とされることもあるが、gの音価が後舌母音u/o/aの直後でウ、前舌母音e/(i)の直後でイと成る方が綺麗なので、「チュウ・リュウ」のように「ウ段+ウ」として扱いたい。しかし、実際にはiの直後でgをイと読む必要が無いので、どちらの字音を採用しても読み方に混乱は起きない。