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【中国全人代】
直訴に北京に集結する陳情者に厳戒 「5千人拘束、収容所行き」情報も…警察が「北京に行ったら殺す」と脅迫
【北京=西見由章】中国の全国人民代表大会(全人代=国会)開催にあわせ、官僚の不正などを国家指導者に直接訴えようと全国から北京に集まる陳情者に対し、公安当局が取り締まりを強めている。約5千人の陳情者が宿泊先などで拘束され、市郊外の収容所に送られたとの情報もある。
7日午後、陳情を扱う信訪局の入り口付近の歩道には、中年の男性を中心に100人以上がたむろしていた。ほとんどは地方の公安警察官だ。山東省や河南省など地方ナンバーの警察車両が、歩道沿いに数珠つなぎに停車していた。
私服警官たちは路上に折りたたみ椅子を置き、雑談したり携帯電話をいじったりしながら周囲を警戒する。地元の陳情者を発見し、専用のバスに乗せて送還するのが任務だ。
信訪局に集まる陳情者が多いほどその地方政府の“失点”につながる。陳情者とみられる布袋を持った男性に、警察官とみられる若い男が盛んに声をかけていた。
全人代開幕前日に路上で拘束され、故郷の浙江省に送還されたという男性(55)は電話取材に「財産が地方政府に不当に没収されたことを訴えようとしたが、理由も伝えられず捕まった。『もう一回北京に行ったら殺す』と地元の警察に脅された」と話した。