リブロ池袋:6月閉店…セゾン文化体現、ニューアカの聖地

毎日新聞 2015年03月04日 07時30分(最終更新 03月04日 09時41分)

リブロ本店がテナントを構える西武百貨店池袋本店。かつてセゾングループに属し、「セゾン文化」を体現した=東京都豊島区で2012年、本社ヘリから尾籠章裕撮影
リブロ本店がテナントを構える西武百貨店池袋本店。かつてセゾングループに属し、「セゾン文化」を体現した=東京都豊島区で2012年、本社ヘリから尾籠章裕撮影

 中堅書店チェーンのリブロが、東京・池袋の西武百貨店池袋本店に構える本店を6月で閉店することが3日、分かった。本店の移転先は不明。リブロは「現時点ではコメントできない」としているが、同社の発行済み株式の100%を持つ出版取り次ぎ大手の日販は「閉店は事実」としている。

 リブロは2014年2月期決算で売上高211億円。5年前より5%減ったが、最終(当期)利益は2年ぶりの黒字計上となった。今年2月に松戸店(千葉県)と熊本店を閉める一方、今月、千葉店を開く予定で、関係者によると「閉店は経営状態とは関係ない」という。西武を傘下に持つセブン&アイ・ホールディングスの鈴木敏文会長の出身企業はトーハンで、出版取次業界では日販のライバル。06年にセブンが西武を買収後は、「いずれは撤退を迫られる」とみられていたという。

 リブロは1985年、西武百貨店の書籍事業部を分離して設立された。芸術、文学など人文系を中心に棚ぞろえには定評があり、ニューアカデミズムの聖地などと呼ばれた。セゾングループ創業者・堤清二氏が主導したセゾン文化を体現した。

 97年にジュンク堂がオープンするまでは売り場面積が池袋では最大といわれた。03年にパルコから株式を取得した日販の子会社となった。出版年鑑14年版によると、リブロの11年度書店売上高は全国13位。【丸山進】

最新写真特集