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 竹下亘復興相は8日、宮城県の村井嘉浩知事らに対し、全額を国が負担する東日本大震災の復興予算について、2016年度以降は自治体に負担を一部求める考えを示した。「被災した一人ひとり、さらに市町村も自立する強い意志を持ってほしい」と強調した。

 NHKの討論番組で語った。竹下氏に対し、村井知事は「少しでも負担が生じると(復興が)あっという間に止まってしまう」と指摘。岩手県の達増拓也知事も「同じ気持ちだ」と続けた。復興庁によると、自治体には、被災者の健康対策などの負担を求める見通しという。復興住宅の建設といった復興の基礎になる事業や、原発事故の影響が続く福島県に必要な対策費は、国が続ける方針だ。

 復興予算は、防潮堤や道路、高台の造成といったインフラの整備が中心で、11~15年度の集中復興期間の5年間に26兆3千億円がついた。全額国費負担は、被害の大きさや自治体の財政力も踏まえ、過去の自然災害にはなかった「異例中の異例の対応」(竹下氏)。国の財政状況が厳しく、新たに財源を見つけにくいこともあり、負担を見直す。

 政権は6月ごろをめどに、今後5年間の総額や負担のあり方を示す。ただ、被災自治体は人口の流出がめだち、税の担い手は減っており、激しい議論が予想される。(編集委員・大月規義)